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2025年9月24日

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名目賃金4.1%増で月給41万9668円、43か月連続の上昇続く(令和7年7月速報分)

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毎月勤労統計調査 令和7年7月分結果速報(厚労省)


この記事の概要

令和7年7月分の毎月勤労統計調査速報によると、名目賃金は全体的に増加傾向を示し、現金給与総額は前年同月比で4.1%増の419,668円となりました。実質賃金も7か月ぶりに上昇に転じ、企業活動と労働環境に明るい兆しが見えています。とくに特別給与の伸びが顕著で、賞与などの増加が家計を後押ししています。


厚生労働省が公表した令和7年7月分の毎月勤労統計調査速報によれば、労働者の給与水準は着実に上昇しており、名目賃金・実質賃金の両面において回復の兆しが見られました。全体として、事業所規模5人以上の平均現金給与総額は419,668円となり、前年同月と比較して4.1%の増加を記録しました。この増加は43か月連続で続いており、長期的な賃金上昇トレンドが続いていることを示しています。

さらに、より規模の大きな事業所(30人以上)に限定すると、平均給与額は479,691円と、さらに高い水準となっており、前年比で4.3%の増加となりました。これにより、規模30人以上の事業所では53か月連続で名目賃金の上昇が確認されました。安定した賃金の上昇は、労働市場の需給バランスの改善や、企業の業績回復、物価上昇への対応など、複数の要因が重なって実現していると考えられます。

給与の内訳を見てみると、定期的に支給される「きまって支給する給与」は291,050円で、前年比2.6%の増加となっています。この伸び率は過去30年7か月ぶりの高さであり、企業側が基本給や家族手当、時間外手当などを含む定期給与を底上げしている実態がうかがえます。物価の上昇に対応したベースアップの動きや、従業員の定着率向上を狙った給与改善が背景にあると見られます。

「所定内給与」は270,827円で、こちらも前年比2.5%の増加となっており、45か月連続でプラスを維持しています。所定内給与とは、定時勤務による基本的な給与であり、これが安定して増加していることは、労働環境の改善と、正規雇用の拡大傾向を示している可能性があります。

また、賞与や一時金など「特別に支払われた給与」は128,618円で、前年比7.9%という高い伸び率を示しました。これは企業の利益確定や期末の業績連動型報酬などが反映された結果と考えられ、ボーナスの支給増加が家計を支える重要な要素となっています。夏季賞与や特別手当の増額が、消費の押し上げ効果をもたらすとともに、社員のモチベーション向上にも寄与していると推察されます。

就業形態別のデータでは、一般労働者の平均現金給与総額は555,326円となり、前年比で4.6%増加しています。こちらは52か月連続の増加であり、フルタイム勤務者を中心にした安定的な給与改善が続いていることを表しています。加えて、一般労働者の「所定内給与」は343,772円で、前年比2.8%の増加となり、こちらも54か月連続でプラスとなりました。これは、働き方改革などを通じて労働条件の改善が進んでいる成果とも言えます。

パートタイム労働者においても、時間当たりの所定内給与が1,382円となり、前年同月比で3.2%の増加を記録しました。49か月連続でプラスとなっており、短時間労働者にも安定的な賃金改善の波が広がっていることが確認されます。最低賃金の引き上げや、人手不足による賃上げ圧力が、パート労働者の給与にも反映されていると考えられます。

実質賃金についても注目すべき動きがありました。名目賃金から物価の上昇分を差し引いて算出される実質賃金指数は、2020年(令和2年)平均を100とした場合、115.6となり、前年同月比で0.5%の増加となりました。これは7か月ぶりのプラスとなり、賃金の購買力がわずかながら回復しつつあることを示しています。

消費者物価指数(持家の帰属家賃を除く総合)は前年同月比で3.6%上昇しており、物価上昇率に対して名目賃金の上昇が追いつきつつある現状を裏付けています。さらに、国際比較を目的とした消費者物価指数(総合)に基づく実質賃金指数は117.8で、こちらも前年同月比で1.0%増加しています。このように、名目賃金と実質賃金の双方がプラスとなったことは、労働者にとって明るい材料であり、経済の安定化への一歩と見ることができます。

なお、令和7年1月には調査対象事業所の部分入替えが実施されており、それにより一時的に数値の断層が生じています。現金給与総額では-2,541円、きまって支給する給与では-1,897円の乖離が発生しました。これは統計上の構造的な変更によるものであり、継続的な時系列分析を行う際には留意が必要です。

今回の調査結果から読み取れるのは、企業が賃上げに取り組む姿勢を強めていること、そしてその動きが正社員・非正規社員を問わず広がりを見せているという点です。労働市場の逼迫、人材確保競争の激化、物価上昇による実質所得の目減りなど、さまざまな課題がある中で、企業が給与改善を通じて従業員の生活基盤を支えようとしている姿勢は明確です。

この傾向は企業の人事戦略にも影響を与えると考えられ、採用担当者にとっては、他社との給与水準の比較や、報酬制度の見直しを検討する重要な判断材料となるでしょう。とくに給与水準の上昇が長期的に続いている業種や規模に注目することで、競争力のある雇用条件を整備することが可能となります。今後も継続的な賃金動向の分析と、柔軟な対応が求められる局面が続くことが予想されます。

この記事は2025年09月05日に作成されました。

この記事の要点

  • 現金給与総額は419,668円で前年比4.1%の増加
  • きまって支給する給与は291,050円、30年7か月ぶりの高い伸び率
  • 特別給与は128,618円で前年比7.9%増と賞与等が好調
  • 一般労働者の給与は555,326円で前年比4.6%の増加
  • パート労働者の時間当たり給与は1,382円で3.2%の増加
  • 実質賃金は7か月ぶりにプラスに転じ、前年比0.5〜1.0%の回復
  • 企業規模30人以上の給与は479,691円で前年比4.3%の増加
  • 労働市場全体での賃上げ傾向が継続中
  • 統計上の断層により、2025年1月以降のデータには留意が必要
  • 企業は報酬制度の見直しにより人材確保の強化が求められる

⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ

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