2025年11月6日
労務・人事ニュース
令和7年9月賃金29万7,145円に上昇、45か月連続プラスも実質賃金は9か月減少
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最終更新: 2025年11月6日 00:34
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最終更新: 2025年11月6日 02:06
毎月勤労統計調査 2025(令和7)年9月分結果速報等(厚労省)
この記事の概要
厚生労働省は2025年11月6日、毎月勤労統計調査の令和7年9月分結果速報を公表した。調査によると、名目賃金は全体で1.9%増の29万7,145円となり、45か月連続のプラスを記録した。一方で、物価上昇の影響を受けた実質賃金は前年同月比1.4%減と9か月連続のマイナスとなった。夏季賞与は2.9%増加し、企業収益の回復傾向が反映されている。
厚生労働省が公表した毎月勤労統計調査(2025年9月分速報)によると、労働者1人当たりの現金給与総額は29万7,145円で、前年同月比1.9%増加した。これにより、名目賃金は45か月連続のプラスとなった。事業所規模30人以上の企業では33万4,341円と前年より2.3%増え、55か月連続で増加している。きまって支給される給与は28万7,840円(1.8%増)、所定内給与は26万8,653円(1.9%増)と堅調に推移し、賃上げの流れが中小企業を含めて広がっていることが示された。特別に支払われた給与(賞与や臨時手当など)は9,305円で4.5%増となり、企業の業績回復が反映された形だ。
労働形態別では、一般労働者の現金給与総額が38万1,898円(2.3%増)と54か月連続でプラスとなり、所定内給与も34万2,176円(2.3%増)で56か月連続の増加となった。パートタイム労働者の時間当たり給与は1,388円で前年より2.8%上昇し、51か月連続でプラスを維持している。非正規雇用者の賃上げも定着しつつあることがうかがえる。
一方で、物価上昇の影響を受け、実質賃金は依然としてマイナス傾向が続いている。消費者物価指数(持家の帰属家賃を除く総合)で実質化した賃金指数は81.8と前年同月比1.4%減で、9か月連続のマイナスとなった。消費者物価指数(総合)で実質化した場合も83.3で1.0%減と2か月連続のマイナスであり、依然として物価上昇率(前年同月比3.4%上昇)に賃金の伸びが追いついていない現状が浮き彫りとなった。
また、9月分の速報に合わせて発表された夏季賞与の結果によると、支給事業所における労働者1人当たりの平均賞与額は42万6,337円で、前年より2.9%増加した。規模30人以上の企業では49万6,889円で3.8%増となり、賃上げの流れが賞与にも波及している。企業業績の回復を背景に、ボーナス支給額の上昇が続いていることが確認された。
なお、厚生労働省は2025年1月に調査対象事業所の部分入れ替えを行っており、その影響として現金給与総額に約2,541円(-0.9%)、きまって支給する給与で約1,897円(-0.7%)の統計上の断層が生じたことも明らかにしている。これは統計上の要因であり、実際の賃金水準の変動ではないと説明されている。
今回の結果からは、名目賃金の上昇が続いているものの、実質賃金の改善には至っていないことがわかる。企業側の賃上げ努力や賞与増加は進む一方で、消費者物価の上昇率が依然として高いため、生活実感としての賃金上昇は限定的である。特に食料品や光熱費などの生活必需品の価格上昇が家計に影響しており、今後の賃金上昇率がこれを上回るかが注目される。
政府としては、今後の確報値や年末の賞与動向を踏まえつつ、実質賃金の改善に向けた政策の検討が求められる。物価動向の安定とともに、賃上げの定着、非正規労働者を含む賃金格差の是正が引き続き重要な課題となる。
この記事の要点
- 名目賃金は前年同月比1.9%増の29万7,145円で45か月連続プラス
- 実質賃金は1.4%減で9か月連続マイナス
- 消費者物価指数は前年同月比3.4%上昇
- 夏季賞与は42万6,337円で2.9%増、企業業績の回復を反映
- パートの時間当たり給与は1,388円で51か月連続上昇
- 事業所規模30人以上では賃金33万4,341円(2.3%増)
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ


