2026年4月11日
労務・人事ニュース
2025年 電気ガス業444,000円と宿泊業277,200円の差166,800円から見る産業別賃金格差
令和7年賃金構造基本統計調査 結果の概況 産業別にみた賃金(厚労省)
令和7年の賃金構造基本統計調査において、産業別にみた賃金水準が公表され、業種ごとの収入格差の実態が明らかとなった。今回の結果では、産業によって平均賃金に大きな開きがあることが確認されており、就業先の選択が収入に与える影響の大きさが改めて示されている。
男女計で最も高い水準となったのは「電気・ガス・熱供給・水道業」で444,000円となり、次いで「学術研究,専門・技術サービス業」が440,300円と続いた。これに対し、「宿泊業,飲食サービス業」は277,200円にとどまり、最も低い水準となっている。最高と最低の差は約166,800円に達しており、産業間で大きな格差が存在する状況が確認された。
その他の産業をみると、「情報通信業」は406,000円、「金融業,保険業」は437,000円と比較的高い水準を維持している。一方で、「運輸業,郵便業」は312,700円、「卸売業,小売業」は349,100円と中間的な水準に位置している。産業ごとに求められる技能や業務内容の違いが、賃金に反映されていると考えられる。
年齢階級別にみると、いずれの産業でも年齢とともに賃金が上昇する傾向は共通している。例えば「電気・ガス・熱供給・水道業」では、20~24歳で260,700円、40~44歳で500,400円、55~59歳では583,300円まで上昇している。「学術研究,専門・技術サービス業」でも同様に、若年層から中高年層にかけて段階的に増加している。
一方で「宿泊業,飲食サービス業」は、20~24歳で224,600円、40~44歳で302,300円、55~59歳でも304,800円と、他産業と比べて上昇幅が限定的となっている。このことから、同じ年齢層であっても産業によって賃金水準に大きな違いが生じている実態が読み取れる。
男女別のデータにおいても、産業間の差は同様に見られる。男性では「金融業,保険業」が553,300円と高水準となり、「電気・ガス・熱供給・水道業」も454,500円と高い値を示している。一方で女性は全体的に男性より低い水準で推移しており、「宿泊業,飲食サービス業」は239,600円となるなど、男女差と産業差が重なる構造が確認される。
また、平均年齢や勤続年数にも産業ごとの違いがある。例えば「電気・ガス・熱供給・水道業」は平均年齢43.1歳、勤続年数17.6年と長期雇用の傾向が強い。一方で「宿泊業,飲食サービス業」は平均年齢43.1歳、勤続年数9.6年となっており、勤続期間の違いも賃金水準に影響している可能性がある。
今回の結果からは、産業ごとに賃金水準や上昇カーブが大きく異なることが明確に示された。就業分野の選択はキャリア形成や収入に直結する要素であり、こうした統計データは労働市場の実態を理解する上で重要な指標となる。企業にとっても、業界内外での賃金水準を踏まえた人材確保や処遇改善の検討が求められる状況といえる。
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ


