2026年6月4日
労務・人事ニュース
2025年9月時点で全国97%の市町村が水害を経験、被害額7,100億円の現実から学ぶ水防活動と家庭防災
- アイリスト/西鉄久留米駅/久留米市/福岡県
最終更新: 2026年6月3日 16:12
- アイリスト/北九州市小倉北区/福岡県/香春口三萩野駅
最終更新: 2026年6月3日 16:12
- 正看護師/朝倉郡筑前町/福岡県/山隈駅
最終更新: 2026年6月3日 16:13
- 製造スタッフ・組立・加工など/福岡県/土日休み 車のフロアカーペットの組立 未経験歓迎 GWや夏季など長期休暇あり
最終更新: 2026年6月3日 12:00
水害から暮らしを守る水防活動。日頃からの備えで被害を防ぐ(政府広報オンライン)
台風や集中豪雨による水害が全国各地で相次ぐなか、国や地方自治体による治水事業と並び、地域住民と市町村が担う「水防」の重要性が改めて注目されています。河川の氾濫や高潮による被害を最小限に抑えるため、平時からの訓練や設備点検に加え、家庭での事前準備を含めた総合的な備えが求められており、水害から命と暮らしを守るための取り組みが全国で進められています。
日本では毎年6月から7月にかけて梅雨前線の影響を受け、8月から9月にかけては台風の接近や上陸が相次ぎます。さらに近年は局地的な大雨や短時間の集中豪雨も増えており、令和7年、2025年9月時点では、過去10年間に全国の約97%の市町村で水害または土砂災害が発生しました。水害による人的被害だけでなく、経済への影響も深刻化しており、令和5年、2023年の被害額は全国で約7,100億円に達しています。
こうした被害の拡大を防ぐために行われる活動が「水防」です。大雨や台風によって河川の水位上昇や高潮の危険が高まった際、市町村や地域の水防団が中心となって警戒活動や応急対応を行い、河川の越水や堤防の決壊を防ぐ役割を担っています。国や都道府県も気象情報や河川情報の提供、排水ポンプ車などの資機材支援を通じて現場を後方から支えています。
水防の最前線を担う水防団は、平常時から堤防の巡視や通信設備の確認、水防工法の訓練などを継続し、災害発生時に即応できる体制を整えています。洪水のおそれが高まった際には、危険箇所のパトロール、住民への避難誘導、立入り制限、土のうの設置、救助活動など、多岐にわたる任務にあたります。令和4年、2022年8月に東北地方を中心に発生した大雨では、青森県鶴田町を流れる河川で最高水位が一時堤防を超える高さまで達しましたが、地元の水防団が事前に積み上げた土のうによって氾濫を防ぐことができました。
全国で活動する水防団員は、多くの場合、消防団員が兼務しており、その総数は令和7年、2025年時点で735,357人となっています。地域防災を支える重要な存在ですが、人数は減少傾向が続いています。平成15年、2003年には940,444人だったことから、22年間で205,087人、率にして21.8%減少しました。年齢構成にも変化が見られ、60歳以上の割合は2003年の2.8%から2025年には10.6%へ上昇する一方、30歳未満の割合は大きく減少しており、若年層の確保と技術継承が大きな課題になっています。
一方で、近年はデジタル技術を活用した水防体制の強化も進められています。悪天候下で迅速な判断と情報共有を可能にするため、一部の地域では「デジタル水防」の実証が始まりました。令和7年、2025年から愛媛県大洲市、西予市、内子町の各水防団と行政機関が連携し、スマートフォンのアプリを活用した情報共有システムの実験が進められています。この仕組みでは、地域の河川情報や避難情報をワンタッチで確認できるほか、現場で撮影した写真や現在地を地図上で共有でき、水防活動の迅速化と判断精度の向上が期待されています。
水害への備えは、行政や水防団だけに任せるものではありません。家庭でも日頃から準備を進めることで、避難の遅れや情報不足による被害を防ぐことができます。その取り組みの1つとして注目されているのが「マイ・タイムライン」です。これは洪水のように時間の経過とともに危険度が変化する災害に対し、家族構成や居住環境に合わせて「いつ」「何をするか」を事前に整理しておく個別の行動計画です。
作成にあたっては、まず洪水ハザードマップを確認し、自宅や職場、学校周辺の浸水リスクや避難所の位置を把握します。そのうえで、河川水位や雨量情報、防災気象情報、避難情報などをどのように取得するかを確認し、実際に避難が必要となった場合の行動順序を時系列で整理していきます。高齢者や小さな子どもがいる家庭では、より早い段階で避難を開始する計画が重要になるとされています。
防災情報の取得を支援する新たな仕組みも実用化が進んでいます。令和7年、2025年6月からは、能登半島地震や豪雨で被災した石川県珠洲市で、防災支援システムの運用が始まりました。このシステムでは、携帯電話の位置情報を活用して現在地の洪水や津波、土砂災害の危険度を表示するほか、河川の水位情報や監視カメラ映像、防災学習コンテンツなどをリアルタイムで確認できます。今後は全国への展開も視野に検討が進められています。
水害リスク情報の整備も大きく前進しています。令和元年、2019年に発生した台風19号では、堤防が決壊した71河川のうち約6割にあたる43河川が、洪水浸水想定区域の指定義務がない中小河川でした。この課題を受け、令和3年、2021年7月の法改正により、洪水浸水想定区域の指定とハザードマップの作成対象が、すべての1級河川と2級河川へ拡大されました。
これにより、令和2年度、2020年度時点で約2,000河川だった指定対象は、約17,000河川へと大幅に拡大しました。新たに追加された約15,000河川については、令和7年度、2025年度末までに区域図の公表が完了する予定となっており、市町村によるハザードマップ整備も順次進められています。これまで空白となっていた地域の水害リスク情報が可視化されることで、より実効性の高い避難行動につながることが期待されています。
異常気象が日常化しつつあるなか、水害は決して特定地域だけの問題ではなくなっています。治水事業には莫大な費用と長い年月が必要とされる一方、地域の水防活動や家庭での備えは、今すぐ始めることができる現実的な防災対策です。命と財産を守るためには、共助と自助の両方を意識し、日頃から情報収集と避難準備を進めておくことが、これまで以上に重要になっています。
⇒ 詳しくは政府広報オンラインのWEBサイトへ


