2026年6月14日
労務・人事ニュース
2026年5月発表 日本経済は年率2.1%成長も中東情勢を警戒 政府が景気回復判断を維持
月例経済報告(5月)(内閣府)
政府は5月26日、2026年5月の月例経済報告を公表し、日本経済について「緩やかに回復している」との判断を維持しました。一方で、中東情勢の影響を引き続き注視する必要があるとし、先行きに対する警戒感も示しています。今回の報告では、企業収益や輸出、生産など幅広い分野で回復基調が確認されたものの、原油価格や金融資本市場の変動が国内経済へ与える影響に注意が必要との見解が盛り込まれました。
今回の基調判断では、個人消費について「持ち直しの動きがみられる」と評価しました。ただし、消費者マインドが弱い動きとなっている点には引き続き注意が必要としています。2026年1月から3月期の実質GDP成長率は前期比0.5%増、年率換算では2.1%増となり、2四半期連続のプラス成長となりました。民間最終消費支出や設備投資、公的固定資本形成などがプラスに寄与し、景気を下支えした形です。
消費関連では、小売業販売額が3月に前月比1.0%増となったほか、外食や家電販売も緩やかな増加傾向が続いています。新車販売についても、自動車税環境性能割の廃止を背景に持ち直しの動きがみられました。その一方で、旅行需要は弱含みとなっており、家計の節約志向が一部で継続している状況も浮き彫りになっています。
設備投資については「持ち直している」との判断を据え置きました。2025年10月から12月期の法人企業統計では、設備投資は前期比3.5%増となり、非製造業を中心に増加しました。企業による省力化投資やデジタル関連投資への需要が支えとなっている状況です。機械受注も持ち直しが続いており、企業の投資意欲は一定水準を維持しているとみられています。
一方で、住宅建設は弱含みの状態が続いています。3月の新設住宅着工戸数は年率73万6,000戸となり、前月比1.9%減となりました。持家や分譲住宅の低迷が続いており、高止まりする建築コストや住宅価格が影響している可能性があります。
公共投資は堅調に推移しています。2025年度補正予算では約2.5兆円の追加額が計上され、補正後の公共事業関係費は前年度比2.3%増となりました。さらに、2026年度一般会計予算でも公共事業関係費は前年度比0.4%増となっており、インフラ整備や防災関連投資が景気を支える構図が続いています。
輸出については、おおむね横ばいとの判断が維持されました。米国向け輸出では持ち直しの動きがみられ、EU向け輸出も改善傾向が続いています。一方、中東向け輸出は減少しており、地政学リスクの高まりが貿易活動へ影響を与えている状況です。輸入もおおむね横ばいで推移しており、貿易・サービス収支は全体として均衡状態にあると分析されました。
生産活動については「横ばい」との評価が示されました。3月の鉱工業生産指数は前月比0.4%減となったものの、輸送機械や電子部品分野では持ち直しの動きも確認されています。4月と5月の生産予測では、それぞれ2.1%増、2.2%増が見込まれており、先行きについては一定の回復期待も残されています。
企業収益については「改善の動きがみられるが、中東情勢の影響を注視する必要がある」と表現が変更されました。上場企業の2026年1月から3月期決算では、製造業、非製造業ともに経常利益が前年を上回りました。ただ、先行きの業況判断については慎重な見方も増えており、企業側の警戒感がうかがえます。
倒産件数は増加傾向が続いています。4月の倒産件数は883件となり、高水準で推移しました。人件費や原材料価格の上昇、金利負担の増加などが企業経営に影響を与えているとみられます。
雇用情勢については改善傾向が続いています。完全失業率は3月時点で2.7%となり、人手不足感も高水準を維持しています。賃金面では定期給与や現金給与総額が増加しており、実質総雇用者所得も緩やかに増加しています。ただし、正社員求人には減少傾向もみられ、雇用市場では業種ごとの差が広がっています。
物価動向では、消費者物価が緩やかに上昇していると分析されました。4月の消費者物価指数は、生鮮食品とエネルギーを除く総合指数で前年比1.8%上昇しました。企業物価についても上昇傾向が続いており、原材料価格やエネルギー価格の影響が継続しています。
政府は中東情勢への対応策として、燃料油に対する緊急的な激変緩和措置を実施しているほか、代替調達や備蓄放出を通じて原油の安定供給を図る方針を示しました。また、「リスクの最小化」の観点から、資金面で万全の備えを講じるため、2026年度補正予算を編成するとしています。
世界経済については、一部地域で弱さがみられるものの、全体としては緩やかな持ち直しが続いていると分析されました。米国経済は緩やかな拡大が続き、中国経済は減速傾向、欧州経済は持ち直しの動きがみられるとしています。ただし、世界的に中東情勢による不透明感が高まっており、金融市場や原油価格への影響を引き続き警戒する必要があるとしています。
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