2026年7月27日
労務・人事ニュース
和歌山県の令和8年5月有効求人倍率0.96倍、卸売業・小売業29.5%減で見直す求人改善
和歌山県の令和8年5月有効求人倍率0.96倍と求職者増加局面の採用対策
令和8年6月30日、和歌山労働局は令和8年5月分の一般職業紹介状況を公表しました。県内の雇用情勢については、持ち直しの動きに弱さがみられ、引き続き物価上昇等が雇用に与える影響に注意する必要があるとされています。令和8年5月の有効求人倍率は季節調整値で0.96倍となり、前月から0.04ポイント低下しました。近畿の有効求人倍率は1.08倍で前月と同水準、全国は1.17倍で前月から0.01ポイント低下しており、和歌山県は近畿平均と全国平均のいずれも下回っています。有効求人倍率が1倍を下回るということは、数字上は求人数より求職者数が多い状態を示します。しかし、中小企業の採用担当者は、この0.96倍という数字だけを見て「応募者が集まりやすい」と判断するべきではありません。求人と求職の数が近づいていても、職種、勤務地、勤務時間、賃金、雇用形態が合わなければ採用には結びつかないためです。
令和8年5月の有効求人数は季節調整値で14,479人となり、前月比2.9%減少しました。有効求人は4か月連続の減少です。一方、有効求職者数は15,154人で、前月比1.9%増加し、4か月ぶりの増加となりました。求人が減り、求職者が増えたことで、有効求人倍率は0.96倍まで低下しています。原数値で見ても、有効求人数は14,130人で前年同月比12.2%減となり、12か月連続で前年同月を下回りました。有効求職者数は15,809人で前年同月比4.2%増となり、10か月連続で増加しています。この動きからは、企業側が採用に慎重になり、求職者側では仕事を探す人が増えている構図が読み取れます。ただし、採用担当者にとって重要なのは、求職者が増えていることそのものではなく、自社の求人が求職者に選ばれる内容になっているかどうかです。
新規求人倍率は季節調整値で1.70倍となり、前月から0.02ポイント低下しました。新規求人数は5,250人で前月比1.0%増となり、2か月連続で増えています。一方、新規求職者数は3,095人で前月比2.4%増となり、3か月連続で増加しました。直近では新たに求人を出す企業も、新たに仕事を探し始める人も増えていますが、倍率は1.70倍であり、新規求人は新規求職者を大きく上回っています。原数値では、新規求人数は4,758人で前年同月比16.0%減となり、8か月連続で前年同月を下回りました。新規求職者数は3,057人で前年同月比3.5%減となり、8か月ぶりに減少しています。採用市場には、短期的には求職者が増えつつある一方で、前年と比べれば新たに動く人材が限られているという複雑な状況があります。中小企業は、求人を掲載して待つだけでなく、応募後の初回連絡、面接日程の提示、選考結果の案内を速やかに行う体制を整える必要があります。
産業別の新規求人を見ると、令和8年5月は全体で4,758人となり、前年同月より904人減少しました。主要産業では、医療、福祉が1,589人で最も多く、全体の33.4%を占めています。次いで製造業が601人、卸売業、小売業が453人、サービス業が435人、建設業が377人、運輸業、郵便業が249人、宿泊業、飲食サービス業が246人となっています。前年同月差では、卸売業、小売業が190人減、医療、福祉が144人減、宿泊業、飲食サービス業が137人減、建設業が108人減、サービス業が107人減となっており、多くの主要産業で求人が減っています。求人が減っている局面では、企業が人材不足を解消したというより、物価上昇、人件費、仕入れ価格、先行き不透明感を背景に、採用人数や募集時期を絞っている可能性があります。採用担当者は、求人を減らして様子を見るだけではなく、本当に必要な人材を採るために求人内容の精度を高めることが大切です。
医療、福祉は前年同月比8.3%減となったものの、新規求人数は1,589人と県内最大の求人分野です。介護、福祉、医療関連の求人では、資格や経験の有無だけで応募者を判断するのではなく、勤務体制、夜勤の有無、利用者や患者への対応内容、教育担当者、資格取得支援、身体的負担への配慮、職員同士の連携を丁寧に示すことが重要です。未経験者やブランクのある人は、応募前に「自分にできるか」「職場で相談できるか」「生活と両立できるか」を気にしています。求人票に「未経験歓迎」と書くだけでは不十分で、入職後にどの業務から始めるのか、研修期間はどの程度か、どのような人が教育を担当するのかを具体的に伝えることで、応募の不安を下げられます。
製造業は601人で前年同月比9.9%減となりました。中小製造業が採用を進める場合、「製造スタッフ」「工場作業」といった表現だけでは、求職者に仕事の中身が伝わりにくくなります。扱う製品、担当工程、機械操作の有無、必要な資格、未経験者への教育、安全対策、交替勤務の有無、残業時間の目安を具体的に示すことが大切です。経験者採用が難しい場合は、即戦力だけを待つのではなく、未経験者を育成できる工程と経験者に任せる工程を分けて考える必要があります。業務を分解すれば、若手だけでなく、シニア人材、短時間勤務を希望する人、異業種からの転職者にも応募対象を広げられます。
卸売業、小売業は453人で前年同月比29.5%減となり、減少幅が大きくなりました。小売や販売の現場では、勤務時間、シフト、土日勤務、接客範囲、立ち仕事の負担、教育体制が応募判断に影響します。求職者は給与だけでなく、働く時間帯や休みの取りやすさを重視しています。中小企業が販売職を募集する場合は、仕事内容を「接客・販売」とまとめるのではなく、レジ対応、品出し、在庫管理、発注、顧客対応などの範囲を分けて説明すると、応募者が働く姿を想像しやすくなります。宿泊業、飲食サービス業も246人で前年同月比35.8%減となっており、採用計画に慎重さが見られますが、現場の人手不足がなくなったとは限りません。シフトの柔軟性、繁忙期の働き方、まかない、研修、急な休みへの対応を正直に伝えることが、応募後のミスマッチ防止につながります。
正社員の有効求人倍率は原数値で0.82倍となり、前年同月より0.09ポイント低下しました。正社員有効求人数は6,756人で前年同月比7.3%減、正社員有効求職者数は8,240人で前年同月比2.5%増となっています。正社員を希望する求職者が求人を上回っているため、数字上は企業側が採用しやすいように見えます。しかし、求職者は正社員という雇用形態だけで応募を決めるわけではありません。給与、昇給、賞与、休日、残業、転勤の有無、評価制度、教育体制、職場の人間関係を総合的に確認しています。中小企業が正社員を募集する場合は、安定雇用に加えて、入社後に任せる仕事、研修の進め方、評価の基準、将来的な役割を具体的に示すことが必要です。
求職者側の動きでは、新規求職者のうち在職者が621人で前年同月比15.0%減、離職者が2,100人で0.2%減となりました。在職中に転職活動を始める人が減っている点は、経験者採用を考える中小企業にとって大きな課題です。在職者は現在の職場と比較しながら応募先を選ぶため、給与だけでなく、通勤のしやすさ、休日の取りやすさ、残業の少なさ、仕事の裁量、職場の雰囲気、地域で長く働ける安心感を見ています。和歌山県では有効求人倍率が1倍を下回っていますが、求人情報が曖昧な企業は、求職者が増える局面でも選ばれにくくなります。採用担当者は、応募者に求める条件ばかりを書くのではなく、応募者がその会社で働く理由を見つけられる情報を整えるべきです。
令和8年5月の和歌山県の雇用情勢から、中小企業の採用担当者が取るべき方向性は明確です。有効求人倍率0.96倍は求職者が求人を上回る状態を示していますが、新規求人倍率は1.70倍であり、直近の採用では求人が求職者を大きく上回っています。有効求人は4か月連続で減少し、原数値では12か月連続で前年同月を下回っていますが、医療、福祉、製造、販売、サービスなどでは依然として一定の求人需要があります。採用担当者は、必須条件と歓迎条件を分け、未経験者を育成できる業務、短時間勤務でも任せられる業務、シニア人材やブランクのある人が活躍できる業務を整理することが大切です。求人票では、仕事内容、給与、休日、残業、教育体制、職場環境、選考の流れを具体的に示し、応募後は速やかに連絡することが採用成功につながります。採用競争が続く中で、求人募集を効果的に行うには、求人情報の発信に加えて応募者対応や採用管理の仕組みづくりも欠かせません。求人募集や採用サイト(ATS)の活用をお考えの企業様は、当社までお気軽にご相談ください。
⇒ 詳しくは和歌山労働局のWEBサイトへ


