2026年9月20日
労務・人事ニュース
有効求人倍率が上昇する甲信越、2026年秋は製造業の増員求人が伸びる一方で10月の最低賃金50円以上引き上げに警戒
景気ウォッチャー調査(令和8年8月調査)― 甲信越(先行き)―(内閣府)
2026年8月の甲信越では、今後の景気について観光や製造業に改善への期待がみられる一方、物価高や人件費上昇が続き、雇用市場では求人増加と採用への慎重姿勢が併存する見通しとなっています。
雇用面では、有効求人倍率が上昇し、求人数も伸びていることから、今後はやや改善するとの見方が示されました。ただし、今回の資料には有効求人倍率の具体的な数値までは示されていません。
製造業では新規事業に伴う増員の動きがあり、求人数が増加しているとの回答があります。一方、中東情勢などの影響で厳しい経営環境に置かれている業種もあり、雇用全体では横ばいとの見方も出ています。
求人市場が全面的に改善しているわけではなく、人材確保への動きが低調な状態はすぐに変わらないとの指摘もあります。食品などの値上げを不安視する求職者もおり、生活環境が就職活動にも影響しています。
企業の採用コストを考えるうえでは、10月から最低賃金が50円以上引き上げられるとの見通しが注目されます。人件費負担が増えるため、特に中小企業では人員配置や募集条件への影響が考えられます。
一方、製造業では明るい材料も確認されています。半導体の需給が回復するとの見方があるほか、電気機械関連では2~3か月先まで受注を確保している企業もあり、生産活動を支える需要が続く見込みです。
AI関連の需要も底堅く、IT関連でも持ち直しが続くと予測されています。ただし、非製造業では物価高による消費抑制が続くとの見方があり、求人需要も産業ごとに異なる可能性があります。
観光分野では、秋の行楽シーズンを前に予約が堅調です。ある都市型ホテルでは8月に過去最高の売上を記録したうえ、9月の客室予約も前年実績を約20%上回る水準に達しています。
特に9月の大型連休は宿泊需要が強く、客室単価が高い状態でも予約が入っているとの回答があります。団体旅行も秋に増えており、宿泊や観光関連の人材需要を支える材料になりそうです。
観光型の宿泊施設では、3か月後に値上げを予定しているものの、利用者からおおむね理解を得られているとの回答もあります。価格上昇が続く環境でも、観光需要そのものは一定の強さを維持しています。
交通関連では、タクシー運賃が翌月から約1割引き上げられる予定との回答がありました。利用客が大きく減らなければ売上増加が期待される一方、価格上昇による利用控えが起きるかは確認が必要です。
小売では9月から食品を中心に多くの商品で値上げが予定され、消費の冷え込みを警戒する声があります。高額商品が売れる一方、日常的に使う商品の販売が伸びず、消費の2極化も指摘されています。
スーパーでは米価格が下がる一方、秋にかけて多くの商品価格が上昇すると見込まれています。家計が値上げにどのように反応するか不透明で、消費者の節約志向が再び強まる可能性があります。
コンビニでも、8月の繁忙期を過ぎた11月にはイベントや年末商材が少なく、景況感がやや悪化するとの見方があります。最低賃金上昇やエネルギー価格の負担も経営を圧迫する要因となっています。
特に小規模な事業者では、人件費とエネルギー費の上昇が重く、毎年の経費増加に耐えることが難しくなっているとの声があります。求人を出したくても採算面から慎重にならざるを得ない状況も考えられます。
その一方、若い経営者が空き物件を活用して新たに事業を始める動きもみられます。従来とは異なる販売方法で集客する例が出ており、地域経済の新しい動きとして今後が期待されています。
甲信越の採用市場では、有効求人倍率の上昇と製造業の増員需要が前向きな材料です。ただ、最低賃金50円以上の引き上げや物価高を受け、採用コストを慎重に見極める企業も増える可能性があります。
求職者側でも物価高に賃金上昇が追い付かず、先行きへの不安が続いています。最近の派遣契約更新に関する相談からも、今後の求職活動が景気動向に左右されやすい状況がうかがえます。
2026年秋の甲信越では、観光需要や半導体、AI関連などが景気を支える一方、個人消費は値上げの影響を受ける見通しです。求人も製造業を中心に増える動きがあるものの、全体では横ばい感が残ります。
企業の採用担当者にとっては、有効求人倍率の上昇だけでなく、10月の最低賃金引き上げ、製造業の増員、観光需要の回復を合わせて確認することが重要です。業種ごとの採用環境には今後も差が続きそうです。
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