2026年8月3日
労務・人事ニュース
自動運転社会を支える通信インフラ戦略を策定 2030年度10,000台規模の普及目標へ
「自動運転社会を支える通信インフラ戦略」の公表(総務省)
2026年7月14日、自動運転の普及を支える通信環境の整備を加速させるため、「自動運転社会を支える通信インフラ戦略」が公表されました。地域における移動手段の確保や物流の維持など、さまざまな社会課題の解決策として期待される自動運転の実装を見据え、安全で円滑な運行を支える通信インフラの強化や、技術・サービスの実装、事業化に向けた取り組みを整理した内容となっています。
近年は、運転手不足による地域交通や物流の維持が大きな課題となる一方で、AI技術の進歩によって自動運転技術も急速に高度化しています。自動運転は交通事故の減少や農業、林業分野での人手不足への対応など幅広い分野で活用が期待されており、社会インフラとしての役割が一段と重要になっています。
2023年4月には自動運転レベル4を制度上可能とする法制度が施行され、自動運転の社会実装に向けた取り組みが本格化しました。その後も自動運転技術の開発や実証が進み、一般道や高速道路でさまざまな実証事業が行われるなど、自動運転の実現に向けた環境整備が進展しています。
今回策定された戦略では、自動運転の安全性と安定した運行を支える通信インフラの整備を重要な課題として位置付けています。無人自動運転では遠隔から車両や道路状況を映像や音声で確認する遠隔監視が必要になるため、常時安定した通信環境の確保が欠かせません。また、運行管理やソフトウェア更新などにも通信環境が必要となることから、高品質な通信基盤の整備が求められています。
通信インフラの高度化では、5G SAによる高品質な通信環境の整備や、ITS通信による信号情報、右左折、合流地点などの情報提供を通じて、自動運転車の安全で円滑な走行を支援することが盛り込まれました。さらに、オール光ネットワークの活用によって長距離でも低遅延の通信を実現し、AIによる画像分析や運行の最適化につなげる方向性も示されています。
戦略では、自動運転を支える通信インフラ整備を進めるための基本的な考え方として、通信インフラの整備拡充と高度化、自動運転の実装主体と通信インフラ主体による連携・共創、そして実証で終わらせず事業化につなげるエコシステムの構築という3つの柱を掲げています。それぞれを個別ではなく相互に連携させながら推進することで、自動運転社会の実現を加速させる方針です。
具体的な施策としては、自動運転ニーズが高い地域を中心に5G SAなどの携帯基地局やITSインフラの早期整備を推進するとともに、通信インフラ整備や地域実証への支援を進めます。また、自動運転と通信に関わる関係者が課題や情報を共有するための会合を設置し、実装に向けた連携をさらに深める考えです。
加えて、自動運転の実証事業では技術面だけでなく、費用対効果や実運用まで見据えた事業モデルの構築を重視します。地域での実証を通じて通信利用の有効性を検証し、その成果を他地域へ展開することで、持続可能な自動運転サービスの普及を目指します。遠隔監視などで必要となる通信性能についても、共通のガイドラインを策定する方針が示されました。
通信環境を支える制度面では、5.9GHz帯のITS通信向け周波数の早期利用拡大に向けた既存無線局の移行や関連制度の整備を進めるほか、オール光ネットワークの展開を通じて情報通信基盤全体の高度化も図ります。こうした環境整備を進めることで、自動運転の本格普及に必要となる通信基盤の強化を着実に進める考えです。
今後のロードマップでは、2027年度以降に高速道路や地域交通で自動運転の展開を進めながら、通信インフラ整備も段階的に拡大していく計画です。先行的事業化地域での社会実装を進めた後、全国への展開を目指すほか、自動運転サービス車両を2030年度までに10,000台規模へ拡大する目標も示されています。通信インフラについても5G SAの整備やITSインフラの全国展開、さらには6Gなど次世代通信技術も見据えた取り組みが進められる予定です。
自動運転を支える通信インフラは、携帯通信とITS通信を組み合わせて活用することが基本となります。携帯通信は遠隔監視や運行管理、ソフトウェア更新などに活用され、ITS通信は信号情報や交差点での歩行者、自転車、車両などの情報提供を通じて安全な走行を支援します。それぞれの特長を生かした通信環境を整備することで、自動運転の実用化と社会への定着を後押しする取り組みが今後本格化していく見通しです。
⇒ 詳しくは総務省のWEBサイトへ


