2026年8月2日
労務・人事ニュース
令和8年6月先行き 近畿景気、AI時代の事務職求人減少と採用担当者が知るべき人材市場の変化を詳しく分析
景気ウォッチャー調査(令和8年6月調査)― 近畿(先行き)―(内閣府)
令和8年6月に実施された景気ウォッチャー調査の近畿地域では、今後2~3か月先の景気について、夏休みやボーナス商戦、観光需要、インバウンド消費などを追い風として回復を期待する声がある一方、中東情勢や原油価格、物価上昇、円安、資材不足、金利上昇など数多くの不安要素が残り、全体としては慎重な見方が広がっています。業種ごとに景況感の差は大きく、明るい材料と課題が混在する状況となっています。
百貨店では食料品売場の改装や猛暑を見据えた紫外線対策商品の販売強化により来店客数の増加が期待されています。また、株価の上昇による富裕層の消費意欲の高まりや、円安を背景としたインバウンド需要の継続にも期待が寄せられています。中東情勢の落ち着きや中国経済の回復を見込む声もあり、高級品を中心とした売上には一定の追い風が期待されています。
一方で、百貨店各社からは消費の二極化がさらに進むとの見方も多く示されています。富裕層や訪日外国人による高額商品の購入は堅調に推移する一方、一般消費者では物価高による生活防衛意識が強まり、購入を必要最小限に抑える傾向が続いています。クリアランスセールでも以前ほどの集客は期待しにくく、お中元需要の縮小や海外旅行需要の減少も販売環境に影響を与えると予想されています。
スーパーでは自治体の商品券やプレミアム付商品券、地域通貨などの消費喚起策によって売上の底上げを期待する声があります。梅雨明け後の夏季需要やボーナス商戦も追い風になると見込まれていますが、その一方で定期的な値上げや原材料価格の高騰が続いており、消費拡大につながる決定的な材料は少ないとの見方も目立っています。最低賃金の引上げも予定されていることから、今後も物価上昇が続く可能性が指摘されています。
コンビニでは気温上昇による飲料や中食商品の販売増加、長期休暇中の来店客数増加、季節限定商品の販売などに期待が寄せられています。しかし、多くの商品で値上げが続く見込みとなっており、来店客数は伸び悩む一方、客単価の上昇によって売上を維持する構図が続くと予想されています。節約志向は今後も続くとみられ、販売数量の大幅な回復は容易ではありません。
家電量販店では補助金制度の浸透や新しい省エネ基準の導入を背景に、エアコンや冷蔵庫など省エネ家電への買換え需要が期待されています。猛暑予想も販売には追い風となりますが、それ以外の商品では価格上昇や補助制度の見直しによる買い控えも予想されており、売上は商品分野によって明暗が分かれる見通しです。また、中東情勢による部品供給や納期への影響も懸念されています。
飲食業界では中国からのインバウンド回復やボーナス需要を期待する声がある一方、円安による仕入価格の上昇や物流費、光熱費の増加によって利益確保は難しい状況が続いています。一般レストランでは販売価格への転嫁が進むことで利用者減少を懸念する意見も多く、価格改定と集客維持の両立が重要な課題となっています。
ホテルや旅行関連では前年並みの予約を確保している施設もありますが、大阪・関西万博による特需の反動を懸念する声もみられます。中東情勢の改善によって欧州方面への旅行需要や航空運賃の安定化に期待する旅行会社もある一方、宿泊料金の上昇や節約志向によって利用単価は伸びにくいと予想されています。テーマパークやレジャー施設では夏休み需要を見込むものの、利益面では慎重な見方が続いています。
住宅市場では資材価格や建築コストの高騰に加え、住宅ローン金利の上昇によって住宅購入を検討する消費者の慎重姿勢が強まっています。新築マンションでは供給戸数の増加による競争激化も見込まれ、販売の長期化を懸念する声が出ています。住宅設備関連では人手不足が続いており、限られた人員で現場を維持する状況が続くなど、人材確保が重要な経営課題となっています。
企業活動では木材木製品製造業や化学工業、金属製品製造業などで改善を期待する声があります。新規事業への挑戦や新製品の受注拡大、市場環境の改善を見込む企業もありますが、原材料価格の高止まりやナフサ不足、円安、借入金利の上昇など収益を圧迫する要因は依然として多く残っています。建設業では資材価格の高騰や納期遅延への対応、輸送業では運賃交渉の難航など、利益確保には厳しい経営環境が続いています。
雇用情勢では、人材派遣会社から下半期に向けて徐々に回復するとの期待が示されているほか、職業安定所でも求人数は増加傾向にあり、現時点では雇用への影響は限定的との見方が示されています。一方で、中東情勢が長期化した場合には新規求人数への影響が懸念されており、企業は採用計画を慎重に見直す必要があります。有効求人倍率に関する大きな悪化は示されていませんが、業種による採用格差は広がっており、人材不足が続く業界では求人活動を継続する動きがみられます。
民間職業紹介会社では閑散期に入り、求人数と求職者数の双方が減少する見通しとなっています。また、大学では若年人口の減少や従業員の高齢化を背景に、積極的に求人を増やす企業もみられる一方、人材派遣業界では事務職案件の減少やAI活用の拡大による雇用構造の変化も課題として挙げられています。企業には単なる給与水準だけではなく、教育制度や福利厚生、柔軟な働き方などを含めた総合的な採用力の強化が求められています。
今回の近畿地域の調査では、ボーナス商戦や夏休み需要、インバウンド消費など景気を支える材料がある一方、物価上昇や資材不足、円安、金利上昇、中東情勢など多くの不透明要因が企業活動や個人消費へ影響を与えていることが明らかになりました。求人市場では人材不足が続く業種と採用を慎重に進める業種との差が広がっており、企業には経営環境の変化を的確に見極めながら、採用力の強化と人材定着を両立させる中長期的な人材戦略がこれまで以上に重要になると考えられます。
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