2026年8月5日
労務・人事ニュース
2026年7月にScope3カテゴリ1算定へ活用開始、農産物24品目・畜産物2品目対応のGHG簡易算定シートが本格始動
フードサプライチェーンの温室効果ガス(GHG)排出量削減の取組が本格始動(農水省)
2026年7月17日、フードサプライチェーン全体で温室効果ガス(GHG)排出量の削減を進める新たな取組が本格的に動き始めました。2026年7月16日には、食品メーカーや流通事業者、農業関係団体などが参加する枠組みにおいて、GHG簡易算定シートを食品企業などのScope3カテゴリ1の算定に活用する方針が公表されました。
今回の取組は、生産段階におけるGHG排出量の把握と削減を進めるために整備されたGHG簡易算定シートの活用を広げるものです。これにより、生産現場で算定されたデータを食品企業などの排出量算定へ反映し、サプライチェーン全体で排出量削減を進める仕組みづくりが本格化します。
GHG簡易算定シートは、「農産物の環境負荷低減に関する評価・表示ガイドライン」に基づいて普及が進められている仕組みです。生産者が自らの生産活動に伴うGHG排出量を簡便に算定できるよう設計されており、現在は農産物24品目と畜産物2品目を対象として整備が進められています。
食品企業では、自社から直接排出される温室効果ガスだけでなく、取引先を含めたサプライチェーン全体の排出量を把握し、削減することが重要な経営課題となっています。特に、仕入れた原材料に由来する排出量であるScope3カテゴリ1は、排出量全体の中でも大きな割合を占める分野です。
しかし、農畜産物由来の排出量については、生産者ごとの一次データを収集し、それぞれの排出量へ反映することが難しいケースが少なくありません。そのため、これまでは平均値や推計値を用いた算定が行われる場合も多く、生産現場で取り組まれた排出削減の成果が十分に反映されにくい状況がありました。
GHG簡易算定シートを活用することで、生産者は自らの生産活動に伴う排出量を算定できるようになります。さらに、食品企業が生産者と連携して算定結果を活用すれば、生産者によるGHG排出量削減の取組をScope3カテゴリ1の算定へ反映できるようになります。
2026年7月1日には、「農産物の環境負荷低減に関する評価・表示ガイドライン別冊Ver1.0」が公表されました。この中では、GHG簡易算定シートとGHGプロトコルなどの主な国際基準との整合性が整理されるとともに、生産者自身の排出量や食品企業などのScope3カテゴリ1の算定に活用できることが明確に示されています。
食品企業からは、導入を検討するに当たり、主な国際基準との整合性を示してほしいとの声が寄せられていました。今回の整理によって、GHG簡易算定シートの活用に向けた環境が整えられ、企業が導入を進めやすくなることが期待されています。
その後、2026年7月16日には、生乳分野などを対象として、GHG簡易算定シートを食品企業によるScope3カテゴリ1の算定ツールとして活用する方針が示されました。これは、2026年7月1日に整合性が公表されて以降、GHG簡易算定シートの活用に向けた初めての連携事例となります。
今回の取組では、生産現場で得られた一次データを食品企業のScope3算定へ活用することで、生産現場への投資や支援を促す仕組みづくりにつなげることも期待されています。排出量の把握だけでなく、生産段階での削減努力をサプライチェーン全体で評価しやすくなる点が特徴です。
また、2026年6月に公表された「みどり加速化GXプラン」に基づき、GX投資を促しながら食品業界全体でGHG排出量削減を加速させる重要な取組として位置付けられています。生産者と食品企業が連携しながら排出量削減を進める動きが、今後さらに広がることが期待されています。
今後は、食品企業、流通事業者、金融機関などとの連携を広げながら、GHG簡易算定シートの活用拡大が進められます。生産者と食品企業が同じデータを活用し、フードサプライチェーン全体で排出量削減へ取り組む体制づくりが進展していく見通しです。
今回の取組は、生産現場の一次データをサプライチェーン全体の排出量算定へ活用する新たな第一歩となります。生産から調達までを一体的に捉えたGHG排出量の把握と削減を進めることで、食品分野全体における環境負荷低減の取組が一層加速していくことが期待されています。
⇒ 詳しくは農林水産省のWEBサイトへ


