2026年4月6日
労務・人事ニュース
役員報酬を上回る会費支払いがある場合は被保険者資格なしと判断される基準とは
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法人の役員である個人事業主等に係る被保険者資格の取扱いについて(厚労省)
令和8年3月18日、法人の役員である個人事業主等に関する健康保険および厚生年金保険の被保険者資格の取扱いについて、新たな整理が示された。今回の対応は、従来の通知に基づく運用を踏まえつつ、近年確認されている実態に対応するため、判断基準をより明確にすることを目的としている。
近年、社会保険料の削減を目的として、個人事業主やフリーランスを法人の役員としながら、実態としては本来の雇用関係が認められない可能性のある事例が指摘されている。具体的には、役員としての報酬を受け取る一方で、それを上回る額を会費等の名目で支払わせるケースが存在しており、制度の適正な運用に対する懸念が高まっている。
このような状況において、本来は国民健康保険や国民年金の適用対象となるべき者が、より低い保険料で被用者保険の適用を受けている可能性があるとされている。そのため、制度の公平性や信頼性を確保する観点から、被保険者資格の判断における基準が改めて示された。
基本的な考え方として、法人の役員であっても、労務の対価として報酬を受けている場合には被保険者資格を取得することが原則とされている。ただし、その判断は形式的な役職ではなく、実態に基づいて行われる点が重要である。具体的には、経営に参画する継続的な労務の提供があるかどうか、そしてその対価として報酬が継続的に支払われているかが重要な判断要素となる。
一方で、役員会への出席のみで実質的な業務を行っていない場合や、求めに応じて意見を述べるにとどまる場合などは、経常的な労務提供とは認められないとされている。また、旅費などの実費弁償や一時的な支払いについても、報酬としての性質を持たない場合には判断の対象外となる。
今回の整理では、特に法人の役員である個人事業主等について、より厳格に実態を確認する必要性が示されている。役員報酬が業務の対価として認められるためには、継続的かつ相当な水準で支払われている必要があるが、報酬を上回る会費等の支払いがある場合には、その実態が否定される可能性が高いとされている。
さらに、業務内容についても詳細な判断が求められている。単なる自己研さんや情報共有にとどまる活動、あるいは法人の事業紹介への協力といった内容では、経営への参画とは認められない場合がある。そのため、指揮監督権の有無や決裁権の有無、定期的な業務への関与状況などを総合的に確認することが必要とされている。
また、法人に使用されている実態がないと判断された場合には、被保険者資格を有しないものとされ、資格喪失の手続きが求められる。事実と異なる届出は法令に抵触する可能性があるため、適正な運用が強く求められている。
今回の対応は、制度の抜け道を利用した不適切な運用を防ぐとともに、本来の趣旨に基づいた公平な社会保険制度を維持するためのものである。実態に即した判断を徹底することで、制度の信頼性を高めることが期待されている。
今後は、個別の事例ごとに具体的な実態を丁寧に確認しながら、適切な適用判断を行うことが重要となる。形式的な役職や契約内容だけでなく、実際の業務内容や報酬の実態に基づく運用が、より一層求められる状況となっている。
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ


