2026年4月18日
労務・人事ニュース
倒木事故200件の抑制へ向けた新技術活用と巡回強化
街路樹点検の実施促進に向けた新たなガイドラインを策定 ~優先順位に基づく定期巡回と新技術活用を推進~(国交省)
2026年3月30日、国土交通省は街路樹の点検体制を強化するため、新たなガイドラインを策定したと発表した。道路管理者が限られた人員や予算の中でも実効性のある点検を実施できるよう、優先順位に基づく定期巡回の考え方や新技術の活用方針を整理した内容となっている。
街路樹は景観形成や環境改善に寄与する一方で、倒木や落枝による事故のリスクも抱えている。調査によれば、街路樹の倒木は年間平均で約5,200本発生しており、これに起因する事故も年間約200件確認されている。こうした現状は、安全確保の観点から点検体制の強化が急務であることを示している。
しかし実際の点検状況を見ると、遠くから樹木の状態を確認する通常巡回は概ね実施されている一方で、徒歩などによる近接目視を基本とする定期巡回については、約6割の道路管理者で未実施となっている。専門的な知識や人手の不足が背景にあり、現場では十分な点検が行き届いていない実態が浮き彫りとなっている。
こうした課題を踏まえ、2025年9月に設置された検討の場で議論を重ねた結果、今回のガイドラインが取りまとめられた。新たな指針では、すべての管理者が一律に高度な点検を求められるのではなく、実施可能な範囲から段階的に取り組めるよう工夫されている点が特徴である。
具体的には、過去に倒木などの事故が発生した路線や同じ樹種の街路樹については再発防止の観点から優先的に点検対象とし、さらに通学路など子どもの安全確保が求められる場所についても重点的な対応が求められている。これらの対象については、概ね年1回の定期巡回を基本とする考え方が示された。
また、点検の効率化と精度向上を図るため、新技術の導入や検証の方向性も明確化された。従来の目視点検を補完する手段としての活用が期待されており、今後は技術の進展に応じて現場への導入が進むことが見込まれる。これにより、人的負担の軽減と安全性の向上の両立が図られる可能性がある。
国土交通省は今後、このガイドラインを全国の道路管理者に広く周知し、街路樹点検の実施率向上を目指す方針を示している。倒木や落枝による事故を未然に防ぐための取り組みとして、地域の実情に応じた運用が求められることになる。
街路樹の維持管理は、単なる景観の問題にとどまらず、道路利用者の安全確保に直結する重要な分野である。今回のガイドラインは、実務に即した形での改善を促す内容となっており、今後の点検体制の変化と事故防止への効果が注目される。
⇒ 詳しくは国土交通省のWEBサイトへ


