2026年4月28日
労務・人事ニュース
65歳定年制で多数が継続選択、柔軟勤務と両立する働き方
高年齢者の多様なキャリアと企業の人事労務管理(JILPT)
2026年3月31日、高齢者の就業実態と企業の人事労務管理の在り方を分析した研究結果が公表された。本調査は、65歳定年制や定年廃止といった制度を導入している8社を対象にヒアリングを行い、60代前半と65歳以降での働き方や処遇の違いに焦点を当てている。
調査ではまず、高齢期における仕事内容の連続性が高い点が明らかになった。管理職を除く多くのケースで、60歳前後から65歳前後にかけて業務内容に大きな変化はなく、従来の業務が継続されている。こうした背景には、労働需要が供給を上回る状況があるとされる。
65歳定年制を採用している企業では、多くの従業員が定年延長を選択する傾向が確認された。一方で、短時間勤務や短日数勤務といった柔軟な働き方へのニーズも引き続き存在しており、長期就業と多様な勤務形態が並存する実態が示されている。
賃金制度については、60歳を境に水準を見直す企業も見られた。具体的には60歳時点の70%や80%程度に設定するケースがある一方で、同水準を維持する企業も存在する。こうした差は、役職や業務負担の変化に応じた調整や、人件費構造の持続性確保といった観点から説明されている。
また、評価制度や賞与については、60歳以前と同様の仕組みを維持する企業が多く、能力や成果に応じた処遇を継続する傾向が確認された。年齢ではなく成果を重視する制度への移行は、制度全体の整合性を確保するうえで重要な要素となっている。
一方で、65歳以降の雇用は質的に異なる段階として扱われる傾向がある。雇用継続の判断基準はより厳格となり、契約期間や勤務時間の柔軟性が重視される。健康リスクの高まりや個人差の拡大が制度設計に影響を与えており、個別対応を前提とした運用が進められている。
実際の働き方としては、フルタイムに加えて短時間勤務や短日数勤務など複数の選択肢が用意されており、1日3.5時間から8時間までの幅で勤務時間を選択できる事例も確認された。仕事内容についても、65歳時点の業務を継続しつつ、負担の軽減が図られるケースが多い。
さらに、企業内でのリスキリングの重要性も指摘されている。管理職経験者が現場業務に移行する際の再教育など、内部労働市場を前提とした能力開発が就業継続を支える要素となっている。キャリア支援と組み合わせることで、本人の納得感や就業意欲の向上にもつながっている。
健康管理や安全対策については、職種ごとの特性に応じた対応が取られている。身体的負担が大きい業務では安全対策が強化される一方、その他の職種では生活習慣の改善支援などが重視されるなど、多様なアプローチが確認された。
企業側が抱える課題としては、60歳以上の人材増加に伴う配置や役割設計、技能伝承、人件費バランスの確保が挙げられている。高齢者の経験を活かしつつ、若年層の育成と両立させる仕組みづくりが重要な論点となっている。
今回の研究は、65歳までの雇用と65歳以降の働き方が連続しつつも性質の異なる段階であることを示している。多様な働き方の選択肢を確保しながら、持続可能な人事制度を構築する必要性が、改めて浮き彫りとなった。
⇒ 詳しくは独立行政法人 労働政策研究・研修機構のWEBサイトへ


