2026年6月22日
労務・人事ニュース
2026年4月山形県の有効求人倍率1.29倍 求人超過時代に選ばれる企業の条件とは
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2026年4月山形県の有効求人倍率1.29倍と求職者動向の変化
山形労働局が2026年5月29日に公表した2026年4月の一般職業紹介状況によると、山形県の有効求人倍率は季節調整値で1.29倍となり、前月を0.01ポイント上回りました。全国平均の1.18倍を上回る水準を維持しており、県内では依然として求人が求職を上回る状況が続いています。一方で、山形労働局は県内の雇用情勢について「持ち直しの動きに弱さがみられる」と判断しており、物価高騰や海外情勢などが雇用に与える影響について引き続き注視する必要があるとしています。
有効求人倍率1.29倍という数字だけを見ると、企業にとって採用しやすい環境が続いているように感じられるかもしれません。しかし実際には、多くの企業が人材確保に苦戦しており、求人市場の構造はより複雑になっています。求人件数は高水準を維持しているものの、求職者数とのバランスや業種ごとの需給格差、さらには求職者の価値観の変化が採用活動に大きな影響を与えています。
2026年4月の新規求人数は8,875人となり、前年同月比で0.6%減少しました。3か月ぶりの減少となります。一方で有効求人数は22,265人となり、前月比0.7%減少しました。2か月連続の減少です。求人倍率自体は上昇したものの、企業全体の求人活動にはやや慎重な動きが見られています。
求職者側の状況を見ると、新規求職申込件数は5,566件で前年同月比0.1%減少しました。有効求職者数は17,212人となり前月比2.0%減少しています。その結果、有効求人倍率は1.29倍まで上昇しました。新規求人倍率は2.08倍となり、前月から0.13ポイント上昇しています。新規求人倍率が2倍を超えていることは、企業が求める人材数に対して求職者数が不足している状態を示しています。
特に注目すべきなのは正社員市場です。正社員有効求人倍率は1.08倍となり、前年同月を0.02ポイント上回りました。また正社員の新規求人数は4,577人となり前年同月比3.6%増加しています。新規求人全体に占める正社員求人の割合も51.6%となり、前年同月を2.1ポイント上回りました。企業が非正規雇用よりも正社員採用を重視する傾向が強まっていることが分かります。
産業別の求人動向を詳しく見ると、業種によって明暗が分かれています。建設業の新規求人数は997人で前年同月比9.8%増加しました。製造業は1,461人で8.2%増加しています。医療・福祉は1,759人で7.8%増加し、サービス業も1,542人で10.4%増加しました。これらの業界では引き続き高い人材需要が続いています。
製造業については特に堅調な動きが見られます。16業種中11業種で前年同月を上回っており、製造業全体では3か月連続の増加となりました。情報通信機械器具製造業は79.2%増、生産用機械器具製造業は33.9%増、輸送用機械器具製造業は45.5%増となっています。県内製造業では設備投資や生産活動の継続に伴い、人材需要が高い水準で推移している状況がうかがえます。
一方で減少した業種もあります。卸売業・小売業は950人で前年同月比11.8%減少しました。宿泊業・飲食サービス業は378人で21.3%減少しています。また金融・保険業、不動産・物品賃貸業も27.1%減少しました。企業を取り巻く経営環境の変化や業務効率化の進展などが影響している可能性があります。
ただし求人減少が必ずしも人材不足解消を意味するわけではありません。企業の中には人材確保が難しいために採用計画を縮小しているケースもあります。実際には必要な人員を確保できず、事業運営に影響が出ている企業も少なくありません。求人を出しても応募が集まらず、結果として求人件数そのものを減らしているケースも考えられます。
求職者の動向を見ると、離職者は3,811人で前年同月比0.1%増加しました。事業主都合離職者は1,293人で1.7%増加しています。一方で在職者は1,220人となり前年同月比3.6%減少しました。転職市場への参加者がやや減少していることが分かります。
無業者は421人で前年同月比3.7%増加しています。求職者構成を見ると、45歳以上の割合が高くなっており、企業には年齢にとらわれない採用活動が求められています。若年層の人口減少が続く中で、ミドル層やシニア層を積極的に活用できる企業が採用競争で優位に立つ可能性があります。
また雇用保険受給者実人員は3,321人となり前年同月比8.0%増加しました。12か月連続の増加となっています。雇用保険受給者の増加は、転職活動や再就職活動を行う人が増えていることを示す指標の一つとして注目されます。
職業紹介の実績を見ると、紹介件数は4,026件で前年同月比3.6%減少しました。就職件数は1,645件で9.1%減少しています。求人数は高水準にあるものの、実際のマッチングには課題が残っている状況です。企業が求める人材像と求職者が希望する働き方との間にギャップが存在している可能性があります。
こうした状況を踏まえると、山形県内の中小企業の採用担当者は従来型の採用活動から脱却する必要があります。有効求人倍率1.29倍という数字は、企業が人材を選ぶ市場ではなく、求職者から選ばれる市場であることを意味しています。求人広告を出せば応募が集まる時代ではなくなっており、自社の魅力を具体的に伝える情報発信が不可欠です。
特に中小企業は大企業との待遇競争だけに注目するべきではありません。求職者は給与だけでなく、働きやすさや職場環境、人間関係、キャリア形成の可能性などを総合的に判断しています。地域密着型企業ならではの安定性や経営者との距離の近さ、柔軟な働き方への対応などは大きな魅力になります。
また採用活動と同時に定着率向上にも力を入れる必要があります。有効求人倍率が高い市場では、一度採用しても離職されれば再び採用コストが発生します。そのため入社後の教育体制や評価制度、キャリア支援制度の整備が重要になります。採用力の高い企業は、単に求人条件が良い企業ではなく、従業員が長く働き続けたいと思える環境を整えている企業です。
さらに正社員求人の割合が上昇している点も重要です。求職者の多くは安定した雇用を求めています。中小企業が採用競争力を高めるためには、正社員登用制度や長期的なキャリア形成の仕組みを明確に示すことが効果的です。将来の働き方が見える企業ほど応募者から選ばれやすくなります。
2026年4月の山形県の有効求人倍率1.29倍は、県内企業にとって引き続き人材確保が重要課題であることを示しています。建設業や製造業、医療・福祉、サービス業を中心に高い人材需要が続く一方で、求職者数は大きく増えていません。人口減少や高齢化が進む中、採用市場は今後さらに厳しさを増す可能性があります。だからこそ中小企業の採用担当者には、求人倍率という数字の表面だけを見るのではなく、求職者の行動変化や業界動向を踏まえた戦略的な採用活動が求められています。企業が選ぶ時代から選ばれる時代への転換を意識し、自社の魅力を継続的に発信できる企業こそが、これからの人材獲得競争を勝ち抜いていくことになるでしょう。
⇒ 詳しくは山形労働局のWEBサイトへ


