2026年7月5日
労務・人事ニュース
2025年度の取適法違反に対する勧告は39件、不当な経済上の利益の提供要請31件が最多となった取引適正化の実態
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(令和8年6月10日)令和7年度における取適法の運用状況及び中小事業者等の取引適正化に向けた取組(公取委)
公正取引委員会は2026年6月10日、2025年度における取適法の運用状況と、中小事業者等の取引適正化に向けた取り組みについて公表しました。今回の発表では、違反行為への対応状況に加え、価格転嫁の円滑化や支払条件の適正化に向けた施策の進捗が示されており、中小事業者を取り巻く取引環境の改善に向けた動きが明らかになりました。
2025年度における取適法違反行為に対する勧告件数は39件でした。違反行為の類型別では、不当な経済上の利益の提供要請が31件と最も多く、全体の大半を占めています。このほか、製造委託等代金の減額が6件、返品が6件、不当な給付内容の変更等が1件、買いたたきが1件となりました。
また、違反のおそれがある行為に対する指導件数は8,261件となりました。勧告に至らない事案についても改善を促す対応が行われており、取引の適正化に向けた監視体制の継続的な運用が進められています。
2025年度には、中小受託事業者が被った不利益の原状回復も行われました。177名の委託事業者から5,165名の中小受託事業者に対し、製造委託等代金の減額分の返還など、総額25億5,698万円相当の原状回復措置が実施されています。取引上の不利益を受けた事業者への補填が行われたことで、適正な取引関係の構築に向けた一定の成果が示されました。
さらに、違反行為を自発的に申し出た委託事業者に関する状況も公表されました。2025年度における自発的な申出件数は53件で、このうち49件が処理されています。自発的な申出による原状回復では、中小受託事業者1,234名に対して、総額12億1,019万円相当の返還等が行われました。この金額は、原状回復総額25億5,698万円の内数となっています。
価格転嫁をめぐる取り組みも進められています。2025年度には、労務費の適切な転嫁状況などを把握するため、12万人を超える事業者を対象に特別調査が実施されました。2025年6月には、受注者と発注者の双方を対象とした11万人規模の書面調査が行われています。
調査結果を踏まえ、462件の立入調査が実施されました。また、独占禁止法上の問題につながるおそれがある行為が確認された4,334名に対して注意喚起文書が送付されています。加えて、労務費転嫁指針で求められる行動を採らなかった9,747名に対しても注意喚起が行われました。
価格転嫁に関する個別調査も進められましたが、2025年度については、事業者名の公表が必要と判断された事案は確認されませんでした。一方で、今後も個別調査を継続する方針に変更はないとしており、価格交渉の適正化に向けた監視は続けられる見通しです。
物流分野における取引の適正化にも取り組みが進められています。荷主と物流事業者との取引に関する調査では、荷主30,000名、物流事業者40,000名を対象に実態把握が行われました。さらに、コスト上昇分の協議を経ない価格据置きなどが疑われる事案については、荷主100名に対する立入調査が実施されています。
調査の結果、独占禁止法上の問題につながるおそれがあった荷主646名に対して注意喚起文書が送付されました。物流業界における価格転嫁や適正な取引条件の確保に向けた取り組みが継続して行われている状況です。
取適法の周知活動も全国規模で展開されました。2025年度には、全国47都道府県で63回の事業者向け説明会が開催されたほか、関係機関と連携した業種別説明会が13回実施されています。また、中小事業者団体などと連携した広報・広聴企画も全国で展開されました。
相談体制の整備も進められています。2025年度に寄せられた相談件数は、取適法に関するものが34,810件、優越的地位の濫用に関するものが4,043件となり、合計38,853件の相談に対応しました。取引上の課題を抱える事業者に対し、継続的な支援が行われています。
中小事業者が匿名で情報提供できる仕組みも活用されています。買いたたきなどの違反行為が疑われる事案に関する情報提供の受付に加え、労務費を理由とした価格転嫁協議への不適切な対応についても、情報収集が進められています。
また、「出張!トリテキ会議」と呼ばれる中小事業者向けの広報・広聴企画は、2025年度に107回開催されました。各地で取引改善に向けた情報提供や意見交換が行われ、中小事業者が抱える課題の把握と制度の理解促進に取り組んでいます。
支払条件の適正化に向けた制度整備も進んでいます。2026年1月1日以降に発注される取適法対象取引では、手形払いが一律に禁止されるほか、一定の支払方法についても支払遅延に該当することとなりました。こうした見直しは、受注側の資金繰り改善につながることが期待されています。
さらに、取引環境の整備に向けた新たなルールづくりも進行しています。代金支払に関する不公正な取引方法などについては、2026年6月に最終版の公表が予定されており、一部の制度は2027年4月1日に施行される見通しです。
今回公表された内容からは、違反行為への厳正な対応とともに、中小事業者が適正な条件で取引できる環境整備が進められていることが分かります。価格転嫁の円滑化や支払条件の改善など、サプライチェーン全体を視野に入れた取り組みが今後も重要な課題となりそうです。
⇒ 詳しくは公正取引委員会のWEBサイトへ


