2026年7月25日
労務・人事ニュース
大分県の令和8年5月有効求人倍率1.10倍、求人15.0%減で採用担当者が見直すべき点
令和8年5月の大分県有効求人倍率1.10倍と新規求人15.0%減の影響
令和8年6月30日、大分労働局は令和8年5月分の大分県の雇用情勢を公表しました。受理地別の有効求人倍率は季節調整値で1.10倍となり、前月の1.14倍から0.04ポイント低下しました。4か月ぶりの下落であり、求人が求職を上回る状態は続いているものの、持ち直しの動きには足踏みがみられるとされています。大分県の有効求人倍率は平成27年2月から136か月連続で1.0倍以上を維持していますが、令和7年5月の1.30倍と比べると0.20ポイント低くなっており、採用市場の勢いが弱まっていることは明らかです。中小企業の採用担当者は、この1.10倍という数字を「まだ求人が多いから採用は難しい」と単純に受け止めるのではなく、求人の減少と求職者の増加が同時に起きている局面として慎重に読み解く必要があります。
令和8年5月の有効求人数は季節調整値で21,212人となり、前月比1.9%減少しました。一方、有効求職者数は19,325人で前月比1.9%増加しています。つまり、企業側の求人が減り、仕事を探す人は増えたため、有効求人倍率が低下した形です。採用担当者にとって重要なのは、倍率が下がったからといって、すぐに応募が集まりやすくなるわけではないという点です。求職者が増えていても、希望する職種、勤務地、給与、勤務時間、休日、働き方が合わなければ応募にはつながりません。特に中小企業では、求人票の内容が抽象的なままだと、求職者に自社の魅力が伝わらず、比較検討の段階で候補から外れてしまう可能性があります。
就業地別の有効求人倍率は1.25倍で、前月の1.29倍から0.04ポイント低下しました。受理地別の1.10倍より高い水準であり、大分県内で実際に働く求人需要は依然として一定の強さがあります。これは、県内に就業場所を持つ求人が求職者数を上回っていることを示しており、地域で人材を確保したい企業にとっては油断できない状況です。特に地元採用を重視する中小企業は、自社の所在地だけでなく、通勤圏内の人材動向にも目を向ける必要があります。車通勤が中心となる地域では駐車場の有無や通勤手当、勤務開始時間の柔軟性が応募の判断材料になります。公共交通機関を使う求職者に対しては、最寄り駅やバス停からの距離、シフト時間との相性をわかりやすく示すことが有効です。
新規求人数は受理地別の原数値で6,949人となり、前年同月比15.0%減少しました。前月比でも13.6%減っており、新たに求人を出す企業の動きが弱くなっています。主要産業別では、建設業が12.4%減、製造業が12.8%減、情報通信業が36.2%減、運輸業、郵便業が24.1%減、卸売業、小売業が13.9%減、宿泊業、飲食サービス業が14.1%減、生活関連サービス業、娯楽業が12.1%減、医療、福祉が10.6%減、サービス業が27.8%減となりました。主要分野の多くで新規求人が前年を下回っており、採用を控える動きや人員計画の見直しが広がっている可能性があります。物価上昇や原材料費、人件費の上昇、中東情勢など外部環境の不透明感が、企業の採用判断に影響していると考えられます。
ただし、求人が減っている業種でも、人材不足が解消されたとは限りません。例えば建設業や運輸業、医療、福祉では、現場を支える人材の確保が引き続き課題になりやすい分野です。採用担当者は、求人件数が減っているから競争が弱まると考えるのではなく、求職者が職場をより慎重に選んでいると捉えるべきです。仕事のきつさや勤務時間、休日、給与、将来性に対する不安がある職種ほど、求人票で不安を取り除く説明が必要になります。未経験者を採用したい場合は、入社後にどの業務から始めるのか、誰が教えるのか、どのくらいの期間で独り立ちするのかを具体的に書くことで、応募のハードルを下げられます。経験者を採用したい場合は、経験をどう評価し、どの業務で生かせるのかを明確にすることが重要です。
求職の状況を見ると、新規求職申込件数は3,906人で、前年同月比8.4%減少しました。このうち常用フルタイム新規求職者数は2,182人で、前年同月比9.4%減少しています。内訳は、在職者が695人で10.2%減、離職者が1,358人で9.4%減、無業者が129人で5.1%減でした。離職者を理由別に見ると、事業主都合は252人で14.0%減、自己都合は1,061人で7.0%減となっています。新たに求職活動を始める人が前年より少ないことは、中小企業にとって大きな注意点です。有効求職者数は前月より増えているものの、新規の動きは弱く、転職市場に新しく出てくる人材が限られている可能性があります。採用担当者は、求人掲載後に応募を待つだけでなく、採用ページや求人原稿を通じて潜在的な転職希望者にも会社の魅力を伝える必要があります。
正社員有効求人倍率は原数値で1.04倍となり、前年同月を0.13ポイント下回りました。それでも59か月連続で1倍台を維持しています。正社員有効求人数は11,398人で前年同月比0.9%増加した一方、正社員新規求人数は3,933人で前年同月比8.7%減少しました。正社員として働きたい人に対して求人が上回る状態は続いていますが、新たな正社員求人の出方は弱くなっています。中小企業が正社員採用を進める場合、安定雇用を打ち出すだけでは十分ではありません。求職者は、給与や賞与だけでなく、入社後の役割、昇給の仕組み、評価の透明性、残業の実態、休日の取りやすさ、職場の人間関係を重視します。求人票では、会社が求める条件ばかりを並べるのではなく、求職者が入社後を想像できる情報を丁寧に示すことが信頼につながります。
ハローワーク別の有効求人倍率を見ると、令和8年5月の原数値で最も高いのは大分所の1.16倍でした。前年同月の1.44倍から低下しているものの、求人が求職を上回っています。一方、最も低いのは日田所と宇佐所の0.85倍で、前年同月の日田所0.97倍、宇佐所0.96倍から低下しています。別府所は0.89倍、中津所は0.88倍、佐伯所は0.95倍、豊後大野所は0.99倍となっており、大分県内でも地域差が鮮明です。県全体の有効求人倍率1.10倍だけを見ると採用難が続いているように見えますが、地域ごとに見ると1倍を下回るエリアもあります。中小企業の採用担当者は、県全体の平均だけで採用方針を決めるのではなく、自社の所在地や採用したい勤務地に近い地域の倍率を確認し、求人条件や募集方法を調整することが大切です。
九州・沖縄の中で見ると、大分県の令和8年5月の有効求人倍率1.10倍は、九州平均の1.07倍を上回っています。一方、全国の1.17倍よりは低く、前月差は0.04ポイント低下、前年同月差は0.20ポイント低下と、九州・沖縄各県の中でも前年からの下げ幅が大きい状況です。福岡県は1.06倍、佐賀県は1.20倍、長崎県は0.99倍、熊本県は1.15倍、宮崎県は1.17倍、鹿児島県は1.02倍、沖縄県は0.98倍となっています。大分県は九州平均を上回っているものの、佐賀県や宮崎県、熊本県よりは低い水準です。採用担当者は、県外からの人材確保を考える場合、近隣県との求人条件の違いも意識する必要があります。給与や休日だけでなく、移住支援、住環境、通勤のしやすさ、地域で暮らす安心感を伝えることで、県内外の求職者に選ばれやすくなります。
事業所規模別の新規求人では、29人以下が4,537人で前年同月比16.1%減、30人から99人が1,523人で12.5%減、100人から299人が609人で13.0%減、300人から499人が143人で25.1%減、1,000人以上が13人で64.9%減となりました。一方、500人から999人は124人で22.8%増加しています。多くの規模で求人が減っており、特に小規模事業所でも求人減少が目立ちます。中小企業にとっては、採用人数を増やしにくい局面であっても、必要な人材を確保するために求人の精度を上げることが求められます。欠員補充なのか、事業拡大なのか、将来の幹部候補なのか、採用目的を明確にしたうえで、必須条件と歓迎条件を分けることが大切です。条件を厳しくしすぎると応募者の入口を狭めてしまい、逆に採用期間が長引く可能性があります。
令和8年5月の大分県の雇用情勢から見える中小企業の採用活動の方向性は明確です。有効求人倍率1.10倍という数字は、求人が求職を上回る状態が続いていることを示す一方、求人の減少と求職者の増加によって市場がやや落ち着きつつあることも表しています。このような時期には、採用を急ぐ企業ほど求人情報の見直しを優先すべきです。仕事内容を具体化し、給与や休日、残業、福利厚生、教育体制をわかりやすく伝え、応募後は速やかに連絡することが欠かせません。応募者は複数の求人を比較しており、連絡の遅さや説明不足は辞退につながります。採用担当者が限られる中小企業ほど、応募者情報を一元管理し、社内で選考状況を共有できる仕組みを整えることが採用力の向上につながります。採用競争が続く中で、求人募集を効果的に行うには、求人情報の発信に加えて応募者対応や採用管理の仕組みづくりも欠かせません。求人募集や採用サイト(ATS)の活用をお考えの企業様は、当社までお気軽にご相談ください。
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