2026年7月31日
労務・人事ニュース
令和8年6月甲信越景気調査、新型車受注1割増でも人手不足が続く採用市場の最新動向
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最終更新: 2026年7月30日 05:10
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最終更新: 2026年7月30日 04:53
景気ウォッチャー調査(令和8年6月調査)― 甲信越(現状)―(内閣府)
令和8年6月に実施された甲信越地域の景気ウォッチャー調査では、地域経済は業種によって明暗が分かれる状況となりました。新型車販売や都市部でのイベント需要、半導体関連産業などでは回復の動きが確認された一方で、物価高や資材価格の上昇、賃金の伸び悩みが個人消費や企業活動へ影響を及ぼしており、景気全体としては持ち直しの動きと慎重な見方が混在する結果となっています。企業からは人手不足やコスト上昇への対応を課題とする声も多く、今後の景気動向と雇用環境が引き続き注目されています。
個人消費では、一部の業種で堅調な動きがみられました。百貨店では特選品や時計、宝飾品、化粧品に加え、家庭用品の販売も前年を上回る水準で推移し、クリアランスセールとの相乗効果によって衣料品にも改善の兆しが現れています。商店街では新入学生向け商材の販売が一段落した後も追加注文が例年より多く寄せられ、景気の厳しさが続く中でも必要な商品には一定の需要があることがうかがえました。スーパーでは近隣店舗の閉店による需要の取り込みもあり、前年と同水準まで売上が回復した事業者もみられています。
食品や日用品の販売では消費者行動に変化もみられています。米価格の下落を背景に牛肉など比較的高価格帯の商品が動き始めたとの声がある一方で、コンビニではデザートなど高単価商品の購入が増える店舗もありました。しかし、こうした動きは一部に限られ、全体では物価高を背景に消費者が価格を意識した買物を続けています。公共料金の支払いで来店する利用者が増える店舗もありますが、来店がそのまま売上増加へ結び付く状況ではなく、生活防衛意識の強さがうかがえます。
一方で、消費環境には依然として厳しさも残っています。百貨店では食料品価格の上昇を受けて購入点数を減らす消費者が増え、夏物衣料も天候不順の影響から販売が伸び悩んでいます。スーパーでは特売日や週末以外の来店客数が伸びず、コンビニでも物価上昇によって客数が減少する店舗が目立ちました。夜間の飲食店では人通りそのものが減少しているとの指摘もあり、物価上昇に賃金の伸びが追い付いていないことが地域経済全体へ影響を及ぼしています。
観光関連では地域ごとに異なる動きがみられました。都市型ホテルでは大型コンベンションや学会開催によって宿泊需要が大きく伸び、前年を上回る利用実績となりました。観光施設では国内個人旅行の回復が限定的な一方、団体旅行やインバウンド需要が来場者数を支える構図が続いています。遊園地でも訪日外国人団体客の受入れや会員向け施策による集客に取り組んでいますが、台風などの天候要因が来場者数へ影響を与えました。
その一方で、観光型旅館では厳しい状況が続いています。例年5月から6月にかけて多く利用される地域団体の総会需要が前年より約60%減少したほか、売上への影響が大きい首都圏からの宿泊客も約10%減少しました。物価高や社会情勢への不安が旅行需要にも影響しているとの見方が示されており、旅行会社からも原油価格や資材不足による建設業の停滞などが旅行需要の抑制要因になっているとの声が聞かれています。
自動車関連では新型車販売に明るい材料がありました。新型車の販売は前年と比較して受注が約1割増加しており、市場全体では一定の需要が維持されています。しかし別の販売店では新車や中古車ともに物価高の影響で販売が低迷しているとの意見もあり、業界全体では地域や販売店によって景況感に差が生じています。自動車用品販売でも客単価は上昇しているものの、来店客数は回復しておらず、価格上昇による売上維持の側面が強くなっています。
企業活動では製造業を中心に改善の動きが確認されました。電気機械器具製造業では値上げ前の駆け込み需要によって生産量が急増しており、半導体関連企業では好調な受注を維持する事業者もあります。宝飾品関連ではファミリーセールの来場者数と売上が前年より約30%増加するなど需要回復がみられましたが、原材料価格の上昇分を十分に価格転嫁できず利益は減少しています。受注は堅調でも利益確保が難しい状況は、多くの企業に共通する課題となっています。
建設業では受注量そのものに大きな変化はみられないものの、外注費や建設資材価格の上昇が利益率を圧迫しています。金融機関からは石油関連製品の供給不安や価格高騰が企業収益へ影響しているとの指摘があり、製造業では半導体関連企業が堅調な一方、非製造業では観光関連を中心に底堅さがみられるなど、企業間で景況感の二極化が進み始めています。食料品製造業では納入件数や販売単価が低下し、厳しい経営環境が続いています。
地域経済全体をみると、物価高は依然として企業と家計の双方へ大きな影響を及ぼしています。建設資材や石油化学製品などの調達難や価格高止まりは企業活動の制約となっており、設備投資を慎重に判断する企業も少なくありません。一方で、関連事業者からは受注が徐々に戻り始めているとの声もあり、景気が完全に停滞しているわけではなく、回復へ向けた動きも一部で確認されています。
雇用情勢では、人材不足が引き続き企業経営上の重要課題となっています。通信会社では新規契約を安定的に獲得しているものの、人手不足が事業拡大の制約となっています。人材派遣会社では景気の先行きが不透明なことから、仕事内容よりも給与水準を重視して仕事を探す求職者が一段と増えているとしています。物価高が長期化する中で、待遇改善を重視する求職者の増加は採用活動にも影響を及ぼしています。
職業安定機関では、石油化学製品を中心とした原材料価格の高止まりや調達難によって受発注の停滞を懸念する企業がある一方、中長期的な人材確保を重視する動きも確認されています。また、製造業では回復の兆しがみられるものの、人手不足が依然として生産拡大の制約となっており、企業は将来を見据えた採用活動を継続しています。今回の調査では有効求人倍率に関する具体的な数値は示されていませんが、採用意欲は維持されており、人材確保を経営課題とする企業が多いことが読み取れます。
今回の調査結果からは、甲信越地域では新型車販売や半導体関連、イベント需要などが地域経済を下支えする一方で、物価高や資材価格の上昇、賃金の伸び悩みが消費活動や企業収益へ影響を与えていることが明らかになりました。雇用面では人手不足が継続し、企業は採用活動を続けながらも待遇改善や人材定着を重視する姿勢を強めています。今後は物価や資材価格の動向に加え、観光需要や製造業の受注状況、人材確保の動きが甲信越地域の景気を左右する重要な要素となりそうです。
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