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2024年5月28日

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不妊治療と仕事の両立を支援するための最新施策と企業の取り組み

不妊治療と仕事との両立についての現状(国の施策)等(厚労省)

【以下動画の内容】

日本国内では、不妊治療と仕事の両立が大きな課題となっています。厚生労働省雇用環境均等局の雇用機会均等課長である安藤氏は、不妊治療を受ける労働者が仕事と治療を両立できる環境を整えるための施策について解説しました。

現在、国内で出生する子供のうち、約8.6%が生殖補助医療を利用して誕生しており、これは約11.6人に1人の割合に相当します。不妊治療を受ける夫婦の割合は22.7%で、約4.4組のうち1組が治療を受けている計算になります。これにより、治療を受ける夫婦の割合は年々増加しています。

しかし、不妊治療と仕事の両立は容易ではありません。平成29年度の調査によれば、治療を経験した女性のうち23%が仕事と治療を両立できずに離職しています。理由としては、通院の頻度や精神的な負担、職場での調整の難しさなどが挙げられます。さらに、多くの治療者は職場に治療を受けていることを伝えておらず、その理由としてはプライバシーの保持や職場での配慮を避けたいとの意向が強いことが分かっています。

このような現状を受け、企業が取り組むべきこととして、不妊治療のための休暇制度や時間単位の有給休暇など、労働時間に柔軟性を持たせた勤務制度の導入が求められています。また、行政には国民や企業の理解を深めるための啓発活動や、企業による制度導入の促進が期待されています。

次に、厚生労働省が実施する政策について紹介します。まず、次世代育成支援対策推進法に基づく認定制度に、不妊治療と仕事の両立に取り組む企業を認定するプラス認定を追加しました。これは、令和4年4月から開始され、企業が不妊治療を支援するための取り組みを評価するものです。

さらに、中小企業向けの助成金制度も整備されています。不妊治療のための休暇制度などを設け、利用者が生じた場合には両立支援等助成金を支給しています。具体的には、最初の休暇制度や両立支援制度の利用者が合計5日以上利用した場合、1事業主あたり30万円が支給され、さらに20日以上連続して取得させた場合には30万円が加算されます。これにより、中小企業でも不妊治療を支援するための環境整備が促進されています。

また、厚労省のホームページには不妊治療と仕事の両立に関する情報がまとめられた専用サイトが設置されています。ここでは、最新の施策や助成金制度の詳細が確認できます。都道府県労働局にも相談窓口が設けられており、企業の制度導入や認定、助成金の申請についてのサポートが受けられます。

不妊治療と仕事の両立を支援することは、労働者にとってキャリアを継続しながら家族を持つ希望を実現するための重要な手段です。また、企業にとっても優秀な人材の確保や社員のモチベーション向上につながるメリットがあります。今回の研修会を通じて、不妊治療と仕事の両立が可能な職場環境の整備が進むことを期待しています。

不妊治療-女性活躍のために求められる配慮-(厚労省)

【以下動画の内容】

現代社会において、不妊治療の問題は多くの女性が直面している重要な課題です。特にキャリアを持つ女性にとって、不妊治療と仕事の両立は大きな挑戦となります。不妊治療が必要な女性に対して企業がどのように配慮すべきか、その具体的な対策について考えてみましょう。

まず、現代の女性の生殖に関する状況を理解することが重要です。過去100年で、初経の年齢が早まり、月経が始まる年齢は平均で12歳から13歳になっていますが、閉経の年齢は変わっていません。これにより、女性は月経にさらされる期間が長くなり、その結果、関連する健康問題のリスクが増加しています。例えば、100年前の女性は生涯で50回から150回程度の月経を経験しましたが、現代の女性は約400回から450回の月経を経験することになります。

また、女性の卵巣内にある卵子の数は時間とともに減少します。女性が生まれた時点では約200万個の卵子がありますが、思春期には20万から30万個に減少し、閉経時にはほぼゼロになります。このため、女性は年齢とともに妊娠の可能性が低くなります。一方、男性の精子は定期的に新しく生成されるため、年齢の影響を受けにくいですが、それでも40歳を過ぎると相手の女性の妊娠確率は低くなります。

不妊治療の一環として、体外受精(IVF)などの生殖補助技術が広く利用されています。1978年に初めて成功した体外受精以来、多くのカップルがこの技術によって子供を持つことができるようになりました。日本では、毎年多くの体外受精サイクルが実施されており、2021年には約50万件の治療サイクルが行われました。この増加は、政府の支援策が影響していると考えられます。

体外受精を受ける女性の年齢が高いことも日本の特徴です。例えば、40歳以上の女性が体外受精を受ける割合は他の国と比べて非常に高いです。このため、治療サイクルの数が多くなり、成功率が低いという問題があります。特に40歳以上の女性では、妊娠率が非常に低くなり、45歳以上ではさらに低下します。

企業が不妊治療を受ける社員を支援するためには、いくつかの重要なポイントがあります。まず、治療と仕事の両立をサポートするために、柔軟な労働時間や有給休暇の制度を設けることが考えられます。例えば、国家公務員向けの「出産サポート休暇」は、不妊治療のための特別休暇制度として設立されました。通常の不妊治療には5日間、体外受精や顕微授精の場合にはさらに5日間の有給休暇が付与されます。このような制度が民間企業にも広がることが期待されます。

また、経済的な負担を軽減するために、企業が不妊治療の費用を一部負担することも有効です。東京都など一部の地方自治体では、卵子の凍結保存に対する助成制度を検討しています。これにより、女性がキャリアを継続しながら将来的な妊娠の可能性を保つことができます。

さらに、企業は不妊治療に対する社員の理解と支援を促進するための教育プログラムを導入することも重要です。不妊治療に関する情報を提供し、社員が安心して治療を受けられる環境を整えることで、女性社員の活躍をサポートすることができます。

総括すると、不妊治療と仕事の両立を支援するためには、企業の理解と具体的な支援策が不可欠です。柔軟な労働時間、有給休暇制度、経済的な支援、教育プログラムなど、さまざまな対策を講じることで、女性社員が安心して働き続けられる環境を整えることが求められます。こうした取り組みは、企業の持続的な成長と社会全体の発展に寄与するものとなるでしょう。

労働者の不妊治療と仕事との両立に向けて~「不妊治療を受けながら働き続けられる職場づくりのためのマニュアル」「不妊治療と仕事との両立サポートハンドブック」(厚労省)

【以下動画の内容】

近年、不妊治療を受けながら働き続けられる職場作りの重要性が増しています。この問題に積極的に取り組むことで、企業は離職防止や社員の安心感の向上、新たな人材の獲得など、多くのメリットを得ることができます。この記事では、社会保険労務士の視点から、不妊治療と仕事の両立を支援するための具体的な取り組みについて解説します。

まず、不妊治療と仕事の両立を支援するための新たな認定制度が令和4年4月に創設されました。この制度は、企業が不妊治療を受けながら働き続けられる職場作りに取り組むことを奨励するもので、事業所の規模に関係なく適用されます。さらに、不妊治療の保険適用が昨年4月から始まり、多くの企業がこの問題に積極的に取り組んでいます。

不妊治療と仕事の両立に取り組むことのメリットは多岐にわたります。離職防止、社員の安心感やモチベーションの向上、新たな人材の獲得などが挙げられます。逆に取り組まない場合は、離職者が増加し、労働力の減少やノウハウの消失、新たな人材の採用に多大な労力と費用がかかるデメリットがあります。

不妊治療と仕事の両立支援の取り組みは以下のステップで進められます。まず、取り組み方針の明確化と組織体制の整備が必要です。企業として不妊治療と仕事の両立を推進する方針を明確にし、社内全員に周知します。主導する部門や担当者を決定し、社内のニーズや他社の取り組みについて情報収集を行います。

次に、社員の不妊治療と仕事の両立に関する実態を把握することが重要です。チェックリストを使って企業内の現状を把握し、全社員に対するアンケートやヒアリングを実施します。これにより、社員のニーズを正確に把握し、効果的な支援策を検討するための基礎情報を得ることができます。

実態把握を踏まえて、企業の実態に応じた取り組みを検討し、制度設計を行います。不妊治療と仕事の両立に特化した制度だけでなく、他の面でも活用できる柔軟な制度を用意します。例えば、有給休暇を時間単位で付与したり、フレックスタイム制を導入するなどの方法があります。

制度の周知とともに、不妊治療に対する理解のある職場風土を作ることが重要です。ハラスメントを防止し、社員が安心して制度を利用できる環境を整えます。制度や取り組みの実施後、一定期間が経過した時点で取り組み実績を確認し、評価や見直しを行います。社員のニーズに応じた柔軟な制度設計を継続的に行い、効果的な支援を提供することが求められます。

不妊治療と仕事の両立を支援するための具体的な取り組み事例として、以下のような企業の実践が挙げられます。まず、朝日運輸株式会社では、商病休暇制度や産業保険スタッフとの相談体制を整備し、社員が安心して治療に専念できる環境を提供しています。石光商事株式会社では、不妊治療に利用可能な休暇制度や給食制度、サテライトオフィスの導入など、社員の多様なニーズに対応する取り組みを行っています。住友保険総合会社では、乱層年齢チェックや対面相談、オンライン相談など、社員が気軽に相談できる体制を整えています。株式会社千葉工業銀行では、ファミリーサポート休業や時差出勤制度、キャリア面談など、多様な支援制度を導入し、社員のワークライフバランスを実現しています。

トヨタテクニカルデベロプメント株式会社では、ケア休暇や多様な働き方に対する理解活動、産業保険スタッフとの面談制度を設け、社員の健康とキャリアを支援しています。ネットラーニンググループでは、不妊治療休暇制度やハラスメント対策マニュアルを整備し、社員が安心して治療に専念できる環境を提供しています。これらの企業の取り組みは、不妊治療と仕事の両立を支援する上での参考となります。企業が積極的に取り組むことで、社員の安心感やモチベーションの向上、離職の防止、新たな人材の獲得など、多くのメリットが期待されます。

さらに、不妊治療と仕事の両立を支援するための具体的な取り組み事例としては、東方銀行のキャリアサポート給食制度やフレックスタイム制度、株式会社トヨタテクニカルデベロプメントのケア休暇制度などがあります。これらの企業は、不妊治療と仕事の両立を支援するための柔軟な制度を導入し、社員が安心して働ける環境を整えています。

不妊治療と仕事の両立を支援するための具体的な取り組み事例として、東方銀行のキャリアサポート給食制度やフレックスタイム制度、株式会社トヨタテクニカルデベロプメントのケア休暇制度などがあります。これらの企業は、不妊治療と仕事の両立を支援するための柔軟な制度を導入し、社員が安心して働ける環境を整えています。朝日運輸株式会社や石光商事株式会社、住友保険総合会社、株式会社千葉工業銀行などの企業は、不妊治療と仕事の両立を支援するための具体的な取り組みを実施しています。これらの企業の取り組みは、不妊治療と仕事の両立を支援するための参考となります。企業が積極的に取り組むことで、社員の安心感やモチベーションの向上、離職の防止、新たな人材の獲得など、多くのメリットが期待されます。

不妊治療と仕事の両立を支援するための具体的な取り組みとして、キャリアサポート給食制度やフレックスタイム制度、ケア休暇制度などがあります。企業はこれらの制度を導入することで、社員が安心して働ける環境を整えています。不妊治療と仕事の両立を支援するためには、制度の設計と運用が重要です。社員のニーズに応じた柔軟な制度設計を行い、効果的な支援を提供することが求められます。企業が積極的に取り組むことで、社員の安心感やモチベーションの向上、離職の防止、新たな人材の獲得など、多くのメリットが期待されます。

不妊治療と仕事の両立~少子化時代の働き方改革~(厚労省)

【以下動画の内容】

不妊治療と仕事の両立は、少子化が進む現代社会において重要な課題です。日本では年間の出生数が1978年には171万人だったものが、2022年には80万人弱に減少しています。これには様々な要因がありますが、特に注目されるのは晩婚化や晩産化の影響です。例えば、1975年には初婚年齢が24.7歳、初産年齢が25.7歳でしたが、現在ではそれぞれ30歳前後に上昇しています。

また、50歳時点の未婚率が男性で約30%、女性で約20%というデータもあり、未婚率の上昇が少子化の一因とされています。これに加え、妊娠を希望する夫婦のうち約10%が不妊症と診断される現状があります。日本生殖医学会によると、健康な夫婦の約50%が3ヶ月以内に、70%が6ヶ月以内に、90%が1年以内に妊娠するとされていますが、女性の年齢が上がるにつれて妊娠率は低下し、流産率が増加します。特に、女性の妊娠可能な期間が38歳前後から急激に短くなることが知られています。

不妊治療にはタイミング法、人工授精、体外受精、顕微授精などがあります。タイミング法は排卵日を予測して性交を行う方法で、成功率は約20%です。人工授精は精子を子宮内に直接注入する方法で、成功率は約5~10%です。体外受精や顕微授精は、卵子と精子を体外で受精させ、受精卵を子宮に戻す方法で、これらの治療には高い専門性が求められます。

不妊治療と仕事の両立には、多くの課題があります。まず、不妊治療には頻繁な通院が必要であり、特に排卵誘発や採卵の日程が突然決まることが多いため、仕事を休まざるを得ない状況が頻繁に発生します。例えば、採卵日は2日前に確定することが一般的で、その日の予定を急に変更する必要があります。

さらに、不妊治療のための通院には経済的な負担も伴います。保険適用が進んだことで治療費は以前よりも低くなりましたが、それでも交通費や宿泊費などの間接的な費用がかかります。特に地方に住む人々は、不妊治療の専門医療機関が都市部に集中しているため、長距離の移動を余儀なくされることが多いです。

また、不妊治療と仕事の両立において重要なのは、職場の理解とサポートです。突発的な休暇が必要な状況に対する職場の理解がなければ、治療と仕事の両立は困難です。不妊治療に関する知識の普及や教育も重要で、学校や職場での教育を通じて理解を深めることが求められます。

不妊治療と仕事の両立支援を進めるためには、企業内での体制整備が欠かせません。例えば、治療と仕事の両立を支援する担当窓口を設けることや、ハラスメント防止のための取り組みを徹底することが重要です。具体的には、治療の内容を同僚に漏らさない、適切なサポートを提供する、突発的な休暇に対応する制度を整備するなどの対策が必要です。

最後に、不妊治療と仕事の両立を支援するためには、治療を受ける社員のプライバシーを尊重し、必要なサポートを提供することが重要です。企業としては、社員が安心して治療に専念できる環境を整えることが求められます。不妊治療と仕事の両立は、個々の社員だけでなく、社会全体の課題でもあります。企業と社会が一体となって、少子化対策と働き方改革を進めることが求められます。

子どもを望み不妊治療に取り組む人をみんなで応援していける組織へ~治療を経て支援事業を立ち上げた当社がいま、支援者と考えたいこと~

【以下動画の内容】

株式会社ライフサカス西部は、不妊治療に取り組む人々を支援する新しい事業を立ち上げ、企業としての取り組みを紹介するセミナーを開催しました。このセミナーは、企業の人事担当者に向けて、不妊治療を支援するための組織作りについての情報提供を目的としています。

西部氏は、まず自身の紹介から始めました。彼は2016年にライフサカスを設立し、従業員の健康とウェルビーイングを支援する活動を行ってきました。前職では多くの人材育成に携わり、その経験を活かして現在は企業や自治体、学校で研修や講演、コンサルティングを行っています。また、不妊治療の体験を共有するウェブメディアも運営しています。

ライフサカスが不妊治療の支援事業を始めた理由は明確です。創業チームの多くが30代で癌や不妊治療を経験しており、その経験から得た教訓を基に、従業員が安心して働ける環境を提供することを目指しています。

西部氏は、職場で不妊治療を行う従業員をどう支援するか、そして彼らが職場で相談できる心理的に安全な環境をどう作るかについて話しました。これらの課題を解決するためには、まず職場全体での理解とサポートが不可欠です。

セミナーでは、不妊治療と仕事の両立支援の重要性についても説明しました。厚生労働省の調査によると、不妊治療をしていることを職場に伝えていない人は約6割に上り、企業の約7割が治療中の従業員を把握できていない現状があります。さらに、労働者の8割は不妊治療についてよく分かっていないというデータもあります。

不妊治療と仕事の両立は、多くの場合、個人の努力で行われていますが、それだけでは限界があります。治療を受けながら働く人々の多くが、職場での支援が不足しているために、チャレンジを諦めたり、離職に至ることが少なくありません。これは組織全体にとって大きな労働損失を引き起こします。

不妊治療を支援するための具体的な方法として、まずは職場全体の理解を深めることが重要です。例えば、検診や婦人科受診の推奨、リテラシー啓発、専門家へのアクセス提供などが効果的です。また、当事者が安心して相談できる環境作りも欠かせません。

さらに、社内でのフォロー体制を整え、当事者支援に対する研修を行うことも重要です。これにより、管理職やチームメンバーが適切な支援を提供できるようになります。また、休暇制度や柔軟な勤務体系の整備も必要です。

不妊治療の支援は、組織全体のダイバーシティ推進にも寄与します。多様なバックグラウンドを持つ従業員が働きやすい環境を整えることで、組織の生産性が向上し、全体的なパフォーマンスも向上します。

西部氏は、自身の経験を基に、不妊治療と仕事の両立がいかに困難かを説明しました。彼は癌治療と不妊治療を経験しながら働いてきましたが、その中で感じた孤独や困難を乗り越え、現在の事業を立ち上げました。この経験から、不妊治療を支援することの重要性を強く訴えています。

企業が不妊治療を支援することで、従業員の健康と幸福が向上し、結果として組織全体のパフォーマンスも向上します。これからも、ライフサカスは不妊治療を支援するための取り組みを続け、企業と従業員の両方が共に成長できる環境を提供していきます。

⇒ 詳しくは厚生労働省のYoutubeチャンネルへ

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