2025年6月22日
労務・人事ニュース
日本全体のパート比率が30.84%に到達、非正規雇用拡大の影響を読み解く(令和7年4月)
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「残業ゼロ」/正看護師/介護施設/住宅補助あり
最終更新: 2025年6月22日 22:38
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「夜勤なし」/准看護師/介護施設/ブランクのある方も歓迎
最終更新: 2025年6月22日 22:38
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「夜勤なし」/准看護師・正看護師/介護施設/ブランクのある方も歓迎
最終更新: 2025年6月22日 22:38
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「駅チカ」/正看護師/ブランクのある方も歓迎
最終更新: 2025年6月22日 22:38
毎月勤労統計調査 令和7年4月分結果速報 第3表 常用雇用及び労働異動率(厚労省)
2025年4月に公表された毎月勤労統計調査の速報によると、事業所規模5人以上の企業における雇用の実態が明らかとなりました。産業別に常用雇用の人数や労働異動率、パートタイム労働者の割合などが詳細に示されており、企業の採用担当者が人事戦略を見直す上で非常に有益な情報となっています。現代の労働市場においては、単に人材を採用するだけでなく、離職率を低下させ、適切な雇用形態のバランスを保つことが、企業の成長と持続可能性に直結するため、この調査結果を読み解くことは極めて重要です。
まず、調査産業全体における労働者総数は5,151.1万人で、前年同月比1.7%の増加となりました。この増加は景気回復や企業の採用意欲の高まりを示すものですが、その内訳を細かく見ることで、より実態に即した分析が可能となります。特に注目すべきは、パートタイム労働者の比率で、全体で30.84%となり、前年より0.36ポイント増加しています。この数値は、全体の雇用のうち約3人に1人がパートタイムで働いていることを示しており、企業にとっては非正規雇用者とのバランスをどう取るかが大きな課題となっていることを意味します。
産業別に見ると、「鉱業、採石業等」の労働者総数は13万人と全体に比べて規模は小さいものの、前年比では1.6%の減少が見られました。しかしながら、パートタイム労働者の比率は7.51%で、前年より6.89ポイントという大幅な上昇を記録しており、業界構造に大きな変化が生じている可能性があります。加えて、入職率は4.35%、離職率は1.24%で、離職率の上昇幅が2.38ポイントと非常に大きく、労働市場において不安定さが高まっている業種の一つと考えられます。企業にとっては、労働条件や職場環境を見直し、定着率向上のための取り組みが急務であることがうかがえます。
「建設業」では、労働者総数が2,584万人で、前年比2.8%と高い伸び率を記録しました。パート比率は5.07%と他産業と比べて低水準にあるものの、入職率が3.72%、離職率が2.10%となっており、離職率は前月比で0.58ポイント減少しました。これは、建設業において人材の定着がやや改善している兆しと受け取ることができますが、それでも人材の流動性は高い状態が続いており、安定した雇用確保には引き続き課題が残されています。
「製造業」においては、労働者総数が7,707万人と非常に大きく、産業別では最大級の雇用規模を誇ります。前年比で0.1%の微増に留まりましたが、パート比率は13.13%とそれなりに高く、前年からは0.15ポイントの増加となりました。注目すべきは、入職率が2.86%で前月より0.07ポイント増、離職率は1.63%で前月比1.63ポイントの上昇という点です。この結果から、製造業では人の出入りが激しくなっている傾向が見て取れ、企業にとっては採用活動の強化と同時に、既存人材の維持策が重要となってきています。
このような産業別の雇用データから浮かび上がるのは、業種ごとの雇用構造の違いと、それに対応した人材マネジメントの必要性です。特にパートタイム労働者の比率が高い産業では、労働条件の柔軟性が求められる一方で、雇用の安定性に課題があるため、研修制度の拡充やキャリアパスの明確化によって定着率を高める努力が必要です。また、入職率と離職率の動向を注視することで、労働市場における競争の激化や職場環境の影響を読み解くことができます。入職率が高く離職率も高い場合は、採用活動に成功しているものの職場の定着率が低い可能性があり、制度的な問題や職場文化に原因があるケースも考えられます。
企業の採用担当者は、これらの統計データを活用しながら、自社の状況と照らし合わせて対策を講じることが求められます。例えば、他社に比べてパート比率が高い場合には、正社員登用制度の導入や待遇の改善を検討することが効果的です。また、離職率が高い場合は、面接時の情報提供の質や、入社後のフォローアップ体制を見直すことも重要です。さらに、雇用の安定性を求める求職者にとっては、企業がどれだけ長期的なキャリア形成を支援しているかが、入社の判断材料になることも多くなっています。
雇用環境の変化が続く中、企業にとっては採用活動だけでなく、入社後のサポートや働きやすい職場作りにも注力する必要があります。そのためには、統計に現れる数字の背景を読み解き、現場の声と合わせた多角的な視点を持つことが欠かせません。
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ