2026年4月7日
労務・人事ニュース
財形貯蓄利用者3674人と非利用者1000人から見る給与天引き73.3%の利用理由
「福利厚生に関する労働者調査」および「財形貯蓄制度に関する労働者調査」(JILPT)
2026年3月18日、福利厚生制度および財形貯蓄制度の実態を把握するために実施された労働者向け調査の結果が公表されていた。本調査は、経営環境や雇用状況の変化を背景に、制度の利用状況やニーズを明らかにすることを目的として実施されていたものであり、インターネット調査により幅広い年齢層と業種の労働者から回答が集められていた。
福利厚生に関する調査では、2025年9月5日から9月7日にかけて実施され、15歳から79歳までの雇用労働者3,000人の回答が分析対象となっていた。対象者は多様な業種にわたり、現在の職場でどのような福利厚生制度が導入されているかについて把握が進められていた。
その結果、最も多くの回答者が「ある」と認識していた制度は慶弔見舞金制度で42.1%に達していた。これに続いて、人間ドック受診の補助が35.2%、永年勤続表彰が32.9%と、健康管理や長期勤続に関する制度が比較的広く浸透している実態が確認されていた。一方で、住宅関連では家賃補助や住宅手当の支給が25.4%、食堂の設置が24.4%と一定の普及が見られたものの、すべての職場で整備されているわけではなかった。
資産形成に関する制度では、財形貯蓄制度が20.6%にとどまっており、他の福利厚生制度と比較すると導入割合は限定的であった。また、社内預金制度やストックオプションなどはさらに低い水準となっており、制度の認知や導入の広がりに課題があることがうかがえていた。
一方、財形貯蓄制度に関する調査は2025年9月9日から9月19日にかけて実施され、年金財形の利用状況に焦点を当てていた。調査では、年齢階級ごとに回収数を設定し、最終的に年金財形を利用している人が3,674人、利用していない人が1,000人集められていた。こうした設計により、年齢層ごとの利用実態を比較可能な形で把握することが可能となっていた。
財形貯蓄制度を利用している、または過去に利用していた人に対する調査では、その理由として「給与天引きにより簡単に貯蓄できるから」が73.3%と最も高い結果となっていた。続いて「税制上の優遇措置に魅力があるから」が39.1%、「勤務先の支援制度があるから」が36.5%となっており、利便性と制度的なメリットが利用動機として大きく影響していることが示されていた。
一方で、制度を利用したことがない人に対する調査では、「制度の存在を知らなかったから」が33.4%と最も高く、認知不足が大きな障壁となっていた。また、「勤務先に制度がないから」が25.2%、「転職や退職を考えると利用したくない」が14.3%といった回答も見られ、制度設計や雇用の流動性が利用意向に影響している実態が明らかとなっていた。
さらに、「給与に余裕がないため積立が難しい」とする回答が8.1%、「手続きが煩雑である」とする回答が8.0%と、経済的余力や手続き面の負担も一定の課題として認識されていた。これらの結果から、制度の普及には単に仕組みを整えるだけでなく、利用しやすさや情報提供の充実が重要であることが示唆されていた。
本調査の結果は、今後の福利厚生制度や資産形成支援策の見直しに向けた基礎資料として活用される予定とされていた。特に、労働者の多様なニーズや就業環境の変化に対応するためには、制度の認知向上と利用促進の両面からの取り組みが求められる状況であった。
今回の分析は、実際の労働者の回答に基づくものであり、現場の実態を反映した信頼性の高いデータとして位置付けられていた。福利厚生の在り方や資産形成支援の方向性を検討するうえで、具体的な数値と傾向を示した点において重要な意義を持つ調査であった。
⇒ 詳しくは独立行政法人労働政策研究・研修機構のWEBサイトへ


