2026年4月23日
労務・人事ニュース
令和8年2月 高知県有効求人倍率1.15倍と正社員倍率0.91倍
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令和8年2月高知県有効求人倍率1.15倍と産業別採用動向
令和8年3月31日、高知労働局は令和8年2月時点の雇用情勢を公表した。これによると、高知県の有効求人倍率は1.15倍となり、前月から0.04ポイント上昇し4か月連続の改善となった。一方で全国平均は1.19倍であり、依然として全国水準をやや下回る状況にある。この数値は一見すると雇用環境が持ち直しているように見えるが、内訳を丁寧に読み解くと、企業の採用活動においては単純な回復とは言えない複雑な動きが見えてくる。
まず、有効求人数は14,354人で前月比1.0%増と4か月連続で増加しているのに対し、有効求職者数は12,503人で前月比2.3%減少している。この結果として求人倍率は上昇しているが、これは求人が増えたというよりも、求職者の減少が強く影響している構造である点が重要である。実際に、長期的に見ても雇用保険被保険者数は186,257人と前年同月比で1.5%減少し、75か月連続で減少していることから、労働市場の母数そのものが縮小している現実が浮き彫りになっている。
さらに新規求人の動向に目を向けると、新規求人数は5,991人で前年同月比1.4%減と2か月連続で減少している。加えて新規求職者数も2,812人で前年同月比13.5%減と4か月連続の減少となっており、採用市場は「求人も求職も減少する縮小均衡」に近い状態にある。つまり、求人倍率の上昇は必ずしも企業にとって有利な状況を意味せず、むしろ採用母集団の確保が難しくなっていることを示している。
産業別の動向を見ると、運輸業・郵便業では37.8%増、公務・その他では33.0%増と一部で求人が増加している一方、教育・学習支援業では48.9%減、生活関連サービス業・娯楽業で17.8%減、医療・福祉でも3.6%減と、多くの業種で求人が減少している。これらのデータは、業界ごとに採用環境が大きく異なっていることを示しており、企業は自社の属する業界特性を踏まえた採用戦略を構築する必要がある。
正社員の有効求人倍率は0.91倍と1倍を下回っているが、前年同月比では0.02ポイント上昇している。この点は重要であり、正社員採用については依然として求職者側が一定の選択優位性を持っていることを意味する。つまり、企業が提示する条件や働き方が魅力的でなければ、応募が集まりにくい状況が続いている。
また、就職件数は836件で前年同月比8.2%減と5か月連続の減少となっている一方、就職率は29.7%で前年同月より1.7ポイント上昇している。この結果からは、求職者数が減少する中で一定のマッチングは成立しているものの、全体として採用活動のボリュームは縮小していることが読み取れる。企業側にとっては、応募数の減少に対応しながらも採用の質を高める必要がある難しい局面にあるといえる。
このような状況を踏まえ、中小企業の採用担当者が取るべき戦略は明確に変化している。有効求人倍率1.15倍という数値は「人手不足」というよりも「人材獲得競争の質的変化」を意味しており、従来型の採用手法では成果が出にくくなっている。特に重要なのは、求職者の減少という構造的課題を前提にした採用設計である。
まず、採用ターゲットの再定義が不可欠となる。新規求職者が大幅に減少している現状では、若年層や即戦力人材だけに限定した採用は現実的ではない。在職者の転職市場や、未経験者、高齢者、さらには副業・兼業人材など、多様な人材層に目を向ける必要がある。特に在職者の割合が高まっている点を踏まえると、働きながら転職活動を行う層に対して柔軟な選考スケジュールを用意することが重要である。
次に、求人内容の具体性と透明性を高めることが求められる。求職者が減少している環境では、企業選びはより慎重になる傾向がある。そのため、給与や休日といった基本条件に加え、実際の業務内容やキャリア形成の道筋、職場の雰囲気などを具体的に伝えることが、応募率の向上につながる。これは単なる情報開示ではなく、企業の信頼性を高める取り組みとしても重要である。
さらに、採用スピードの見直しも欠かせない。求職者数が減少している状況では、1人の応募者に対して複数の企業が競合している可能性が高い。選考に時間をかけすぎることで他社に人材を奪われるリスクがあるため、面接から内定までのプロセスを最適化し、迅速な意思決定を行う体制を整える必要がある。
加えて、育成を前提とした採用への転換も重要である。正社員求人倍率が1倍を下回っているとはいえ、即戦力人材の確保は容易ではない。企業が教育体制を整備し、入社後にスキルを習得できる環境を提供することで、採用対象の幅を広げることができる。これは結果的に人材の定着率向上にも寄与する。
また、地域特性を踏まえた採用戦略も不可欠である。高知県のように人口減少が続く地域では、地元人材の確保に加え、UIターン人材の獲得やリモートワークを活用した広域採用など、新たなアプローチが求められる。単に求人を出すだけでなく、地域の魅力や生活環境を含めて発信することが、応募者の関心を高める要素となる。
令和8年2月の高知県における有効求人倍率1.15倍という結果は、表面的には改善を示しながらも、実態としては求職者減少と求人抑制が同時に進行する構造的課題を映し出している。中小企業の採用担当者にとっては、このデータを単なる指標として捉えるのではなく、自社の採用戦略を見直すための重要な判断材料として活用することが求められる。採用市場の変化に適応し、柔軟かつ戦略的な取り組みを進めることが、今後の企業成長を左右する鍵となる。
⇒ 詳しくは高知労働局のWEBサイトへ


