2026年6月1日
労務・人事ニュース
2026年4月先行き 春の四国採用市場、6月から7月イベント需要と人手不足継続が求人戦略に与える具体的影響とは
景気ウォッチャー調査(令和8年4月調査)― 四国(先行き)―(内閣府)
2026年4月に公表された四国地域の景気先行き調査では、香川県、愛媛県、高知県、徳島県を中心とする地域経済において、猛暑需要による夏商戦への期待、省エネ家電の買換え需要、観光需要の回復、地域イベントによる人流増加など、個人消費を押し上げる前向きな材料が確認される一方で、中東情勢の長期化による原油価格の高騰、包装資材や部材の不足、物流コストや仕入価格の上昇、継続する物価高など、企業経営と家計の双方に大きな影響を与える不安要素も広がっています。観光、製造、小売、建設、物流など地域経済を支える幅広い産業が集積する四国では、景気の変化が求人市場や有効求人倍率にも直接影響しやすく、企業の採用担当者にとっては売上や受注だけでなく、今後の求人数や人材確保の難易度まで見据えた採用判断が求められる局面に入っています。
個人消費の現場では、春から夏にかけて一定の回復期待がみられています。衣料品専門店では4月の天候に恵まれたことが売上増加につながっており、5月も天候が安定すれば売上確保が可能との見方が示されています。酒類販売の現場でも気温上昇とお中元需要が近づくことから販売増加への期待が高まっています。タクシー業界でも燃料代高騰や物価高の声はあるものの、例年この時期は人の移動が増えることから売上改善を見込む声が出ています。四国各地ではゴールデンウィークや夏季イベントが予定されており、商店街でも地元客と観光客の人流増加による売上回復への期待が広がっています。
家電販売では、省エネ基準改正が市場に大きな影響を与えています。家電量販店では半導体不足や部材不足が続くなかでも、新たな省エネ基準への切替えを前にエアコンの前倒し需要が見込まれており、夏商戦の中心商材として売上をけん引すると予想されています。気温上昇と電気料金の上昇が重なるなか、省エネ性能を重視した買換え需要は今後さらに強まる可能性があります。一方で、物価上昇の影響により消費者は本当に必要な商品だけを購入する傾向を強めており、単価の高い家電販売では接客力や商品説明の質が販売実績を左右する重要な要素になっています。
観光関連では比較的堅調な動きも確認されています。観光型旅館では来客数、売上ともに前年同期を上回っており、2か月から3か月前と同様に良い流れが続いています。観光遊園地でも大型イベント終了後の反動はあるものの、インバウンドを中心とした来客数は堅調に推移する見込みです。ホテルや旅行関連は地域雇用の受け皿としても重要な産業であり、宿泊需要の維持はアルバイトやパート採用にも直結します。ただし都市型ホテルでは先行きが不透明との声もあり、燃料費や航空運賃の上昇が観光需要に影響を与える可能性も指摘されています。
一方で、日常消費の現場では節約志向の強まりがより鮮明になっています。百貨店では中東情勢の先行き不透明感から購買意欲の高まりは期待しにくいとされ、スーパーでは物価高が続くなかで来客数と買上点数の回復が見込めないとの見方が出ています。商品単価は上昇しているため売上金額そのものは維持される可能性がありますが、実際の購買量は減少傾向にあります。コンビニでも前年に開催された芸術祭の反動減が見込まれており、来客数増加につながる具体策が見えないとの声が上がっています。インフレによって売上が増えても来客数は減少しており、今後さらに売上自体も減少に転じる可能性が指摘されています。
食品流通の現場では、資材高騰が経営を大きく圧迫しています。スーパーでは石油関連製品であるトレーや包材の価格上昇が見込まれており、調達困難の通知も増えています。原材料や包装資材の高騰は販売価格への転嫁だけでは吸収できず、利益率低下につながっています。コンビニでも4月後半から購買意欲の弱さが感じられ、この流れが続くとの見方が示されています。外食分野でも物価高の影響により外食から内食へのシフトが顕著になっており、ファーストフード業界でも厳しい先行きが予想されています。地域の生活インフラを支える食品関連業界では、採用維持よりも既存人員の定着が経営課題になりつつあります。
自動車関連では慎重な見方が広がっています。乗用車販売業では販売停止車種が多い状況が続いており、大きな回復は見込みにくいとの声が出ています。中東情勢や物価高など不安材料が多く、購買意欲は当面高まらないとの見方も示されています。高額な耐久消費財に対する支出には慎重な姿勢が続いており、自動車販売の停滞は整備業や部品関連企業にも波及する可能性があります。四国でも自動車関連は製造や物流を含めて雇用規模が大きい分野であり、販売動向の変化は求人市場にも影響を与えやすい状況です。
製造業では業種による温度差がさらに鮮明になっています。一般機械器具製造業では不透明感が増しているものの、一部の電気機械器具製造業では先行きに前向きな見方もみられます。しかし食料品製造業では包材や資材の大幅な高騰により利益率が低下しており、木材木製品製造業でも仕入価格の上昇が止まらない状況です。パルプ・紙・紙加工品製造業でも全ての資材が高騰しており、販売価格への転嫁が難しく収益悪化が続いています。金融機関からも7月の値上げを見込む企業が増えているとの指摘があり、原材料不足による生産停滞が徐々に広がり始めています。
建設と不動産分野でも厳しい状況が続いています。建設業では相変わらず人手不足が続いている一方で、中東情勢による資材価格の高騰が建設計画に影響を与えています。不動産業では一般消費者も業者も購入判断に慎重になっており、商談の長期化が目立っています。設計事務所からも商品価格の動向が不透明な状態が続き、景気低迷が継続するとの見方が示されています。建設業界は有効求人倍率が高い代表的な業界ですが、原価高騰と採算悪化が長引けば求人そのものが減少する可能性もあります。
雇用市場では、人材不足と採用方針の変化が同時に進行しています。求人情報誌製作会社では、夏休みに向けたアルバイト募集の求人数増加が予想されており、観光や小売、飲食を中心に短期求人の需要が高まる見通しです。一方で人材派遣会社では、景気を大きく変えるきっかけがなく、当面は横ばいとの見方が示されています。民間職業紹介機関では職種によって求人難が続くものの、事務職では充足が進んでいる分野もあり、業種間格差が広がっています。最低賃金引上げの影響を懸念する声もあり、人件費上昇が採用計画の見直しにつながる可能性も指摘されています。
さらに地域産業の将来に関わる深刻な変化も起きています。繊維業界では資材不足によって受注分を出荷できない可能性が指摘されており、後継者不足を背景に足元が明るいうちに事業をたたむ中小企業も今年に入って数社発生しています。これは地域雇用や税収にも大きな影響を与える可能性があります。求人情報誌の営業現場からも、建設業、化学関連業界をはじめ、あらゆる業界で原材料の入手困難と仕入価格高騰が続くとの見方が示されており、今後の景気悪化への警戒感が高まっています。
四国地域で採用競争を勝ち抜くためには、単に求人広告を出すだけでは人材確保が難しい時代に入っています。初任給、昇給率、年間休日、平均残業時間、住宅手当、資格取得支援、離職率、育児支援制度、管理職登用率、中途採用比率など、働く将来像を具体的な数字で示す採用設計が必要です。有効求人倍率が高水準で推移する地域ほど、求人数を増やしても応募数が比例して増えるとは限りません。2026年春の四国市場では、猛暑需要と観光需要が追い風になる一方で、物価高と資材不足、人材不足と採用コスト上昇が同時進行しています。企業の採用戦略そのものが、中長期の成長を左右する重要な経営課題になっていることは間違いありません。
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