2026年6月23日
労務・人事ニュース
2026年4月山梨県の有効求人倍率1.37倍で変わる人材獲得競争の現実
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最終更新: 2026年6月22日 07:37
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2026年4月山梨県の有効求人倍率1.37倍と求人数減少の背景
山梨労働局が2026年5月29日に公表した「山梨県の労働市場の動き(令和8年4月分)」によると、山梨県の有効求人倍率は季節調整値で1.37倍となり、前月から0.01ポイント低下した。一方で全国平均の1.18倍を上回る状況が続いており、県内企業にとって人材確保が依然として重要な経営課題であることが改めて示された。求人倍率は求職者1人に対して何件の求人があるかを示す指標であり、1.37倍という数字は求職者よりも求人のほうが多い状態を意味する。つまり企業同士が限られた人材を取り合う構図が続いているということだ。
今回の統計では、有効求人数は16,741人となり前月比0.3%減少した。一方で有効求職者数は12,208人となり前月比0.3%増加している。求人数が減少し求職者数が増加した結果として、有効求人倍率はわずかに低下した。しかし、倍率そのものは依然として高い水準にあり、採用市場が売り手市場である状況に大きな変化は見られない。
企業の採用担当者にとって注目すべきなのは、有効求人倍率の数字だけではなく、その背景にある求人と求職の動向である。原数値でみると月間有効求人数は16,768人で前年同月比1.0%増加したが、新規求人数は5,834人で前年同月比4.2%減少した。これは過去に募集した求人が残っている一方で、新たに募集を開始する企業はやや慎重になっていることを示している。物価上昇やエネルギー価格の高止まり、人件費上昇などの経営環境の変化が企業の採用計画にも影響していると考えられる。
新規求職者数は3,366人で前年同月比2.2%減少した。求人も減少しているが、求職者も減少しているため、企業にとっては引き続き人材確保が容易ではない状況が続いている。特に中小企業は大手企業と比較して知名度や待遇面で不利になりやすく、単純な求人掲載だけでは応募獲得が難しくなっている。
業種別の新規求人数を見ると、業界ごとの採用環境の違いが鮮明になっている。建設業は512人で前年同月比13.3%増加した。総合工事業だけでも339人となり21.5%増加している。建設業界ではインフラ整備や更新需要に加え、技能労働者の高齢化が進んでいることから継続的な採用ニーズが存在する。今後も人材不足は続くと考えられ、企業は若年層の育成や未経験者採用に積極的に取り組む必要がある。
医療・福祉分野も1,189人で前年同月比12.9%増加した。高齢化が進む中で介護職や福祉関連職種への需要は今後も高水準で推移すると予想される。特に地方では医療や介護サービスの維持が地域社会の重要課題となっており、人材確保は経営課題であると同時に社会的課題でもある。
サービス業も1,015人で前年同月比10.9%増加した。サービス業は幅広い職種を含むため一概には言えないが、人手不足を背景に採用活動を強化する企業が増えていることがうかがえる。
一方で減少が目立つ業種も少なくない。製造業は877人で前年同月比21.8%減少した。山梨県は製造業が地域経済を支える重要な産業であるため、この動向は企業にとって非常に重要な意味を持つ。製造業の中でも食料品製造業は66.3%減、生産用機械器具製造業は46.3%減、業務用機械器具製造業は25.4%減となった。設備投資の慎重化や市場環境の変化を背景に採用計画を見直している企業が増えている可能性がある。
ただし製造業全体が弱いわけではない。電子部品・デバイス・電子回路製造業は63.6%増、輸送用機械器具製造業は186.4%増となった。成長分野では積極採用が続いており、同じ製造業でも分野によって大きな差が生じている。採用担当者は自社業界だけでなく周辺業界の採用動向も把握し、人材流動の変化を分析することが重要になる。
運輸業・郵便業は279人で26.6%減少した。宿泊業・飲食サービス業も16.9%減少している。これらの業種は慢性的な人材不足が指摘されているが、人件費負担や事業環境の変化を受けて採用計画を見直している企業もあると考えられる。
こうしたデータを踏まえると、中小企業の採用担当者は従来型の採用活動から脱却する必要がある。現在の山梨県では有効求人倍率が1.37倍であり、企業が人材を選ぶ時代ではなく、求職者が企業を選ぶ時代が続いている。求人票を掲載して待つだけでは十分な応募を集めることが難しい。
まず重要になるのは採用広報の強化である。求職者は応募前に企業ホームページや採用サイト、SNSなどを通じて企業情報を収集する傾向が強まっている。そのため企業理念や事業内容だけでなく、実際に働く社員の姿や職場環境、教育制度、キャリア形成の事例などを積極的に発信することが求められる。
また、給与条件だけに依存した採用競争には限界がある。大手企業との賃金競争では不利になりやすいため、中小企業は働きやすさや成長機会、地域密着型企業ならではの魅力を明確に打ち出す必要がある。例えば資格取得支援制度や柔軟な働き方、地域社会への貢献活動などは求職者の関心を集める要素となる。
さらに、採用対象の拡大も重要な戦略となる。経験者採用だけに依存すると応募者が限られるため、未経験者や異業種からの転職者を積極的に受け入れる体制づくりが必要である。入社後の教育制度を整備し、人材育成を前提とした採用へ転換することで採用成功率を高めることができる。
新規求職者の減少という状況は、求職者そのものが減少していることを意味する。そのため採用担当者は転職潜在層へのアプローチも考える必要がある。すぐに転職を考えていない人材に対しても企業の魅力を継続的に発信し、将来的な応募につなげる視点が重要になる。
また、正社員有効求人倍率が1.05倍となり前年同月から0.03ポイント上昇している点も見逃せない。正社員を希望する求職者に対しても求人が上回っている状況であり、安定した雇用を求める人材の獲得競争も続いている。企業は雇用の安定性や長期的なキャリア形成の可能性を明確に伝えることが必要になる。
今回の山梨県の有効求人倍率1.37倍という数字は、単なる統計指標ではない。採用市場の競争環境を示す重要な経営指標であり、企業の人材戦略を考える上で欠かせないデータである。求人倍率が高い状態が続く中では、採用活動そのものを経営戦略の一部として捉える視点が求められる。採用担当者は求人件数や倍率だけを見るのではなく、業種別の変化や求職者動向、地域経済の変化を総合的に分析し、自社が選ばれる企業になるための取り組みを進める必要がある。人材不足が続く時代だからこそ、採用力の差が企業成長の差につながる時代になっていると言えるだろう。
⇒ 詳しくは山梨労働局のWEBサイトへ


