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2026年6月23日

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2026年4月奈良県の有効求人倍率1.11倍 建設業求人564人増加から見る採用動向

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2026年4月奈良県の有効求人倍率1.11倍が示す雇用市場の現状

奈良労働局が2026年5月29日に公表した2026年4月の一般職業紹介状況によると、奈良県の有効求人倍率は1.11倍となり、前月の1.13倍から0.02ポイント低下した。一方で、県内の雇用情勢については求人が求職を上回る状態が継続しており、一部の求人には持ち直しの動きも見られている。奈良労働局は、引き続き物価上昇などが雇用に与える影響に留意する必要があるとしている。今回の結果は単純な景気指標として見るだけではなく、中小企業の採用戦略を考える上でも重要な示唆を含んでいる。

有効求人数は季節調整値で21,591人となり、前月より261人減少した。一方、有効求職者数は19,441人となり、前月より66人増加した。その結果として有効求人倍率は低下したものの、依然として1倍を上回っている。これは求職者1人に対して1件以上の求人が存在する状態であり、企業側にとっては引き続き人材確保競争が続いていることを意味している。

全国の有効求人倍率は1.18倍、近畿全体は1.08倍となっており、奈良県の1.11倍は近畿平均を上回る水準となった。ただし全国平均には届いていない。企業の採用担当者にとっては、奈良県の労働市場が極端な売り手市場でも買い手市場でもない中間的な環境にあることを理解することが重要である。

さらに注目したいのが新規求人倍率である。2026年4月の新規求人倍率は1.84倍となり、前月の2.02倍から0.18ポイント低下した。新規求人数は7,379人で前月比3.1%減少した一方、新規求職者数は4,007人で前月比6.3%増加した。新たに仕事を探し始める人が増えている一方で、新たな求人の増加ペースは鈍化していることが分かる。

ただし前年同月との比較では別の視点も見えてくる。新規求職者のうち離職者は3,949人で前年同月比9.1%増加した。さらに事業主都合離職者は1,178人で前年同月比22.7%増、自己都合離職者も2,293人で前年同月比7.8%増となっている。企業側から見ると、経験を持つ転職希望者が市場へ流入している状況であり、中途採用を積極的に進める好機とも考えられる。

産業別の新規求人動向を見ると、業種ごとに明暗が分かれている。最も求人が多かったのは医療・福祉で3,036人となり、前年同月比1.5%増加した。奈良県全体の新規求人の41.6%を占めており、圧倒的な存在感を示している。高齢化の進展を背景に、介護や福祉関連の人材需要は今後も継続する可能性が高い。

建設業も564人で前年同月比25.6%増となった。インフラ整備や老朽化対策、災害対策工事などの需要を背景に人材確保が急務となっていることがうかがえる。製造業についても894人で前年同月比6.4%増加した。特に輸送用機械器具製造業は171.4%増、鉄鋼業は100.0%増となるなど、一部業種では採用需要が大幅に拡大している。

製造業の内訳を見ると、木材・木製品製造業は85.2%増、ゴム製品製造業は50.0%増、金属製品製造業は20.0%増、はん用機械器具製造業は26.8%増となった。奈良県内のものづくり企業では人材確保への動きが強まっており、技術職や技能職の採用競争は今後さらに激しくなる可能性がある。

一方で減少が目立った業種もある。宿泊業・飲食サービス業は280人で前年同月比36.2%減少した。運輸業・郵便業は425人で22.7%減、卸売業・小売業は626人で11.2%減、学術研究・専門技術サービス業は25.8%減となった。人件費上昇や物価高騰の影響を受け、採用計画を見直す企業も増えていると考えられる。

中小企業の採用担当者が特に注目すべきなのは、正社員市場の動向である。2026年4月の正社員有効求人倍率は0.95倍となり、前年同月の0.96倍から0.01ポイント低下した。正社員新規求人数は3,493人で前年同月比1.0%減少したものの、新規求人全体に占める正社員求人の割合は47.9%となり、前年同月より1.8ポイント上昇している。

この数字から読み取れるのは、企業が非正規雇用だけではなく正社員採用を重視する傾向を維持しているということだ。ただし正社員有効求人倍率は1倍を下回っており、求職者数の方がやや多い状況にある。中小企業にとっては、これまで採用が難しかった職種でも人材獲得のチャンスが広がる可能性がある。

職業別に見ると、建設・採掘従事者の正社員有効求人倍率は5.22倍、輸送・機械運転従事者は3.44倍、サービス職業従事者は2.55倍、生産工程従事者は2.22倍となっている。これらの職種では依然として深刻な人材不足が続いている。単に求人を掲載するだけでは応募獲得が難しく、給与水準や働き方改革、教育制度の整備など総合的な魅力向上が求められる。

一方で事務的職業は0.35倍、運搬・清掃・包装等従事者は0.46倍となっており、職種によって採用難易度が大きく異なる。採用担当者は県全体の倍率だけでなく、自社が募集する職種の倍率も確認しながら戦略を立てる必要がある。

奈良県の就業地別有効求人倍率は1.25倍となり、前月より0.03ポイント低下した。これは県内で実際に働く場所を基準とした求人倍率であり、受理地別の1.11倍より高い。つまり奈良県内には他府県のハローワークで受理された求人も含めると、実際にはさらに多くの雇用機会が存在していることになる。

近畿各府県との比較では、就業地別有効求人倍率は滋賀県が1.29倍で最も高く、奈良県は1.25倍で2位となっている。京都府は1.22倍、和歌山県は1.10倍、兵庫県は1.08倍、大阪府は0.95倍である。奈良県は近畿圏の中でも比較的人材需要が強い地域といえる。

こうした状況を踏まえ、中小企業の採用担当者はどのような採用活動を進めるべきだろうか。私は有効求人倍率1.11倍という数字を見て「採用しやすくなった」と判断するべきではないと考える。むしろ人材獲得競争の質が変化していると捉えるべきである。

求職者は給与だけでなく、職場環境や働き方、将来性、企業文化などを重視する傾向が強まっている。特に転職経験者や在職中の求職者は企業比較を徹底して行うため、自社の魅力を具体的に伝えなければ選ばれにくい時代になっている。

大企業と同じ条件で勝負することが難しい中小企業こそ、経営者との距離の近さ、地域密着型の事業展開、若手社員への裁量権、柔軟な働き方など独自の強みを明確に打ち出す必要がある。また採用後の定着率向上も重要であり、求人票と実際の職場環境にギャップを生じさせないことが信頼獲得につながる。

さらに事業主都合離職者が22.7%増加している現状は、中途採用市場に経験者人材が流入していることを意味する。中小企業にとっては即戦力人材を確保できる好機でもある。採用スピードを高めることや、面接から内定までの期間を短縮することも今後の重要な採用戦略になるだろう。

2026年4月の奈良県の有効求人倍率は1.11倍となり前月から低下したものの、求人が求職を上回る状況は継続している。医療・福祉や建設業、製造業では採用需要が拡大する一方、宿泊業や運輸業などでは求人減少が見られた。採用環境は業種や職種によって大きく異なっており、中小企業の採用担当者には数字の表面だけではなく、その背景にある求職者の動きや産業構造の変化を読み解きながら、自社に合った採用戦略を構築する姿勢が求められている。

⇒ 詳しくは奈良労働局のWEBサイトへ

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