2026年7月3日
労務・人事ニュース
2026年5月四国の雇用市場、宿泊売上117%好調でも求人活動に慎重さが広がる
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最終更新: 2026年7月2日 15:36
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最終更新: 2026年7月3日 05:39
景気ウォッチャー調査(令和8年5月調査)― 四国(現状)―(内閣府)
内閣府が公表した令和8年5月の景気ウォッチャー調査によると、四国地域の景況感は観光需要やインバウンド需要に支えられる分野がある一方で、物価上昇や中東情勢の影響による原材料不足への懸念が強まり、地域経済全体としては力強さを欠く状況が続いている。特に消費者の節約志向が根強く残るなか、企業側も資材価格や人件費の上昇に直面しており、景気回復への期待と先行き不透明感が入り混じる状況となった。
家計関連では観光分野を中心に明るい動きがみられる。商店街では国内観光客や訪日外国人旅行者の増加によってにぎわいが続いており、飲食店を中心に売上が増加している。ショッピングセンターでは来客数が前年比115%程度まで伸びており、3か月前の110%前後をさらに上回る水準となった。近隣で開催されるコンベンションの影響もあり、県外客の流入が継続していることが背景にある。土産物販売や飲食店の利用も好調で、サービス業を含めた幅広い業種に恩恵が広がっている。
観光関連の宿泊業も堅調な推移を見せている。観光型旅館では宿泊人数が前年を上回り、宿泊単価も上昇したことで売上は前年比117%となった。旅行需要そのものは一定の回復基調を維持しており、国内観光客を中心に地域経済を支える存在となっている。一方で都市型ホテルからは中東情勢による先行き不透明感を懸念する声も聞かれており、今後の需要動向を慎重に見守る姿勢がうかがえる。
家電販売では全国的な傾向と同様にエアコン需要が急拡大している。新たな省エネ基準に関する報道が増えたことを背景に、家電量販店ではエアコン販売数が前年比200%を超える水準で推移している。夏本番を前にした買換え需要が集中しており、地域消費を押し上げる大きな要因となっている。ただし別の家電量販店からは来店者数は増えているものの購入を見送るケースも増えているとの報告があり、消費者の慎重な姿勢も同時にみられる。
小売業では業種ごとの違いが鮮明になっている。生花店では母の日需要が好調で販売量が増加した一方、衣料品専門店では来客数の減少や客単価の伸び悩みが続いている。物価高の影響により衣料品への支出を抑える消費者が増えており、売上は前年並みを維持していても力強さに欠けるとの声が多い。百貨店でも必要なものには支出する一方で、不要な支出は抑える傾向が強まっており、消費行動の選別が進んでいる。
スーパー業界でも節約志向の強さが目立つ。ゴールデンウィーク期間の売上は計画どおりに推移したものの、買上点数は減少傾向にある。ポイント還元日や特売日には来店が集中する一方で、通常日はディスカウントストアへ流れる動きがみられる。商品単価は上昇を続けているが、消費者は価格に敏感になっており、より安価な商品を選択する傾向が強まっている。年金収入だけでは生活が厳しいという声もあり、生活防衛意識の高まりがうかがえる。
コンビニエンスストアでは厳しい状況が続いている。売上や来客数の減少傾向が続くなか、ゴールデンウィーク以降は例年以上の落ち込みがみられるという。主力商品の販売は鈍化しており、来客数の減少が止まらないとの報告もあった。さらにナフサを原料とする包材価格の上昇が続いており、今後は商品価格への転嫁も懸念されている。消費者の節約意識が強まるなかで、日常消費を支える業態には厳しい経営環境が続いている。
飲食業界でも明暗が分かれている。観光客が集まるエリアでは売上増加がみられる一方、一般レストランでは来客数が前年を下回る店舗も出始めている。物価高騰によって外食に掛ける費用を抑える傾向が広がっており、ファーストフード業態でも来客数の減少が報告された。観光需要が下支えしているとはいえ、地域住民の日常的な消費は依然として慎重である。
企業活動に目を向けると、中東情勢の影響による資材不足や価格上昇への懸念が広がっている。木材木製品製造業ではナフサ関連資材の入荷遅延によって工事の進捗に影響が出ており、一部では工事停止の可能性も指摘されている。建設業でも資材調達が難しくなり、契約合意が進まないケースが増加している。食料品製造業からはナフサ不足による更なる価格上昇が消費低迷につながるとの懸念が示されている。
また、多くの企業が収益面で課題を抱えている。電気機械器具製造業では物価高によって採算確保が難しくなっており、税理士事務所からも人件費や各種経費の上昇を販売価格へ十分転嫁できない企業が増えているとの指摘があった。広告業界でも資材価格の上昇が続いており、企業活動全体にコスト負担が広がっている。
一方で、繊維工業ではインバウンド需要の拡大を背景に受注が増加している。小売業界でも景気回復への期待から催事や販売促進を強化する動きがみられ、業種によっては積極的な営業活動が続いている。化学工業ではナフサ不足を背景とした先行需要により受注量が増加しているものの、一時的な需要との見方もあり、持続的な回復とは言い切れない状況である。
雇用市場については、人材不足が続くなかで大きな変化はみられていない。人材派遣会社によると求人数は少しずつ増加しているが、例年の季節要因の範囲内との見方が示されている。一方で、企業の採用活動に対する慎重姿勢もみられる。求人広告を取り巻く環境では、住宅関連企業を中心に広告出稿が鈍化しており、企業が採用や広告に掛けるコストを見直す動きも出始めている。
製造業や建設業では資材不足や原材料価格上昇への懸念が強く、求人市場にも今後影響が及ぶ可能性がある。現時点では大幅な採用削減の動きは確認されていないものの、先行きへの不透明感から採用計画を慎重に見極める企業が増えることも予想される。採用担当者にとっては、人材確保を進めながらも経営環境の変化に柔軟に対応することが求められる局面となっている。
四国地域の景気は、観光需要やインバウンド需要、エアコン販売の拡大など明るい材料がみられる一方で、物価高や原材料不足による影響が広範囲に及んでいる。雇用市場では求人数が緩やかに増加しているものの、企業を取り巻く経営環境は決して楽観できる状況ではない。今後は資材供給の正常化や消費者心理の改善に加え、企業の採用意欲がどのように推移するかが地域経済の重要な焦点となりそうだ。
⇒ 詳しくは内閣府のWEBサイトへ


