2026年7月3日
労務・人事ニュース
売上50%増の観光業がけん引する北陸経済、2026年5月の求人市場を詳しく解説
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最終更新: 2026年7月2日 15:36
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最終更新: 2026年7月3日 02:12
景気ウォッチャー調査(令和8年5月調査)― 北陸(現状)―(内閣府)
内閣府が公表した令和8年5月の景気ウォッチャー調査によると、北陸地域の景況感は観光関連を中心に明るい動きがみられる一方で、物価高騰や原材料不足への懸念が強まっており、業種によって大きな差がみられる状況となった。特にインバウンド需要の拡大が地域経済を押し上げているものの、生活必需品の値上げや資材価格の上昇によって消費者の節約意識も高まっており、企業経営や採用環境には慎重な空気が漂っている。
今回の調査で特に注目されたのは観光消費の回復である。商店街では売上が前年同月比で約50%増加し、過去最高水準の景況感との声も聞かれた。中国からの訪日客による免税売上は前年比で約3倍に回復し、欧米の富裕層による高額商品の購入も大幅に増加している。免税売上総額は前年の2.6倍に達し、特定の国や地域に依存しない多様な観光需要が地域経済を支える構造へと変化している。
国内観光客の動きも堅調である。高価格帯の伝統工芸品に対する需要が国内外で高まりを見せているほか、ゴールデンウィーク期間中は観光地や飲食店、宿泊施設で多くの来訪者がみられた。都市型ホテルではインバウンドを中心に宿泊需要が堅調に推移し、宴会部門も予約状況が改善している。タクシー業界でも観光客利用が増加し、ゴールデンウィーク後も旅行時期をずらした観光客の利用が続いている。
家電販売も好調な分野の一つとなった。2027年に予定されている新たな省エネ基準への移行を前に、エアコンの買い替え需要が急増している。本格的な夏を前にした気温上昇も追い風となり、家電量販店では例年を大きく上回る販売実績が報告された。新基準導入前の駆け込み需要が市場を活性化させている状況である。
自動車販売にも一部で明るい材料がみられる。新型車の投入や環境性能割廃止の効果によって販売台数が計画を上回る店舗がある一方で、依然として新車購入には慎重な姿勢を示す消費者も多い。日々報じられる物価高騰のニュースが高額商品の購入判断に影響を与えているとの指摘もあり、業界全体としては楽観できる状況ではない。
一方で、多くの小売業では消費者の節約志向が鮮明になっている。百貨店では化粧品や衣料品の販売が伸び悩み、購入点数や購買率の低下が続いている。利用者は商品を慎重に比較し、本当に必要なものだけを購入する傾向を強めている。スーパーやコンビニでも同様の動きがみられ、来客数の維持に苦戦する店舗が増えている。
特にコンビニ業界では厳しい状況が続いている。客単価は15%上昇しているものの、来客数の大幅な減少によって売上は前年比で10%減少したという報告もあった。光熱費や人件費も前年比で1割以上増加しており、経営環境は厳しさを増している。消費者は必要な商品だけを購入し、目的の商品がなければ何も買わずに退店するケースも増えているという。
飲食業界でも節約傾向の影響がみられる。一般レストランでは外食費を削減する動きが続いており、インバウンド需要が一定の下支えをしているものの、国内客の利用頻度は低下傾向にある。夜間の飲食需要も弱く、タクシー利用者の減少につながっているとの声も聞かれた。
住宅関連業界では先行きへの警戒感が強まっている。中東情勢の影響による原材料価格の上昇や供給不足への懸念が広がっており、建設コストの増加が続いている。住宅販売会社からは、今後さらにコスト上昇が進むとの見方も示されている。既に一部では地元企業の倒産や廃業も増加しており、地域経済への影響が懸念されている。
製造業でも資材調達問題が深刻化している。繊維工業では石油由来原料や燃料価格の高騰が続き、十分な価格転嫁が難しい状況となっている。さらに溶剤や包装資材などの調達も困難になっており、供給状況によっては生産停止のリスクも指摘されている。プラスチック製品製造業でも材料不足による建築現場の遅延が発生しており、関連産業への影響が広がりつつある。
能登半島地震の影響も依然として残っている。食料品製造業では震災前の売上水準を回復できていない企業も多く、そこへ原材料価格の上昇や包装資材コストの増加が重なっている。業績改善の見通しが立ちにくい状況が続いており、地域産業の復旧と経営安定化が大きな課題となっている。
雇用市場については、人手不足が継続している。民間職業紹介機関によると、中小企業を中心に人材不足感は依然として強く、求人数全体に大きな変化はみられていない。業種ごとに増減はあるものの、企業の採用意欲そのものは維持されている状況である。
しかし採用環境には変化も現れている。人材派遣会社ではゴールデンウィーク後の求人増加を期待したものの、想定より求人数が少なかったとの報告があった。また、中東情勢の影響による新規受注の減少が発生し始めており、企業が採用計画を慎重に見直す動きも出ている。大学の就職担当者からも、企業が原材料費や燃料費の高騰に苦慮しているとの声が多く寄せられている。
求人広告業界でもコスト増加への対応から支出を抑える企業が増えているという。採用担当者にとっては、人手不足が続く一方で経営環境が厳しくなるという難しい局面を迎えている。賃上げや福利厚生の充実だけでなく、限られた採用予算の中でいかに優秀な人材を確保するかが重要な課題となりそうだ。
北陸地域の景気は、インバウンド需要や観光消費の回復によって一部で高い成長を示している。しかしその一方で、物価上昇や原材料不足、震災の影響など複数の課題が企業活動や消費行動を圧迫している。雇用市場では人手不足が続きながらも、求人環境には慎重さが広がり始めている。今後は観光需要の持続性に加え、資材供給の安定化や企業収益の改善が地域経済と採用市場の行方を左右する重要な要素となりそうだ。
⇒ 詳しくは内閣府のWEBサイトへ


