2026年7月27日
労務・人事ニュース
三重県の令和8年5月有効求人倍率1.20倍、新規求職者4.7%減で選ばれる求人づくり
令和8年5月の三重県有効求人倍率1.20倍が示す雇用情勢
令和8年6月30日、三重労働局は令和8年5月内容の三重県の一般職業紹介状況を公表しました。県内の雇用情勢については、改善の兆しがみられるものの、物価上昇や中東情勢などが雇用に与える影響に注意する必要があるとされています。令和8年5月の有効求人倍率は季節調整値で1.20倍となり、前月を0.03ポイント上回りました。全国の有効求人倍率は1.17倍で、三重県は全国を0.03ポイント上回り、全国順位は22位となっています。就業地別の有効求人倍率は1.40倍で、前月を0.04ポイント上回り、全国順位は12位でした。受理地別では1.20倍、就業地別では1.40倍という差があるため、県内で実際に働く人材への需要は、受理地別の数字以上に強いと見ることができます。中小企業の採用担当者は、この1.20倍という数字を「求人が求職を上回っている」という表面的な理解で終わらせず、勤務地、職種、雇用形態ごとの採用難易度を見ながら、求人の出し方と応募者対応を具体的に見直す必要があります。
令和8年5月の有効求人数は季節調整値で29,522人となり、前月に比べて578人、2.0%増加しました。一方、有効求職者数は24,564人で、前月より159人、0.6%減少しています。求人が増え、求職者が減ったことで、有効求人倍率は前月より上昇しました。求人倍率が上がる局面では、企業側にとって応募者との接点づくりが難しくなりやすく、特に知名度や採用予算で大企業に劣りやすい中小企業は、求人票の内容が採用結果に直結します。求職者は、給与や休日だけでなく、仕事内容、勤務時間、通勤のしやすさ、職場の雰囲気、教育体制、入社後の役割を比較しながら応募先を選びます。求人票に情報が少ない企業は、実際には働きやすい職場であっても、応募前の比較段階で候補から外れてしまう可能性があります。
新規求人倍率は季節調整値で2.07倍となり、前月を0.11ポイント上回りました。新規求人数は10,644人で前月比3.5%増、新規求職申込件数は5,131件で2.2%減となっています。新たに出された求人が増え、新たに仕事を探し始めた人が減ったため、新規求人倍率が上昇しました。就業地別の新規求人倍率も2.39倍となり、前月より0.16ポイント上昇しています。これは、直近で採用を始める企業同士の競争が強まっていることを示します。中小企業では、応募が入ってから初回連絡までに時間がかかる、面接日程の候補が少ない、選考結果の連絡が遅いといった対応が、候補者の辞退につながりやすくなります。求人を出す前に、誰が応募者へ連絡するのか、面接日程をどの範囲で調整するのか、選考結果をいつまでに伝えるのかを決めておくことが重要です。
原数値で見ると、令和8年5月の新規求人数は9,398人で、前年同月より3人減少し、2か月連続の減少となりました。減少率はほぼ横ばいに近い0.03%ですが、求人の勢いが強く拡大しているわけではありません。産業別では、18業種中9業種で増加し、9業種で減少しました。卸売業・小売業は1,046人で前年同月比15.2%増、教育・学習支援業は146人で15.9%増、医療・福祉は2,520人で6.8%増、サービス業は1,534人で3.1%増となっています。一方、建設業は807人で5.8%減、製造業は1,228人で1.5%減、運輸業・郵便業は505人で4.0%減、学術研究・専門・技術サービス業は137人で14.9%減、宿泊業・飲食サービス業は576人で11.5%減、生活関連サービス業・娯楽業は252人で17.4%減となりました。採用担当者は、県全体の倍率だけでなく、自社が属する業界の求人増減を確認し、採用競争が強まる分野なのか、求職者が慎重に比較する分野なのかを見極める必要があります。
製造業は三重県の雇用を考えるうえで重要な分野ですが、令和8年5月の新規求人数は前年同月比1.5%減となりました。ただし、内訳を見ると、はん用機械器具製造業は99人で110.6%増、業務用機械器具製造業は36人で71.4%増、電子部品・デバイス・電子回路は40人で344.4%増となる一方、食料品は186人で22.2%減、プラスチック製品は95人で27.5%減、輸送用機械器具は82人で28.1%減となっています。同じ製造業でも、分野によって求人の出方は大きく異なります。中小製造業が採用を進める場合、「工場作業」や「製造スタッフ」といった表現だけでは、応募者に仕事の実態が伝わりません。扱う製品、担当工程、機械操作の有無、必要な資格、未経験者への教育、安全対策、交替勤務や残業の実態を具体的に示すことで、求職者は入社後の働き方を想像しやすくなります。
医療・福祉は新規求人数が2,520人で、主要産業の中でも大きな規模を持っています。医療業は830人で前年同月と同水準、社会保険・社会福祉・介護事業は1,678人で10.1%増となりました。介護、福祉、医療関連の採用では、資格の有無だけでなく、夜勤の有無、勤務体制、利用者や患者への対応内容、教育担当者、資格取得支援、身体的負担への配慮が応募判断に直結します。人手不足が続く分野では、求人票に「未経験歓迎」「資格者優遇」と書くだけでは不十分です。入職後にどの業務から始めるのか、誰に相談できるのか、研修期間はどの程度か、シフトはどのように決まるのかを具体的に示すことで、未経験者やブランクのある人も応募を検討しやすくなります。
求職者側の動きを見ると、令和8年5月の新規求職申込件数は4,972件で、前年同月より245件、4.7%減少し、6か月ぶりの減少となりました。有効求職者数も26,065人で、前年同月より819人、3.0%減少し、2か月連続で減っています。新規常用求職者は4,963人で前年同月比4.6%減となり、在職者は1,150人で9.5%減、無業者は517人で5.5%減、離職者は3,296人で2.6%減でした。一方、離職者のうち事業主都合離職者は800人で5.4%増となり、3か月連続で増加しています。自己都合離職者は2,224人で5.0%減、定年退職者は203人で横ばいでした。採用担当者は、求職者数が減っている中で、在職中の転職希望者や離職者にどう情報を届けるかを考える必要があります。在職者は現在の職場と比較して応募先を選ぶため、給与だけでなく、残業、休日、通勤、職場の雰囲気、仕事の裁量、将来の役割を具体的に伝えることが欠かせません。
安定所別の有効求人倍率を見ると、令和8年5月は桑名、四日市、鈴鹿、松阪、伊賀、熊野の6所で前年同月を上回りました。一方で、桑名、鈴鹿、伊賀は1倍を下回っています。県全体では1.20倍ですが、地域によって採用環境は異なります。四日市や津、松阪、尾鷲、熊野などと、桑名、鈴鹿、伊賀では、求人と求職者のバランスや通勤圏、産業構造が異なります。中小企業は県全体の平均だけで採用計画を立てるのではなく、勤務地に近い地域の状況を確認することが大切です。車通勤の可否、駐車場の有無、通勤手当、勤務開始時間、転勤の有無、家庭との両立のしやすさなどは、地域採用では特に重要な情報になります。こうした内容を求人票に明記することで、応募者は自分が働けるかどうかを判断しやすくなります。
正社員の求人・求職状況では、令和8年5月の正社員有効求人数が13,681人となり、前年同月より324人、2.4%増加しました。正社員有効求職者数は13,965人で、前年同月より310人、2.2%減少しています。その結果、正社員有効求人倍率は0.98倍となり、前年同月を0.04ポイント上回りました。全国の正社員有効求人倍率は0.94倍であり、三重県は全国を上回っていますが、1倍にはわずかに届いていません。正社員求人では、求職者が求人を慎重に比較しやすくなります。中小企業が正社員を募集する場合、「正社員募集」「未経験可」といった短い表現だけでなく、入社後に任せる仕事、研修期間、昇給や賞与の考え方、休日、残業時間、転勤の有無、評価制度を丁寧に示すことが必要です。正社員という安定性に加えて、働き続けるイメージを持てる情報が応募を後押しします。
令和8年5月の三重県の雇用情勢から、中小企業の採用担当者が取るべき方向性は明確です。有効求人倍率1.20倍は求人が求職を上回る状態を示し、就業地別では1.40倍とさらに高い水準です。新規求人倍率も2.07倍で、直近の採用競争は続いています。一方で、新規求人数は前年同月比でわずかに減少し、新規求職申込件数も4.7%減っています。採用市場に新しく動き出す人材が限られる中では、求人票の情報を具体化し、応募後の対応を速くすることが採用成功の基本になります。必須条件と歓迎条件を分け、未経験者を育成できる業務、短時間勤務でも任せられる業務、シニア人材やブランクのある人が活躍できる業務を切り分ければ、応募の入口は広がります。採用競争が続く中で、求人募集を効果的に行うには、求人情報の発信に加えて応募者対応や採用管理の仕組みづくりも欠かせません。求人募集や採用サイト(ATS)の活用をお考えの企業様は、当社までお気軽にご相談ください。
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