2026年7月31日
労務・人事ニュース
2026年6月中国地域景気調査で採用意欲63%維持、人手不足が続く求人市場と企業採用戦略を徹底解説
景気ウォッチャー調査(令和8年6月調査)― 中国(現状)―(内閣府)
令和8年6月に実施された中国地域の景気ウォッチャー調査では、宿泊業や一部の小売業、自動車関連製造業などで改善の動きが確認される一方、物価上昇や中東情勢の影響、消費者の節約志向などが地域経済全体に影響を与えており、業種ごとに景況感の差が広がる結果となりました。個人消費には回復の兆しも見られるものの、価格上昇による生活防衛意識の高まりが続いており、多くの企業が先行きに慎重な姿勢を示しています。
宿泊業では明るい材料がみられました。都市型ホテルでは、6月の宿泊予約が3か月前の時点では前年を約2%下回る見込みだったものの、当月には前年を約5%上回るまで改善しました。さらに飲食部門も前年より約3%増加しており、旅行需要の持ち直しがホテル全体の業績を押し上げています。旅行や出張需要が回復傾向にあることは、地域経済にも好影響を与える動きとして注目されています。
百貨店では富裕層を中心とした高額商品の販売が堅調でした。数百万円クラスのジュエリーや高級ブランド衣料、美術品などの販売が好調に推移し、株価上昇による資産効果が購買意欲を後押ししているとの声も聞かれています。一方で、一般消費者については価格以上の価値を重視する傾向が強まり、購入に対する慎重な姿勢は依然として続いています。そのため、高価格帯商品と一般商品の販売状況には大きな違いが生じています。
スーパーでは地域によって異なる状況がみられました。来客数や買上点数が前年を上回り、食品販売が売上を支える店舗がある一方で、加工食品の相次ぐ値上げによって販売点数が減少した店舗もあります。また、節約志向の高まりから低価格商品の購入が増え、客単価が前年を下回るケースも報告されています。物価高騰が続くなか、消費者は必要な商品を厳選しながら購入する傾向を一段と強めています。
コンビニ業界では公共工事の増加を背景に朝の来店客が増え、ベーカリーやファストフードの販売が好調な店舗がありました。一方で、主力商品であるおにぎりやパンの価格上昇により、家族連れでも必要最小限しか購入しないケースが増えています。来客数が回復しても客単価が伸びず、売上増加につながりにくい状況が続いており、物価高が日常消費へ与える影響の大きさがうかがえます。
家電販売ではエアコン需要が全体の売上を押し上げる店舗がある一方、安価な商品の販売比率が高くなったことで売上全体の伸びは限定的となっています。また、気温の変化によって販売動向が左右されるなど、季節要因による影響もみられました。テレビや冷蔵庫、洗濯機などの大型家電は比較的安定した販売を維持しているものの、消費者は価格を重視した商品選びを進めています。
自動車販売では生産制限が徐々に解除され、新車販売が回復している販売店もあります。これまで受注制限が続いていた車種の販売促進が進み、生産台数の増加に伴って販売台数も改善しています。しかし一方では、来客数が横ばいのまま販売が低迷する店舗や、販売台数が前年の85%まで落ち込む店舗もあり、地域やメーカーによって回復状況には大きな差が生じています。
飲食業界では低価格帯メニューへの需要が高まっています。価格改定を実施していないランチセットでは来客数が前年の約130%まで増加し、平日の利用者増加が売上を支えています。一方で、週末はファミリー層の来店が減少し、ディナー利用も低迷しています。消費者が外食費を抑える傾向は続いており、価格設定やメニュー構成が店舗運営を左右する重要な要素となっています。
旅行業界では国内旅行と海外旅行で明暗が分かれました。中東情勢や円安、物価高の影響から海外旅行需要は十分に回復していません。一方で、国内旅行では個人旅行の取扱額は増加していますが、利用人数は前年の約90%にとどまっています。その一方で団体旅行は前年比110%で推移しており、学校行事や企業団体による需要が地域経済を支える要因となっています。
住宅市場では建築費や金利の上昇が住宅購入を検討する人の判断を難しくしています。建築価格の高騰によって予算内で住宅を取得することが難しくなり、購入をためらうケースが増加しています。また、販売価格と購入希望価格の差が広がっており、住宅会社からは今後さらに金利が上昇すれば中小企業の経営にも影響が及ぶ可能性があるとの声が挙がっています。
企業活動では自動車関連産業に前向きな動きが見られました。輸送用機械器具製造業では新型車の立ち上がりにより生産が忙しくなっており、金属製品製造業でも自動車業界からの受注増加を受け、人材採用を進めながら製造部門への応援体制を整えるなど、生産能力の確保に取り組んでいます。企業の生産活動や輸出にも持ち直しの動きが確認されており、一部の製造業では回復基調が続いています。
一方で、製造業全体では中東情勢の影響が依然として懸念されています。資材価格の高騰や納期の遅延、原材料費の上昇などが企業経営へ影響を及ぼしており、価格転嫁が難しい企業では利益確保が課題となっています。また、AI関連の半導体需要は拡大しているものの、電子部品や車載関連では生産調整が続いており、業界全体では横ばいの状況が続いています。
通信やICT分野でも設備資材価格の上昇や納期遅延が発生しています。ICT関連機器の価格上昇によって顧客の購入意欲が低下し、販売数量の減少につながる事例も報告されています。資材不足によって案件の実施時期が翌年度へ延期されるケースもあり、設備投資を進める企業にとっては慎重な判断が求められています。
雇用情勢では、人手不足を背景に企業の採用意欲は高い水準を維持しています。求人情報会社によると、2027年卒の採用予定数は前年並みとする企業が63%、採用数を増やす企業は23%となっており、多くの企業が人材確保を重要な経営課題として位置付けています。さらに2028年卒についても、少子化による学生数の減少や技術職、IT人材不足などを背景に、大幅な採用削減ではなく必要な人材を確保する方向性が示されています。
中国地域では自動車、鉄鋼、造船、機械、電機といった製造業が集積していることから、若年人材の確保競争が一段と激しくなっています。高卒求人倍率も過去最高水準となっており、企業は採用活動の強化を続けています。一方で、慢性的な人手不足が続く医療、福祉、運輸、建設分野では、新規求人数は前年より減少傾向にあるものの、人材不足感そのものは依然として解消されていません。企業は待遇改善や採用手法の見直しを進めながら人材確保に取り組んでいます。
人材紹介業界では、若年層からの応募が増える動きがみられる一方で、全体の応募数は前年比75%にとどまっています。また、経験者向け求人が多く、未経験者や高齢者が応募できる求人は少ない状況が続いています。企業側は採用意欲を維持していますが、求める人材像とのミスマッチが課題となっており、求人市場では量だけでなく質の確保が重要なテーマとなっています。
職業安定所では、物価高騰などのマイナス要因があるなかでも企業の求人件数は一定水準を維持しているとの見方が示されています。また、人材不足を背景に地元出身者だけでなくIJターン人材の採用を積極的に進める企業も増えています。しかし地方では車通勤や業務上の運転が前提となる職場も多く、移住希望者との条件が一致しないケースも少なくありません。採用活動では求人票だけでなく、地域で働く環境や生活支援まで含めた情報発信が今後さらに重要になると考えられます。
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