2026年7月30日
労務・人事ニュース
令和8年6月北関東景気調査、宿泊需要150%でも新規求人数は前年割れとなった採用市場の最新動向
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最終更新: 2026年7月29日 15:41
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景気ウォッチャー調査(令和8年6月調査)― 北関東(現状)―(内閣府)
令和8年6月に実施された北関東地域の景気ウォッチャー調査では、地域経済は一部の業種で持ち直しの動きがみられる一方、物価上昇や資材価格の高騰、中東情勢の影響による仕入れコストの上昇などが企業活動や消費行動に影響を及ぼしており、景気回復の足取りは依然として力強さを欠く状況となっています。観光や宿泊関連では改善の兆しがみられる分野もありますが、小売業や住宅関連、飲食業では消費者の節約志向が根強く残り、業種ごとの景況感には大きな差が表れています。
家計関連では、家電販売や宿泊業などで比較的明るい話題がみられました。家電量販店ではエアコン販売が前年同期比110%と好調に推移しており、新たな省エネ基準への対応を見据えて早めに購入する消費者が増えています。また、都市型ホテルでは宿泊部門が前年同期比150%と大きく伸びるなど、宿泊需要の回復が売上を押し上げています。タクシー業界でも昼間の利用が増えたことで前年同月比11%の増収となった事業者があり、一部では人の動きが改善している様子もうかがえます。
旅行業界では、3月の大幅な落ち込みと比較すると販売は改善していますが、前年と比較すると依然として厳しい状況です。物価高に消費者が徐々に慣れてきたとの見方もある一方で、例年この時期に多くみられるインバウンド団体客は減少しており、観光需要の回復には地域差が生じています。観光型ホテルでも特色のある施設は好調を維持している一方、従来型の施設では宿泊客数が横ばいとなるなど、集客力の違いが経営状況に反映されています。
一方で、小売業を取り巻く環境は引き続き厳しい状況です。米価格が落ち着いたことを歓迎する声はあるものの、それ以外の商品では値上がりが続いており、消費者はタイムセールや価格の安い店舗を選ぶ傾向を強めています。スーパーでは物価高騰によって来店客数や買上点数が減少し、コンビニでも節約志向の高まりから来店頻度が低下しています。観光客による需要が見込める駅周辺では一定の人出があるものの、地域住民による日常消費は慎重さが続いています。
土産物店では、これまで売上を支えてきたインバウンド需要にも変化がみられました。前年を基準とした売上達成率が約1年3か月ぶりに100%を下回り、3か月前と比べても約2割低下しています。特に訪日外国人旅行者による高額商品の購入が減少しており、国内観光客の購買力も依然として弱い状況が続いています。消費マインドの回復には時間を要するとの見方が広がっています。
飲食業でも厳しい状況が続いています。ゴールデンウィーク後の消費の落ち込みに加え、梅雨や台風による悪天候の影響から来店客数が減少しています。予約客は一定数確保できているものの、飛び込み客は伸び悩み、夜間の利用も低調です。ボーナス支給後の一時的な回復はみられたものの、それ以外の期間では集客が弱く、飲食店経営者からは厳しい状況が続いているとの声が聞かれています。
住宅関連では、建築資材価格の高止まりが依然として大きな課題となっています。住宅管理やリフォーム業界では、資材価格の上昇によって見積額が顧客の想定を大きく上回り、工事の延期や見送りにつながるケースが増えています。住宅販売会社からも問い合わせ件数が少なく、地域では飲食店の閉店や企業移転が増加しているとの報告があり、不動産市場全体でも慎重な動きが続いています。
また、中東情勢による影響は幅広い業種へ波及しています。包装資材や輸入品の供給が不安定となり、通信業では仕入価格の上昇や納期遅延が新規契約の営業活動にも影響を及ぼしています。設計事務所でも資材供給の遅れから工事の進行に支障が生じており、住宅販売会社では今後さらにコスト増加が進む可能性を懸念しています。価格転嫁が難しい業種では利益確保が一段と厳しくなっています。
企業活動では、業種ごとの違いがより鮮明になっています。輸送業では省エネ家電需要を背景にエアコンや冷蔵庫などの物流量が前年より約2割増加している一方で、燃料価格やエンジンオイル不足などの影響から輸送コストも上昇しています。受注量は維持しているものの、利益確保が難しい状況が続いています。金融機関からも、受注自体は確保できているものの、仕入価格上昇分を販売価格へ十分に転嫁できず利益率が低下しているとの指摘があります。
製造業では、全体として受注量は横ばいから減少傾向となっています。一般機械や金属製品関連では低位安定の状態が続いており、電気機械器具製造業では今後3か月の受注が通常月の約3分の1まで減少する見込みとの声もありました。輸送用機械器具製造業でも受注や販売量の減少が報告されており、先行きへの警戒感が高まっています。一方で、一部の下請企業では原材料価格の上昇がやや落ち着き、受注改善への期待もみられるなど、企業によって状況は異なっています。
広告業界では、新年度から3か月間の広告出稿件数と請負額がともに15%減少しており、特に飲食店からの広告出稿が落ち込んでいます。企業の販促活動にも慎重姿勢が広がっており、景気回復への期待感は限定的となっています。不動産業でも資材費や燃料費の上昇が賃料改定を上回り、利益確保が難しい状況が続いています。
雇用情勢では、人材不足への対応が企業ごとの課題となっています。人材派遣会社ではコールセンター向け派遣需要が増え、採用者数はやや改善しています。一方、新規求職者では50代以上の登録者割合が増えており、企業が求める人材像との間にミスマッチが生じています。採用活動そのものは継続されていますが、企業が必要とする人材を確保する難しさは依然として続いています。
求人市場では、新規求人数が前年同月比で4か月ぶりに減少しましたが、減少幅は10%未満にとどまり、おおむね横ばい圏との見方が示されています。専門学校でも求人の動きは業種による差はあるものの、全体として大きな変化はみられません。一方、人材派遣会社からは、外国人材の採用を進めることで人手不足への対応を図る企業が増えているとの報告もあり、人材確保の方法は多様化しています。
今回の調査では、有効求人倍率に関する大きな変動は示されていないものの、企業の採用姿勢は慎重さを維持しながらも必要な人材の確保を継続していることがうかがえます。販売現場や製造現場では人手不足が続いている一方、求職者とのミスマッチや物価高による企業収益の圧迫が採用計画にも影響を与えています。今後は物価動向や資材供給の改善に加え、観光需要や設備投資の回復が雇用環境にもどのような変化をもたらすかが重要なポイントとなりそうです。
景気全体をみると、宿泊業や家電販売など一部では明るい材料がみられる一方、消費者の節約志向やコスト上昇、中東情勢による供給不安などが地域経済の回復を抑える要因となっています。企業は利益確保と人材確保を同時に進める難しい経営判断を迫られており、採用戦略や価格転嫁、業務効率化などを含めた総合的な対応がこれまで以上に求められる状況となっています。
⇒ 詳しくは内閣府のWEBサイトへ


