2026年5月24日
労務・人事ニュース
2026年3月速報 金融業・保険業の現金給与524,784円が全産業トップ、調査産業計317,254円との差から見える採用競争
毎月勤労統計調査 2026(令和8)年3月分結果速報 月間現金給与額(厚労省)
2026年3月分の毎月勤労統計調査の速報値がまとまり、全国の賃金動向や産業別の給与水準、就業形態ごとの給与の変化が明らかになりました。今回公表された調査は、事業所規模5人以上を対象としたもので、現金給与総額や所定内給与、所定外給与、特別に支払われた給与の動向が集計されています。物価動向や人材確保競争が続くなか、企業の賃金改定や採用戦略にも影響を与える基礎データとして注目されています。
就業形態計で見た調査産業計の現金給与総額は317,254円となりました。前年同月と比べると2.7%増加しています。きまって支給する給与は291,517円で前年比3.0%増、所定内給与は271,313円で3.2%増、所定外給与は20,204円で1.9%増となりました。一方で、特別に支払われた給与は25,737円となり、前年同月比では1.5%減少しました。基本給や定例給与が増加する一方、特別給与では前年を下回る結果となっています。
産業別に現金給与総額を見ると、最も高かったのは金融業、保険業の524,784円でした。前年同月比では7.6%増となっています。きまって支給する給与は446,543円で8.8%増、所定内給与は418,594円で8.7%増、所定外給与は27,949円で11.2%増となりました。特別に支払われた給与は78,241円で1.0%増となり、主要産業のなかでも高い給与水準が維持される結果となりました。
次いで高い水準となったのは電気・ガス業の508,974円でした。前年比では1.7%増となっています。きまって支給する給与は494,206円、所定内給与は431,181円、所定外給与は63,025円となり、それぞれ前年を上回りました。一方で、特別に支払われた給与は14,768円となり、前年同月比では12.6%減少しています。
情報通信業の現金給与総額は484,291円となりました。前年同月比では4.0%増となっています。きまって支給する給与は444,548円で6.6%増、所定内給与は407,164円で6.9%増、所定外給与は37,384円で4.6%増となりました。一方で、特別給与は39,743円となり、前年同月比では18.2%減少しました。基本給与の伸びが続く一方、特別給与は前年を下回る結果となりました。
学術研究等の現金給与総額は489,246円で、前年比5.4%増となりました。きまって支給する給与は418,982円、所定内給与は387,460円、所定外給与は31,522円となり、いずれも前年を上回っています。特別に支払われた給与は70,264円となり、前年同月比では21.5%増となりました。主要産業のなかでも特別給与の伸びが目立つ結果となっています。
建設業の現金給与総額は442,723円となり、前年同月比では9.6%増となりました。今回公表された産業別のなかでも高い伸び率となっています。きまって支給する給与は381,493円で6.1%増、所定内給与は354,678円で6.9%増となりました。特別に支払われた給与は61,230円で39.1%増となっており、今回の主要産業のなかでも大幅な増加が確認されています。
製造業の現金給与総額は364,337円となりました。前年同月比では2.9%増となっています。きまって支給する給与は340,691円で3.4%増、所定内給与は308,014円で3.5%増、所定外給与は32,677円で4.7%増となりました。一方で、特別給与は23,646円となり、前年同月比では5.3%減少しました。製造業では定例給与の上昇が続く一方、賞与などの特別給与は前年を下回る結果となっています。
運輸業、郵便業の現金給与総額は330,937円となり、前年比では2.9%増となりました。きまって支給する給与は317,143円で2.4%増、所定外給与は41,373円で2.8%増となっています。特別給与は13,794円となり、前年同月比では19.0%増となりました。物流を支える産業でも給与水準の上昇が確認されています。
卸売業、小売業の現金給与総額は279,193円となり、前年比では2.4%増でした。医療、福祉は290,180円で1.0%増となっています。医療、福祉のきまって支給する給与は269,852円、所定内給与は255,975円、所定外給与は13,877円となりました。医療・介護分野でも基本給与の上昇が続く結果となっています。
一方で、飲食サービス業等では現金給与総額が132,719円となり、前年同月比では7.4%減少しました。きまって支給する給与は128,635円で3.0%減、所定内給与は121,806円で2.4%減、所定外給与は6,829円で11.4%減となっています。特別給与は4,084円となり、前年同月比では61.8%減となりました。今回の主要産業のなかでは、減少幅が大きい結果となっています。
一般労働者で見ると、調査産業計の現金給与総額は413,495円となりました。前年同月比では3.3%増となっています。きまって支給する給与は376,787円で3.7%増、所定内給与は348,563円で3.7%増、所定外給与は28,224円で2.7%増となりました。特別に支払われた給与は36,708円で、前年同月比では0.4%減となっています。
一般労働者の産業別で最も高かったのは金融業、保険業の572,083円でした。次いで学術研究等が531,081円、電気・ガス業が522,368円、情報通信業が500,105円となりました。建設業も461,033円となり、高い水準を維持しています。製造業は397,728円、医療、福祉は371,883円となりました。
パートタイム労働者の調査産業計では、現金給与総額が112,621円となりました。前年同月比では1.4%増となっています。きまって支給する給与は110,212円で1.9%増、所定内給与は107,061円で2.0%増となりました。一方で、所定外給与は3,151円で1.4%減、特別給与は2,409円で14.9%減となっています。
パートタイム労働者の産業別では、電気・ガス業が170,909円で最も高く、複合サービス事業が163,849円、情報通信業が160,408円、学術研究等が151,569円、金融業、保険業が150,916円となりました。製造業は141,710円、医療、福祉は134,273円となっており、産業ごとの水準差も鮮明となっています。
事業所規模30人以上で見ると、就業形態計の現金給与総額は358,095円となり、前年同月比では3.2%増となりました。一般労働者は438,557円で3.3%増、パートタイム労働者は125,758円で2.4%増となっています。大規模事業所では、全体として5人以上規模を上回る給与水準が確認されました。
2026年3月の今回の速報値では、調査産業計の現金給与総額317,254円、一般労働者413,495円、パートタイム労働者112,621円という結果となりました。産業別では金融業、保険業の524,784円が最も高く、飲食サービス業等の132,719円が最も低い水準となっています。賃上げの広がりが数字として表れる一方、業種間の給与差も依然として大きく、企業の採用競争力や人材定着戦略に直結する重要な指標となりそうです。
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ


