2026年5月24日
労務・人事ニュース
2026年3月速報 労働者総数51,445千人とパート比率31.95%が示した最新雇用市場と企業採用戦略の変化とは
毎月勤労統計調査 2026(令和8)年3月分結果速報 常用雇用及び労働異動率(厚労省)
2026年3月分の毎月勤労統計調査の速報値がまとまり、全国の常用雇用者数やパートタイム労働者比率、さらに入職率と離職率の最新動向が明らかになりました。今回公表されたのは、事業所規模5人以上を対象とした常用雇用及び労働異動率の集計結果で、企業の人材確保状況や雇用の流動性を読み解くうえで重要な指標となります。人手不足が続くなか、採用活動の強化や定着施策の見直しが求められる企業にとって、業種別の人材動向を把握する基礎データとして注目されています。
調査産業計の就業形態計で見ると、2026年3月の労働者総数は51,445千人となりました。前年同月と比べると1.1%増となっており、雇用規模全体では拡大傾向が続いています。パートタイム労働者比率は31.95%となり、前年同月差では0.44ポイント上昇しました。全体の約3人に1人がパートタイム労働者という構成となり、企業の人材構成において短時間勤務層の存在感がさらに高まっていることが数字として示されています。
同じく調査産業計の入職率は1.68%となりました。前年同月差では0.13ポイント低下しています。一方で離職率は2.22%となり、前年同月差では0.02ポイント上昇しました。入職率が低下し、離職率が上昇する結果となったことで、全体としては人材の純増ペースがやや鈍化する動きが見られます。採用市場が活発な一方で、人材定着の重要性がさらに高まる結果となりました。
産業別に労働者総数を見ると、最も多かったのは卸売業、小売業の9,383千人でした。前年同月比では0.3%増となっています。パートタイム労働者比率は45.98%となり、前年差では0.47ポイント上昇しました。入職率は1.95%、離職率は2.22%となっており、離職率は前年同月差で0.16ポイント上昇しています。流通分野では大規模な雇用を維持しながら、人材の入れ替わりも継続している状況がうかがえます。
医療、福祉の労働者総数は8,415千人となりました。前年同月比では1.8%増となっています。パートタイム労働者比率は34.53%で、前年差では1.51ポイント上昇しました。入職率は1.43%で0.08ポイント低下し、離職率は1.99%で0.07ポイント低下しています。雇用規模の拡大と離職率の低下が同時に確認され、安定した人材確保が進んでいることを示す結果となりました。
製造業の労働者総数は7,633千人となりました。前年同月比では0.3%増となっています。パートタイム労働者比率は13.04%で、前年差では0.18ポイント低下しました。入職率は0.82%、離職率は0.99%となり、いずれも前年を下回っています。製造業は他業種と比べても離職率が低い水準にあり、雇用の安定性が比較的高いことが数字として表れています。
飲食サービス業等の労働者総数は4,587千人となりました。前年同月比では3.9%増となり、主要産業のなかでも高い伸び率となっています。パートタイム労働者比率は78.90%で、前年差では0.66ポイント上昇しました。全産業のなかでも最も高い比率となっており、人材構成の中心が短時間勤務層であることが改めて明確になりました。入職率は4.05%、離職率は5.01%となり、いずれも全産業のなかで高い水準にあります。人材の流動性が極めて高い業種であることが今回も確認されました。
その他のサービス業の労働者総数は4,766千人となりました。前年同月比では0.9%増となっています。パートタイム労働者比率は30.14%で、前年差では0.49ポイント低下しました。入職率は2.37%、離職率は2.69%となっており、離職率は前年同月差で0.16ポイント上昇しています。サービス分野でも人材の流出入が活発な状況が続いています。
建設業の労働者総数は2,604千人となりました。前年同月比では2.4%増となっています。パートタイム労働者比率は5.48%と低い水準を維持しました。入職率は0.95%で前年同月差0.08ポイント低下、離職率は1.12%で0.06ポイント低下しています。フルタイム人材を中心とした雇用構造が続くなか、比較的安定した労働移動が見られます。
情報通信業の労働者総数は1,863千人となりました。前年同月比では0.6%増となっています。パートタイム労働者比率は4.67%で、前年差では0.42ポイント低下しました。入職率は0.87%、離職率は1.31%となり、いずれも前年を下回っています。専門性の高い人材が中心となる業種らしく、パートタイム比率の低さと安定した雇用構造が確認されました。
金融業、保険業の労働者総数は1,304千人となりました。前年同月比では0.7%減となっています。パートタイム労働者比率は10.83%で前年差0.09ポイント上昇しました。入職率は1.25%となり前年同月差0.04ポイント低下しています。一方で離職率は2.62%となり、前年差では1.05ポイント上昇しました。今回の主要産業のなかでも離職率の上昇幅が目立つ結果となっています。
一般労働者全体では、労働者総数は35,008千人となりました。前年同月比では0.6%増となっています。入職率は1.07%で前年同月差0.13ポイント低下し、離職率は1.50%で0.05ポイント低下しました。フルタイム人材については、採用と離職の双方が落ち着いた動きとなっています。
パートタイム労働者全体では、労働者総数が16,437千人となりました。前年同月比では2.7%増となり、一般労働者を上回る伸びとなっています。入職率は2.99%で前年同月差0.14ポイント低下しました。一方で離職率は3.75%となり、前年差では0.14ポイント上昇しています。短時間勤務層では採用が続く一方、離職も増加する傾向が見られました。
パートタイム労働者の産業別では、飲食サービス業等が3,619千人で最も多く、前年同月比では4.8%増となっています。医療、福祉は2,905千人で6.5%増、卸売業、小売業は4,315千人で1.3%増となりました。パートタイム人材の需要は生活関連産業を中心に拡大が続いています。
事業所規模30人以上の調査産業計では、労働者総数が31,068千人となりました。前年同月比では0.8%増となっています。パートタイム労働者比率は25.66%で前年差0.12ポイント上昇しました。入職率は1.45%で0.04ポイント低下し、離職率は2.12%で0.02ポイント低下しています。規模の大きい事業所では、全体よりもやや安定した雇用環境が続いていることがうかがえます。
2026年3月の今回の速報値では、労働者総数51,445千人、パートタイム労働者比率31.95%、入職率1.68%、離職率2.22%という結果となりました。飲食サービス業等のパート比率78.90%、卸売業、小売業の労働者総数9,383千人、医療、福祉の8,415千人など、業種ごとの雇用構造の違いもより鮮明となっています。採用難が続くなか、企業が人材を確保し、長く働いてもらうためには、賃金だけでなく雇用形態の設計や定着施策の強化が今後さらに重要になりそうです。
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ


