2026年5月24日
労務・人事ニュース
2026年3月速報で所定内給与110.8へ3.2%上昇、基本給アップが採用市場に与える影響を数字から徹底分析
毎月勤労統計調査 2026(令和8)年3月分結果速報 賃金指数(厚労省)
2026年3月分の毎月勤労統計調査の速報値がまとまり、賃金の動きを示す最新の賃金指数が公表されました。今回明らかになったのは、事業所規模5人以上を対象とした現金給与総額や、きまって支給する給与、所定内給与などの指数で、2020年平均を100とした時系列データとして集計されています。物価上昇が続くなかで、名目賃金の伸びがどこまで実質賃金の改善につながっているのか、企業の賃金戦略や人材確保に大きな影響を与える重要な内容となっています。
調査産業計の現金給与総額指数は、2026年3月速報で99.7となりました。前年同月比では2.7%上昇し、前月2月の3.4%増に続いて賃金の上昇傾向が維持されています。一方で実質前年比は1.0%増となり、2025年3月のマイナス1.8%からプラスへ転じました。名目賃金だけでなく、物価変動を加味した実質賃金でも前年を上回ったことは、雇用市場における賃金改善の動きが数字として確認された形です。
一般労働者の現金給与総額指数は99.1となりました。前年同月比では3.3%上昇し、実質前年比は1.7%増となっています。2025年3月の前年同月比2.9%増からさらに伸びが拡大しており、フルタイム労働者を中心とした賃金上昇が続いていることがわかります。実質ベースでも前年のマイナス1.3%から大きく改善しており、実収入の改善が進んでいます。
パートタイム労働者の現金給与総額指数は113.3となりました。前年同月比では1.4%上昇しましたが、実質前年比はマイナス0.2%となりました。2026年1月には実質0.5%増、2月には0.2%増でしたが、3月はわずかにマイナスへ転じています。名目賃金は増加している一方で、物価上昇の影響が依然として残っていることが数字から読み取れます。
事業所規模30人以上の現金給与総額指数は98.1となりました。前年同月比では3.2%上昇し、実質前年比でも1.5%増となっています。前月2月の4.2%増と比較すると伸び率はやや鈍化したものの、実質ベースではプラス圏を維持しました。規模の大きい事業所においても賃上げの流れが継続していることが確認されています。
きまって支給する給与の動きを見ると、調査産業計の指数は111.1となりました。前年同月比では3.0%上昇し、実質前年比でも1.4%増となっています。2025年3月には前年比1.4%増、実質マイナス2.8%でしたが、2026年3月は名目、実質ともに改善しました。毎月安定的に支払われる給与の伸びが、実際の家計所得にも反映され始めていることがうかがえます。
一般労働者のきまって支給する給与指数は111.7となり、前年同月比では3.7%上昇しました。実質前年比も2.1%増となっています。前年同月の1.9%増から伸びが拡大しており、継続的な賃上げの動きが明確になっています。企業の人材確保競争のなかで、固定給の引き上げが進んでいることを示す結果となりました。
パートタイム労働者のきまって支給する給与指数は114.3となりました。前年同月比では1.9%上昇し、実質前年比は0.3%増となっています。前月2月の0.2%増からわずかに改善しており、短時間勤務層でも実質ベースで賃金の持ち直しが続いています。
所定内給与の指数を見ると、調査産業計では110.8となりました。前年同月比では3.2%上昇しています。2025年3月の1.4%増と比べると、伸び率は大きく拡大しました。基本給にあたる所定内給与の上昇は、一時金ではなく恒常的な賃金改善が進んでいることを示す重要な材料となります。
一般労働者の所定内給与指数は111.2となり、前年同月比では3.7%上昇しました。前月2月の3.8%増とほぼ同水準を維持しています。継続的なベースアップの流れが統計にも反映されている形です。企業の採用競争力を左右する固定給の改善が、2026年春時点でも続いていることが確認されました。
産業別の現金給与総額指数にも注目が集まっています。製造業の2026年3月速報値は、前年同月比2.9%上昇となりました。2025年3月は4.5%増でしたが、引き続き高い水準の伸びを維持しています。製造業では2022年に1.7%増、2023年に1.7%増、2024年に3.0%増、2025年に4.2%増と、継続的な賃金上昇が続いており、2026年もその流れが維持されました。
卸売業、小売業の現金給与総額指数は前年同月比2.4%上昇となりました。2025年3月は0.2%増でしたが、2026年3月は伸びが大きく拡大しています。慢性的な人材不足が続く業種のひとつとして、賃金改善の動きがより鮮明になった結果といえます。
医療、福祉の現金給与総額指数は前年同月比1.0%上昇となりました。2025年3月の3.9%増からは鈍化したものの、プラス成長は維持しています。高齢化の進行に伴い人材需要が続く分野として、安定した賃金改善が続いていることが数字から読み取れます。
2020年平均を100とした年次推移を見ると、調査産業計の現金給与総額指数は2022年の102.3から、2023年は103.5、2024年は109.2、2025年は111.7へと上昇してきました。4年間で9.4ポイント上昇しており、企業全体で賃金改善が継続してきたことが確認できます。一方で実質賃金は2022年がマイナス1.0%、2023年がマイナス2.5%、2024年がマイナス0.3%、2025年がマイナス1.3%となっており、物価上昇の影響を受け続けてきました。そのなかで2026年3月に1.0%増へ転じたことは、雇用市場にとって大きな変化といえます。
2026年3月の速報値では、現金給与総額指数99.7、一般労働者99.1、パートタイム労働者113.3、事業所規模30人以上98.1という結果になりました。きまって支給する給与は111.1、所定内給与は110.8まで上昇しており、固定給の改善が継続していることも明らかになっています。企業の採用活動では初任給や基本給の競争力がこれまで以上に重要になるなか、今回の統計は賃金戦略の見直しを迫る内容となりました。人材確保と定着を両立するためには、賞与だけでなく毎月の安定した給与水準の引き上げが、今後さらに重要な経営課題となりそうです。
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ


