2026年6月23日
労務・人事ニュース
静岡県の有効求人倍率1.06倍【2026年4月】地域別雇用情勢と採用戦略
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静岡県の有効求人倍率1.06倍【2026年4月】全国平均との差を読み解く
静岡労働局が公表した2026年4月の雇用情勢によると、静岡県の有効求人倍率は季節調整値で1.06倍となり、前月を0.02ポイント下回った。これで63か月連続して1倍台を維持しているものの、全国平均の1.18倍を0.12ポイント下回る結果となった。県内の雇用情勢については改善の動きが続いている一方で、その勢いには一段と弱さが見られるとされており、物価上昇などの経済環境が雇用に与える影響について引き続き注視する必要がある状況となっている。
今回の統計では、有効求人数は58,443人となり前月比0.4%減少した。有効求人数の減少は2か月ぶりであり、企業側の求人活動にやや慎重な姿勢が見られる。一方、有効求職者数は55,109人となり前月比1.7%増加した。求職者数の増加は3か月ぶりとなる。有効求人倍率は求人数を求職者数で割った数値であり、求人が減少し求職者が増加したことで倍率は低下した。とはいえ1.06倍という水準は依然として求人が求職を上回っている状態を示しており、完全に買い手市場へ転換したわけではない。
静岡県の有効求人倍率の推移を振り返ると、2024年度には1.11倍、2025年度には1.07倍となっており、緩やかな低下傾向が続いている。2026年4月の1.06倍という数字は、県内企業の採用意欲が維持されている一方で、景気や経営環境の変化を受けて求人の拡大ペースが鈍化していることを表していると考えられる。
地域別に見ると、県内でも雇用環境には差が見られる。東部地域の有効求人倍率は1.02倍、中部地域は1.16倍、西部地域は0.89倍となった。中部地域は県内でも比較的高い水準を維持しており、求人需要の強さがうかがえる。一方、西部地域は0.89倍と1倍を下回っている。地域によって求人数と求職者数のバランスが異なるため、採用活動を行う企業は自社の立地する地域特性を踏まえた人材戦略を考える必要がある。
さらにハローワーク別の有効求人倍率を見ると、静岡所は1.55倍、下田所は1.50倍と高い水準にある一方で、磐田所は0.62倍、浜松所は1.05倍となっている。同じ静岡県内でも人材需給には大きな差が存在しており、採用担当者は県全体の平均値だけでなく地域ごとの動向も確認することが重要になる。
新規求人の動向を見ると、2026年4月の新規求人数は20,474人で前年同月比7.0%減少した。15か月以上連続して求人が減少している地域も全国には見られるが、静岡県でも新規求人は前年水準を下回っており、企業が新たな人材採用に慎重になっている様子がうかがえる。一般求人は13,273人で前年同月比8.6%減少し、パート求人も7,201人で前年同月比3.9%減少した。
産業別に見ると状況はさらに明確になる。製造業は3,011人で前年同月比7.0%増加した。静岡県は製造業が地域経済を支える重要な産業であり、自動車関連や機械関連を中心に採用需要が続いていることがわかる。医療・福祉も5,276人で前年同月比1.1%増加した。高齢化の進展を背景に介護や医療分野では引き続き人材需要が高い状態が続いている。
宿泊業・飲食サービス業も1,244人で前年同月比8.0%増加した。観光需要の回復や人手不足の深刻化を背景に採用活動が活発化しているとみられる。一方で建設業は2,058人で6.8%減少、運輸業・郵便業は1,226人で21.9%減少、卸売業・小売業は2,222人で38.7%減少した。特に卸売業・小売業の減少幅は大きく、消費動向や経営環境の変化が採用活動にも影響している可能性がある。
新規求職者数は14,372人で前年同月比2.6%増加した。2か月連続で前年を上回っており、仕事を探す人が増えている状況が確認できる。新規常用求職者の内訳を見ると、在職者は1,858人で前年同月比3.6%減少した一方、離職者は5,462人で2.7%増加した。特に事業主都合による離職者は1,428人で5.0%増加している。これは企業の事業環境変化による人員調整の影響も一部に見られることを示唆している。
雇用保険の状況も重要な指標となる。雇用保険受給資格決定件数は4,394人で前年同月比1.6%増加した。さらに雇用保険受給者実人員数は12,271人で前年同月比9.4%増加している。失業給付を受けながら再就職活動を行う人が増えていることから、雇用市場における求職者の動きが活発化していることがわかる。
一方で事業主都合離職者数は1,961人となり、前年同月比13.0%増加した。この数値は企業経営や雇用環境の変化を示す重要な指標であり、採用担当者だけでなく経営者も注意深く見る必要がある。求職者の増加は採用機会の拡大につながる可能性があるが、その背景には企業を取り巻く経営課題も存在している。
正社員市場に目を向けると、正社員有効求人倍率は0.98倍となった。全国平均の0.95倍を上回っているが、1倍を下回っていることから、正社員採用市場では求職者と求人のバランスが比較的拮抗している状況といえる。正社員有効求人数は31,363人となり、前年同月を10か月連続で下回った。正社員求人割合は53.7%となっており、全体求人の半数以上を正社員求人が占めている。
ここで中小企業の採用担当者が特に注目すべきなのは、有効求人倍率1.06倍という数字の意味である。倍率だけを見ると以前より採用しやすくなったと考える企業もあるかもしれない。しかし実際にはそう単純ではない。求職者数は増加しているものの、企業が求める経験やスキルを持った人材が十分に増えているとは限らないからである。
中小企業が採用活動を成功させるためには、まず求人票の質を見直すことが重要になる。仕事内容や待遇だけを記載するのではなく、入社後のキャリアパスや教育制度、働き方改革への取り組み、職場環境などを具体的に伝える必要がある。求職者は複数の企業を比較して応募先を決定するため、自社の魅力をわかりやすく発信することが欠かせない。
また、有効求人倍率が1倍を超えている状況では、企業が求職者を選ぶだけではなく、求職者から選ばれる視点も必要になる。給与や福利厚生だけでなく、職場の雰囲気や成長機会、ワークライフバランスへの配慮など、総合的な魅力が採用成功を左右する時代になっている。
特に静岡県では製造業や医療・福祉分野の求人需要が堅調であるため、これらの業界では採用競争が続く可能性が高い。中小企業は即戦力人材だけを求めるのではなく、未経験者や異業種からの転職希望者を育成する視点を持つことも重要になる。教育体制を整備し、入社後に成長できる環境を提供することで採用の間口を広げることができる。
さらに定着率向上も重要な課題である。採用コストが高まる中、せっかく採用した人材が短期間で離職してしまえば企業にとって大きな損失となる。定期的な面談やキャリア支援、柔軟な働き方の導入などを進めることで、社員が長く活躍できる職場づくりを進める必要がある。
2026年4月の静岡県の有効求人倍率は1.06倍となり、前月を下回ったものの依然として求人が求職を上回る状況が続いている。求人減少や求職者増加など市場環境には変化が見られるが、人材確保の難しさが完全に解消されたわけではない。中小企業の採用担当者は数字の変化だけに注目するのではなく、地域別や産業別の動向を把握しながら、自社の魅力発信と人材育成を強化することが今後の採用成功につながるだろう。
⇒ 詳しくは静岡労働局のWEBサイトへ


