2026年6月24日
労務・人事ニュース
2026年4月岡山県の有効求人倍率1.29倍と医療福祉求人4383人の現状
2026年4月岡山県の有効求人倍率1.29倍と新規求人14098人の実態
岡山労働局が公表した2026年4月の雇用情勢によると、岡山県の有効求人倍率は季節調整値で1.29倍となり、前月の1.27倍から0.02ポイント上昇した。これにより有効求人倍率は4か月ぶりの上昇となった。一方で新規求人倍率は2.20倍となり、前月から0.14ポイント低下し3か月ぶりの減少となっている。県内の雇用市場は求人数が求職者数を上回る状況が継続しているものの、企業の採用活動には変化の兆しも見え始めている。
2026年4月の有効求人数は38,908人で前年同月比9.8%減少した。一方、有効求職者数は32,003人で前年同月比1.4%増加している。求人が減少し求職者が増加しているため、これまで続いてきた深刻な人手不足に若干の緩和傾向が見られるものの、有効求人倍率が1倍を大きく上回っていることから、依然として企業側が人材確保に苦労する市場環境であることに変わりはない。
全国平均の有効求人倍率は1.18倍であり、岡山県の1.29倍は全国を上回る水準となっている。求職者1人に対して1.29件の求人が存在する計算であり、企業間の人材獲得競争は続いている。特に地方企業や中小企業にとっては、大手企業との採用競争だけでなく、人口減少や若年層の都市部流出という構造的課題とも向き合わなければならない状況だ。
新規求人の状況を見ると、2026年4月の新規求人数は14,098人となり、前年同月比11.3%減少した。これで10か月連続の減少となる。企業の採用意欲が急激に低下しているわけではないが、先行き不透明な経済環境の中で採用計画を慎重に見直す企業が増えている可能性が考えられる。
業種別に見ると、全ての産業が同じ動きを示しているわけではない。医療・福祉分野は4,383人の新規求人となり前年同月比4.2%増加した。社会保険・社会福祉・介護事業では3,180人の求人があり、前年同月比9.8%増加している。高齢化が進む中で介護人材や福祉人材への需要は引き続き高く、今後も採用競争が続くことが予想される。
学術研究・専門技術サービス業も303人で前年同月比21.7%増加した。専門性を持つ人材への需要は根強く、企業のデジタル化や技術革新への対応が背景にあると考えられる。電気・ガス・熱供給・水道業も93.3%増加しており、社会インフラを支える分野で人材確保が進められている。
その一方で、卸売業・小売業は2,223人で前年同月比39.7%減少した。減少数は1,466人に達しており、全業種の中でも最も大きな減少となっている。小売業だけを見ると44.9%減少している。消費行動の変化や店舗運営の効率化、省人化投資の進展などが影響している可能性がある。
サービス業も20.3%減少し、建設業は4.5%減少、製造業は4.2%減少となった。岡山県の基幹産業ともいえる製造業の求人減少は採用市場全体にも影響を与える可能性がある。ただし製造業の有効求人倍率は依然として高く、企業が人材不足から完全に解放された状況ではない。
企業規模別の新規求人を見ると、従業員数30人から99人規模の企業は前年同月比21.3%減少している。一方で100人から299人規模の企業は2.1%増加した。中小企業層で求人の抑制傾向が目立つ結果となったが、これは採用活動の難しさが背景にあるとも考えられる。求人を出しても応募が集まらず、採用コストばかりが増加する状況に直面している企業も少なくないだろう。
新規求職者数は8,648人で前年同月比0.8%増加した。2か月連続の増加となっている。有効求職者数も5か月連続で増加していることから、求職者側の動きは活発化している。採用担当者にとっては、これまでよりも求職者との接点を作りやすい環境が生まれつつあると言える。
しかし、就職件数は1,777件で前年同月比10.7%減少した。就職率も20.5%となり前年同月から2.7ポイント低下している。求職者数が増加しているにもかかわらず就職件数が減少していることは、求人と求職者の希望条件が一致しないミスマッチが発生していることを示している。
この結果は中小企業の採用担当者にとって重要な示唆を含んでいる。求人票に掲載する情報だけでは求職者に十分な魅力が伝わらなくなっている可能性がある。給与や休日数だけでなく、どのような仕事を行い、どのような成長機会があり、どのような職場環境で働けるのかを具体的に伝えることが必要になっている。
また、正社員市場にも注目したい。2026年4月の正社員有効求人倍率は1.21倍となった。前年同月の1.24倍から0.03ポイント低下しているが、依然として求職者数を上回る求人が存在している。正社員有効求人数は21,556人、有効求職者数は17,830人であり、企業は安定した人材確保を目指して正社員採用を継続している。
中小企業の採用担当者は、この1.21倍という数字をどのように受け止めるべきだろうか。一般的には求人倍率が高いと採用が難しいと考えられる。しかし、求職者が増加傾向にあり、就職件数が減少している現状を踏まえると、採用活動の質を高めることで十分に成果を出せる可能性がある。
例えば、採用ページの充実や社員インタビューの掲載、動画による職場紹介などを活用し、企業の魅力を見える化する取り組みが重要になる。求職者は複数企業を比較検討するため、企業文化や働く人の雰囲気が伝わる情報発信が応募意欲を左右する時代になっている。
地域別の有効求人倍率を見ると、岡山所は1.41倍、玉野所は1.42倍、高梁所は1.31倍となっている。一方で和気所は0.86倍となり、地域によって雇用環境に差が見られる。県全体の数字だけではなく、自社が所在する地域の状況を把握することも採用戦略を考える上で欠かせない。
職業別の有効求人倍率を見ると、建築・土木・測量技術者は5.08倍、情報処理・通信技術者は3.80倍、保健師・助産師・看護師は2.14倍となっている。専門職の人材不足は依然として深刻である。一方で一般事務職は0.31倍となっており、職種によって採用難易度には大きな差がある。
採用担当者は求人倍率の高い職種について、従来の採用手法だけでは限界があることを認識する必要がある。経験者採用だけに依存するのではなく、未経験者の育成や資格取得支援制度の整備、リスキリング環境の提供など、中長期的な人材育成戦略を採用活動と一体化させることが重要になる。
さらに注目すべきなのは高年齢求職者の増加である。2026年4月の55歳以上の新規求職者は3,993人となり前年同月比7.5%増加した。有効求職者も12,767人で6.6%増加している。55歳以上の求職者は全体の39.9%を占めており、岡山県の採用市場において重要な人材層となっている。
中小企業の採用担当者は若年層だけをターゲットとするのではなく、シニア人材の活用も積極的に検討すべきだろう。豊富な経験や専門知識を持つ人材を受け入れることで、技能継承や人材育成にもつながる。短時間勤務や柔軟な働き方を導入することで応募の幅を広げることも可能になる。
岡山労働局は県内の雇用情勢について、求人が求職を上回って推移しているものの、求人が弱含んでおり、物価上昇などが雇用に与える影響に留意する必要があるとしている。企業経営を取り巻く環境は決して楽観できないが、採用市場には新たな変化も生まれている。
2026年4月の岡山県の有効求人倍率1.29倍という数字は、単なる人手不足の指標ではない。求職者が増加し、就職件数が減少し、求人が減少している現状を総合的に見ると、採用活動の質がこれまで以上に問われる局面に入ったことを示している。中小企業の採用担当者は求人倍率の数字だけに一喜一憂するのではなく、求職者の価値観の変化や地域特性を踏まえながら、自社ならではの魅力を発信し続けることが重要である。採用活動を単なる人員補充ではなく経営戦略の一部として位置付けることが、これからの人材確保成功の鍵になるだろう。
⇒ 詳しくは岡山労働局のWEBサイトへ


