2026年6月24日
労務・人事ニュース
2026年4月高知県の有効求人倍率1.15倍と新規求人倍率2.03倍が示す採用市場の変化
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最終更新: 2026年7月3日 11:34
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最終更新: 2026年7月3日 07:02
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最終更新: 2026年7月3日 11:34
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最終更新: 2026年7月3日 10:05
2026年4月高知県の有効求人倍率1.15倍で進める採用ブランディング
高知労働局が2026年5月29日に公表した2026年4月の雇用失業情勢によると、高知県の有効求人倍率は季節調整値で1.15倍となり、前月から0.05ポイント上昇した。2か月ぶりの上昇となり、県内の雇用市場は引き続き求人数が求職者数を上回る状態が続いている。一方で労働局は「雇用失業情勢は改善の動きに一部弱さがみられる。引き続き物価上昇等が雇用に与える影響に注意する必要がある」としており、企業の採用意欲と経済環境の変化が交錯する局面にあることがうかがえる。
今回の発表では、有効求人数が14,511人となり前月比5.9%増加した。これに対して有効求職者数は12,586人で前月比1.0%増加している。求人数の増加幅が求職者数の増加幅を大きく上回ったことで、有効求人倍率は上昇した。求職者1人に対して1.15件の求人が存在する状況であり、企業側が人材確保に苦労する環境が続いていることを示している。
さらに新規求人倍率は2.03倍となり、前月を0.08ポイント上回った。新規求人数は5,344人で前月比6.4%増加し、新規求職者数は2,633人で前月比2.4%増加した。新たに仕事を探す人よりも新たに募集される求人の方が約2倍存在する状況となっており、採用競争の激しさが数字からも明確に読み取れる。
全国平均との比較も重要な視点となる。2026年4月の全国有効求人倍率は1.18倍で前月と同水準だった。高知県の1.15倍は全国平均をやや下回るものの、依然として求人数が求職者数を上回る売り手市場の状態であることに変わりはない。全国順位では26位となっており、突出して高い水準ではないが、人材不足が解消されたと判断できる状況でもない。
企業の採用担当者が特に注目すべきなのは、有効求人倍率だけでなく求人と求職の中身である。高知県の新規求人数は前年同月比4.1%増の5,399人となり、2か月連続で増加した。一方で新規求職者数は3,717人となり前年同月比0.7%減少している。つまり企業側の採用需要は増加している一方で、仕事を探している人の数は減少している。この構図は今後も採用競争が続く可能性を示している。
産業別の動向を見ると特徴がより鮮明になる。新規求人が大きく増加した業種としては、卸売業・小売業が317人増加して47.7%増、学術研究・専門技術サービス業が48人増加して31.8%増、農林漁業が26人増加して38.2%増となった。サービス業も1.5%増加しており、一部業界では採用意欲の高まりが見られる。
一方で求人が減少した業種も少なくない。製造業は55人減少して12.6%減、教育・学習支援業は44人減少して29.5%減、医療・福祉は68人減少して4.5%減となった。医療・福祉分野は求人総数そのものは依然として1,433人と高い水準にあるものの、前年と比較すると採用計画の見直しが進んでいる可能性もある。
中小企業の採用担当者は、この産業別の違いを十分に理解する必要がある。例えば卸売業や小売業の求人が大幅に増えている状況では、同じ地域内で求職者の奪い合いが起きやすくなる。給与や待遇だけで勝負するのではなく、自社独自の魅力を発信しなければ応募獲得は難しくなるだろう。
また、正社員採用の状況も見逃せない。高知県の正社員有効求人倍率は0.88倍となり、前年同月を0.01ポイント上回った。3か月連続で上昇しているものの、正社員を希望する求職者数が正社員求人を上回る状態が続いている。この数字だけを見ると企業に有利な市場のように感じられるが、実際には求職者が希望する条件と企業が提示する条件にギャップが存在しているケースも多い。
正社員有効求人数は6,919人で全体の47.7%を占めている。一方で正社員有効求職者数は7,848人で全体の58.6%を占めている。つまり正社員として働きたい人は多いが、その希望に合致する求人が十分ではない可能性がある。中小企業にとっては、このミスマッチを解消することが採用成功への近道になる。
採用担当者が最初に取り組むべきことは、自社の求人票を求職者目線で見直すことである。現在の求職者は給与額だけで応募を決めるわけではない。仕事内容の具体性、入社後のキャリア形成、教育制度、評価制度、休日数、働きやすさなど総合的な情報を比較している。特に若年層は企業文化や成長環境を重視する傾向が強くなっている。
さらに高知県では雇用保険被保険者数が183,492人となり、前年同月比で3,289人減少した。77か月連続の減少である。この数字は地域の労働力人口が長期的に減少していることを示している。少子高齢化や人口流出の影響を考えると、今後も採用対象者そのものが減少する可能性が高い。
こうした環境下では、従来の採用ターゲットだけに依存することは危険である。新卒採用だけではなく、第二新卒、Uターン人材、Iターン人材、シニア人材、子育て世代など多様な人材層へ採用対象を広げる必要がある。実際に地方企業では、柔軟な勤務制度を導入することで採用成果を向上させる事例も増えている。
新規常用求職者の内訳を見ると、在職者は720人で前年同月比1.0%減少した。離職者は2,751人で0.2%減少している。無業者は212人で7.0%減少した。転職市場全体が大きく活発化しているわけではなく、企業は限られた求職者を取り合う構図となっている。
また就職件数は841件で前年同月比10.8%減少し、7か月連続の減少となった。就職率も22.6%となり前年同月を2.6ポイント下回った。この結果は、求人が増えているにもかかわらず採用成立まで至らないケースが増えていることを示している。企業と求職者の条件が一致しにくくなっていることが背景にあると考えられる。
中小企業の採用担当者は、この状況を単なる応募不足として捉えるべきではない。むしろ企業の情報発信力や採用設計が問われている時代に入ったと考えるべきである。ホームページや採用ページで職場の雰囲気を伝えることはもちろん、社員インタビューやキャリア事例などを発信し、求職者が働くイメージを持てるようにすることが重要になる。
さらに採用後の定着にも目を向ける必要がある。採用コストが高騰する中で、入社後の早期離職は企業にとって大きな損失となる。教育体制の整備、上司とのコミュニケーション強化、評価制度の透明化など、働き続けたいと思える職場づくりが採用成功の前提条件になっている。
高知県内の地域別動向を見ると、高知所の有効求人倍率は1.25倍、須崎所は1.10倍、安芸所は0.77倍、四万十所は0.72倍、いの所は0.60倍となっている。同じ県内でも地域差が存在するため、採用担当者は県全体の数字だけでなく、自社が立地する地域の状況も踏まえて採用計画を策定する必要がある。
2026年4月の高知県の有効求人倍率1.15倍という数字は、一見すると落ち着いた水準に見えるかもしれない。しかし実際には新規求人倍率が2.03倍に達し、求職者数が減少する中で求人が増加している。企業にとって人材確保は依然として重要な経営課題であり続けている。これからの中小企業の採用活動では、給与や求人広告だけに頼るのではなく、自社の魅力を言語化し、多様な人材が活躍できる環境を整え、採用から定着までを一体的に考える戦略が求められる。高知県の最新雇用データは、その必要性を改めて示している。
⇒ 詳しくは高知労働局のWEBサイトへ


