2026年7月26日
労務・人事ニュース
石川県の令和8年5月有効求人倍率1.39倍、宿泊・飲食48.4%減から見る求人改善
石川県の令和8年5月有効求人倍率1.39倍と職業別求人倍率から見る採用対策
令和8年6月30日、石川労働局は令和8年5月分の最近の雇用失業情勢を公表しました。石川県の有効求人倍率は季節調整値で1.39倍となり、前月から0.03ポイント低下しました。これで4か月連続の低下となり、県内の雇用情勢は、求人が求職を上回って推移しているものの、求人は緩やかに減少しており、注意を要する状態にあるとされています。全国の有効求人倍率は1.17倍であり、石川県は全国第7位の高い水準にあります。求職者1人に対して求人が1件を大きく上回る状況は続いていますが、倍率が下がり続けていることから、採用市場の勢いは以前よりも弱まっていると見るべきです。中小企業の採用担当者は、この1.39倍という数字を「まだ採用が難しい」という一言で終わらせるのではなく、「求人需要は高いが、企業も求職者も慎重に動いている市場」として受け止める必要があります。
令和8年5月の有効求人数は季節調整値で24,683人となり、前月比2.0%減少しました。一方、有効求職者数は17,694人で、前月比0.1%増加しています。求人が減り、求職者がわずかに増えたことで、有効求人倍率は低下しました。倍率が下がったことだけを見ると、採用しやすくなったように感じるかもしれません。しかし、1.39倍という水準は依然として求人が求職を上回っている状態です。応募者は複数の求人を比較しながら、給与、休日、勤務時間、勤務地、仕事内容、職場の雰囲気、入社後の安心感を慎重に見ています。中小企業は大手企業のように知名度で応募を集めにくい場合があるため、求人票や採用ページで自社の仕事と働き方を具体的に伝えることが、これまで以上に重要になります。
原数値では、令和8年5月の月間有効求人数が23,972人となり、前年同月比11.0%減少しました。月間有効求職者数は18,876人で、前年同月比3.6%増加しています。前年と比べると、求人は大きく減り、求職者は増えているため、採用環境は少し落ち着きつつあるようにも見えます。ただし、採用現場では単純に応募が増えるとは限りません。求職者が増えても、希望する職種や賃金、勤務時間、通勤条件と企業側の条件が合わなければ応募にはつながらないからです。採用担当者は、有効求人倍率の低下を「待てば応募が来る」という受け身の材料にするのではなく、自社の求人条件が求職者にとって選びやすい内容になっているかを確認する機会にするべきです。
新規求人倍率は季節調整値で2.59倍となり、前月から0.06ポイント上昇しました。2か月連続の上昇です。有効求人倍率は低下した一方で、新規求人倍率は上がっているため、直近で新たに採用を始める企業の競争は依然として強い状態といえます。原数値の新規求人数は8,015人で、前年同月比11.0%減少しました。新規求職者数は3,291人で、前年同月比9.9%減少しています。求人も求職者も前年より減っていますが、新規求人倍率は2倍を超えており、新たに仕事を探し始めた人に対して求人が多い状況です。中小企業がこの市場で採用を成功させるには、求人を出した後の対応速度が欠かせません。応募が入ってから連絡まで時間がかかると、候補者は他社の選考へ進んでしまう可能性があります。
産業別の新規求人を見ると、令和8年5月は建設業が839人で前年同月比8.4%増、製造業が1,047人で0.3%増、情報通信業が80人で8.1%増、サービス業が845人で15.8%増となりました。一方、運輸業、郵便業は421人で16.0%減、卸売業、小売業は1,720人で4.7%減、宿泊業、飲食サービス業は491人で48.4%減、教育、学習支援業は83人で5.7%減、医療、福祉は1,678人で14.7%減、複合サービス事業は40人で51.8%減となっています。増加している業種と減少している業種がはっきり分かれており、県全体の有効求人倍率だけでは自社の採用難易度を正確に判断できません。採用担当者は、自社の業種や職種に近い動きを見ながら、求人内容を調整する必要があります。
建設業では求人が増えており、技術者や現場作業に関わる人材の確保をめぐる競争が強まりやすい状況です。建築・土木・測量技術者の有効求人倍率は8.04倍、建設・採掘従事者は5.35倍と高く、土木作業従事者も7.18倍となっています。建設関連の中小企業が採用を進める場合、給与や経験年数だけでなく、現場の種類、作業内容、安全管理、資格取得支援、未経験者への教育体制、天候による勤務の変化、直行直帰の可否を具体的に示すことが大切です。応募者は、仕事のきつさや将来性、安全面に不安を持ちやすいため、求人票で安心材料を丁寧に伝える必要があります。
製造業では全体として前年同月比0.3%増と横ばいに近い動きですが、業種別では差があります。食料品・飲料等は190人で3.6%減、繊維工業は124人で7.5%減、金属製品は91人で15.0%減となった一方、はん用機械器具は130人で27.5%増、生産用機械器具は128人で60.0%増、電子部品・デバイスは34人で36.0%増となっています。同じ製造業でも、求められる人材や採用競争の強さは異なります。中小製造業が求人を出す際には、「工場作業」「製造スタッフ」といった表現だけで済ませず、扱う製品、担当工程、機械操作の有無、必要な資格、研修期間、安全教育、交替勤務や残業の実態を明記することが重要です。仕事内容が見える求人ほど、未経験者も応募を検討しやすくなります。
医療、福祉は前年同月比14.7%減となりましたが、新規求人数は1,678人であり、県内の大きな求人分野であることに変わりはありません。職業別では、介護関係の職業の有効求人倍率が2.95倍、介護サービス職業従事者が2.69倍、保健師、助産師、看護師が1.33倍、社会福祉専門職業従事者が1.86倍となっています。求人が減っていても、現場の人材不足が解消されたとは限りません。医療、介護、福祉の採用では、資格の有無だけでなく、勤務体制、夜勤の有無、利用者や患者への対応内容、教育担当者、資格取得支援、職員同士の連携、身体的負担への配慮を具体的に示すことが応募者の安心につながります。未経験者やブランクのある人を受け入れたい企業ほど、入職後の流れをわかりやすく伝える必要があります。
職業別の有効求人倍率を見ると、事務従事者は0.49倍、一般事務従事者は0.39倍、事務用機器操作員は0.17倍となっており、事務系では求職者の方が求人を上回っています。一方、販売従事者は3.28倍、サービス職業従事者は2.26倍、保安職業従事者は4.71倍、生産工程従事者は1.83倍、輸送・機械運転従事者は2.19倍と、職種によって採用難易度に大きな差があります。中小企業の採用担当者は、県全体の1.39倍だけを見るのではなく、自社が募集する職種の倍率を確認することが欠かせません。事務職では応募数が集まりやすい可能性がありますが、販売、介護、建設、運転、技術職では、求職者に選ばれる求人づくりと選考スピードが採用結果を大きく左右します。
正社員採用については、令和8年5月の正社員有効求人倍率が原数値で1.24倍となり、前年同月から0.11ポイント低下しました。正社員の有効求人数は13,068人で前年同月比6.2%減、常用フルタイムの有効求職者数は10,501人で1.8%増となっています。正社員求人は求職者を上回っていますが、前年より倍率は低下しており、正社員採用の市場にも変化が出ています。中小企業が正社員を募集する場合、「正社員募集」「未経験歓迎」といった言葉だけでは十分ではありません。入社後に任せる仕事、研修期間、昇給や賞与の考え方、残業時間、休日、転勤の有無、評価制度を具体的に伝えることで、応募者は安心して応募しやすくなります。
公共職業安定所別の有効求人倍率を見ると、令和8年5月の原数値では県全体が1.27倍、金沢が1.23倍、白山が1.64倍、小松が1.01倍、加賀が1.43倍、七尾が1.14倍、輪島が1.40倍となっています。前年同月と比べると、輪島では倍率が上昇しましたが、金沢、白山、小松、七尾、加賀では低下しています。地域ごとに求人と求職者のバランスは異なり、同じ石川県内でも採用環境は一律ではありません。白山や加賀、輪島のように倍率が高い地域では、企業間の人材獲得競争が強まりやすくなります。小松のように1倍に近い地域でも、職種や条件が合わなければ応募にはつながりません。勤務地ごとの通勤事情、車通勤の可否、駐車場、勤務開始時間、転勤の有無などを求人票に明記することが大切です。
令和8年5月の石川県の雇用失業情勢から、中小企業の採用担当者が取るべき方向性は明確です。有効求人倍率1.39倍は全国平均を上回り、求人が求職を上回る状態が続いています。一方で、有効求人倍率は4か月連続で低下し、新規求人数も前年同月比11.0%減少しています。採用市場は強い求人需要を残しながらも、企業側には慎重さが見られます。採用担当者は、必須条件と歓迎条件を分け、未経験者を育成できる業務、短時間勤務でも任せられる業務、シニア人材やブランクのある人が活躍できる業務を整理することが重要です。求人票では、仕事内容、給与、休日、残業、教育体制、職場環境、選考の流れを丁寧に示し、応募後は速やかに連絡することが採用成功につながります。採用競争が続く中で、求人募集を効果的に行うには、求人情報の発信に加えて応募者対応や採用管理の仕組みづくりも欠かせません。求人募集や採用サイト(ATS)の活用をお考えの企業様は、当社までお気軽にご相談ください。
⇒ 詳しくは石川労働局のWEBサイトへ


