2026年7月26日
労務・人事ニュース
令和8年5月の神奈川県有効求人倍率0.83倍、宿泊・飲食31.2%減から考える求人改善
令和8年5月の神奈川県有効求人倍率0.83倍と主要産業別求人動向
令和8年6月30日、神奈川労働局は令和8年5月分の労働市場速報を公表しました。神奈川県の有効求人倍率は、受理地別の季節調整値で0.83倍となり、前月から横ばいでした。就業地別の有効求人倍率も1.02倍で、こちらも前月から横ばいとなっています。新規求人倍率は受理地別で1.53倍となり、前月から0.07ポイント低下し、就業地別では1.35倍で前月から0.62ポイント低下しました。正社員の有効求人倍率は0.57倍で、前年同月から0.05ポイント低下しています。神奈川労働局は、県内の雇用情勢について「持ち直しの動きに足踏みがみられる」と判断し、原材料費等の高騰が雇用に与える影響に留意する必要があるとしています。中小企業の採用担当者は、この0.83倍という数字だけを見て「求職者が多いから採用しやすい」と考えるのではなく、求人と求職の内容が合わなければ採用には結びつかない市場として読み解く必要があります。
令和8年5月の受理地別の有効求人数は季節調整値で96,191人となり、前月比1.8%増加しました。有効求職者数も115,469人で、前月比1.4%増加しています。求人も求職者も前月より増えたものの、倍率は0.83倍で横ばいとなりました。原数値では、有効求人数が93,142人で前年同月比2.6%減少し、有効求職者数は121,497人で前年同月比1.9%増加しています。つまり、1年前と比べると求人は減り、求職者は増えている状況です。採用担当者にとっては、応募者の数が増えやすい環境に見えるかもしれませんが、実際には求職者が希望する職種、賃金、勤務地、勤務時間、雇用形態と、企業が提示する条件が合わなければ応募にはつながりません。求人倍率の低さを安心材料にするのではなく、求職者が納得して応募できる情報を整えることが大切です。
就業地別の有効求人倍率が1.02倍である点も見逃せません。受理地別では0.83倍ですが、実際に神奈川県内で働く求人を基準にすると1倍を上回っています。就業地別の有効求人数は季節調整値で117,988人となり、前月比1.1%増加しました。神奈川県内を勤務地とする求人需要は、受理地別の数字よりも強く表れています。県内企業、とくに地域密着型の中小企業は、県外本社や広域採用の求人とも比較される可能性があります。勤務地の利便性、最寄り駅からの距離、車通勤の可否、転勤の有無、勤務開始時間、在宅勤務や時差出勤の相談可否など、神奈川で働くうえで求職者が気にする情報を具体的に示すことが、応募の判断を後押しします。
新規求人の動きでは、受理地別の新規求人数が季節調整値で32,955人となり、前月比6.1%減少しました。新規求職者数は21,553人で、前月比1.5%減少しています。求人も求職者も減っていますが、新規求人の減少幅が大きかったため、新規求人倍率は1.53倍に低下しました。原数値では、新規求人数が30,388人で前年同月比5.2%減、新規求職者数は21,962人で前年同月比3.5%減となっています。新たに求人を出す企業も、新たに仕事を探す人も前年より減少しており、採用市場には慎重な動きが出ています。中小企業がこの局面で採用を進める場合、求人掲載のタイミングだけでなく、応募があった後の初回連絡、面接日程の提示、選考結果の連絡までを速やかに行うことが重要です。求職者が複数の求人を比較している中では、対応の遅れが辞退につながります。
産業別の新規求人を見ると、令和8年5月は産業全体で30,388人となり、前年同月比5.2%減少しました。建設業は2,553人で0.9%減、製造業は2,007人で5.0%減、運輸業、郵便業は1,744人で6.5%減、卸売業、小売業は1,653人で28.8%減、学術研究、専門・技術サービス業は888人で2.1%減、宿泊業、飲食サービス業は1,180人で31.2%減、医療、福祉は9,988人で2.8%減となっています。一方、情報通信業は1,366人で16.1%増、サービス業は5,504人で0.3%増となりました。多くの主要産業で求人が減少する中、情報通信業とサービス業では増加が見られます。採用担当者は、県全体の倍率だけでなく、自社が属する業界の求人動向を確認し、同業他社との競争が強まるのか、求職者が慎重に比較する局面なのかを見極める必要があります。
卸売業、小売業や宿泊業、飲食サービス業で求人の減少幅が大きいことは、消費動向、人件費、原材料費、店舗運営コストなどが採用計画に影響している可能性を示しています。しかし、求人が減っている業界でも人手不足が解消したとは限りません。現場では必要な人員を確保したいものの、採用人数や募集時期を慎重に判断している企業も多いはずです。小売や飲食、宿泊関連の中小企業では、シフトの柔軟性、土日勤務の頻度、繁忙期の働き方、未経験者への研修、接客範囲、休みの取りやすさを具体的に伝えることが応募につながります。求職者は、単に時給や月給を見るだけでなく、自分の生活と両立できるか、長く働ける職場かを細かく確認しています。
医療、福祉は前年同月比では2.8%減となったものの、新規求人数は9,988人と大きな規模を維持しています。神奈川県内では、医療、介護、福祉に関わる人材需要が引き続き重要であることがわかります。中小規模の医療機関や福祉事業者が採用を進める際には、資格や経験の有無だけを前面に出すのではなく、勤務体制、夜勤の有無、利用者や患者への対応内容、教育担当者、資格取得支援、職員同士の連携、身体的負担への配慮を具体的に示すことが大切です。未経験者やブランクのある人を受け入れる場合は、最初に任せる業務、研修期間、相談できる体制を明記することで、応募前の不安を減らせます。採用が難しい分野ほど、求人票の情報量と誠実さが信頼につながります。
正社員採用については、より慎重な見方が必要です。令和8年5月の正社員有効求人倍率は0.57倍となり、前年同月から0.05ポイント低下しました。正社員の有効求人数は41,450人で前年同月比6.1%減少し、パートを除く常用有効求職者数は72,273人で前年同月比1.1%増加しています。正社員の新規求人数は13,074人で前年同月比9.7%減となり、新規求人全体に占める正社員求人の割合は43.0%でした。正社員の就職件数は798件で前年同月比20.0%減少しています。正社員求人では求職者数が求人を上回っているものの、求職者は正社員という雇用形態だけで応募を決めるわけではありません。給与、昇給、賞与、休日、残業、転勤の有無、教育体制、評価制度、職場の人間関係を総合的に見ています。
中小企業が正社員を採用する際には、「正社員募集」「未経験歓迎」といった表現だけでは不十分です。入社後にどの仕事を任せるのか、研修期間はどの程度か、誰が教育するのか、評価や昇給はどのような考え方か、繁忙期と通常期で残業がどの程度違うのかを具体的に伝えることが必要です。神奈川県のように都市部、工業地域、住宅地、観光地が混在する地域では、求職者が重視する条件も勤務地によって変わります。横浜や川崎の都市部では通勤利便性や働き方の柔軟性が重視されやすく、県央や湘南、西湘地域では車通勤、地元で長く働ける安心感、家庭との両立が応募判断に影響します。求人票は一律の文章ではなく、勤務地と職種に合わせて調整することが重要です。
求職者側の動きでは、常用パートを除く新規求職者が前年同月比6.0%減少しました。内訳では、離職者が4.1%減、在職者が16.2%減、無業者が4.1%増となっています。離職者を理由別に見ると、定年到達者は8.1%減、事業主都合離職者は4.1%減、自己都合離職者は4.5%減でした。在職者の新規求職が大きく減っている点は、中小企業にとって重要です。今すぐ転職活動を始める人が限られている場合、求人を出して待つだけでは経験者との接点を作りにくくなります。現在の職場と比較しても応募したいと思える理由を伝えるには、待遇だけでなく、仕事の裁量、成長機会、職場の雰囲気、上司との距離、地域で働く安心感を具体的に発信する必要があります。
令和8年5月の神奈川県の雇用情勢から、中小企業の採用担当者が取るべき方向性は明確です。受理地別の有効求人倍率0.83倍は、求人より求職者が多い状態を示していますが、就業地別では1.02倍で、県内の就業需要は1倍を上回っています。新規求人倍率も受理地別で1.53倍と、直近の採用競争は続いています。正社員有効求人倍率0.57倍という数字からは、正社員希望者に対して求人が少ない状況も見えますが、応募者に選ばれるには求人内容の具体性が欠かせません。採用担当者は、必須条件と歓迎条件を分け、未経験者を育成できる業務、短時間勤務でも任せられる業務、シニア人材やブランクのある人が活躍できる業務を整理することが大切です。求人票では、仕事内容、給与、休日、残業、教育体制、職場環境、選考の流れを丁寧に示し、応募後は速やかに連絡する必要があります。人手不足が続く中、求人募集では掲載媒体の選定だけでなく、応募者管理や採用業務の効率化も重要になっています。採用活動をより円滑に進めたい企業の方は、日本全国どこでも対応可能な採用サイト(ATS)の取り扱いにも対応している当社までご相談ください。
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