2026年7月26日
労務・人事ニュース
福井県の令和8年5月有効求人倍率1.74倍、98か月連続全国1位の採用市場で企業が見るべき点
福井県の令和8年5月有効求人倍率1.74倍と安定所別地域差から見る採用対策
令和8年6月30日、福井労働局は令和8年5月分の雇用失業情勢を公表しました。令和8年5月の福井県の有効求人倍率は、就業地別の季節調整値で1.74倍となり、前月から0.01ポイント上昇しました。全国の有効求人倍率は1.17倍であり、福井県は全国平均を大きく上回っています。都道府県別では福井県が1.74倍で最も高く、98か月連続で全国1番目の水準となりました。県内の雇用失業情勢については、求人が求職を大きく上回って推移しているとされています。ただし、物価上昇や中東情勢などが雇用に与える影響には注意が必要とされており、求人倍率の高さだけで採用市場を楽観視することはできません。中小企業の採用担当者は、この1.74倍という数字を「人材確保が難しい」という一言で片付けるのではなく、限られた求職者に自社を選んでもらうための採用設計を見直す材料として捉える必要があります。
令和8年5月の有効求人数は就業地別の季節調整値で19,350人となり、前月比0.6%増加しました。一方、有効求職者数は11,139人で前月比0.1%増加しています。求人も求職者も前月より増えていますが、求人の増加幅が求職者を上回ったことで、有効求人倍率は1.74倍に上昇しました。新規求人倍率も就業地別の季節調整値で2.64倍となり、前月から0.04ポイント上昇しています。新規求人数は6,798人で前月比0.7%減少した一方、新規求職者数は2,573人で前月比2.2%減少しました。新たに出される求人は減りましたが、それ以上に新たに仕事を探し始める人が減ったため、新規求人倍率が上昇した形です。採用担当者にとって、この新規求人倍率2.64倍は非常に重要です。直近で採用を始める企業にとって、応募者との接点を作る競争が強いことを示しているため、求人を出して待つだけの採用活動では十分とはいえません。
原数値で見ると、令和8年5月の就業地別の有効求人数は18,930人で、前年同月比3.0%減少しました。これは37か月連続の減少です。新規求人数も6,485人で、前年同月比5.7%減少し、7か月連続で前年を下回りました。一方、有効求職者数は11,959人で前年同月比3.7%増となり、9か月連続で増加しています。新規求職者数は2,521人で前年同月比3.7%減少し、6か月ぶりの減少となりました。つまり、求職者全体は前年より増えているものの、新たに求職活動を始める人は減っています。中小企業にとっては、求職者が増えているから採用しやすいと考えるのではなく、今すぐ動く人材が限られている中で、どのように応募意欲を高めるかが問われる状況です。
受理地別の有効求人倍率は季節調整値で1.60倍となり、前月から0.03ポイント上昇しました。都道府県別では東京都の1.70倍に続き、福井県は1.60倍で全国2番目の水準です。就業地別では福井県が1.74倍、富山県が1.66倍、島根県が1.64倍の順となっており、福井県内で実際に働く求人需要の強さがうかがえます。安定所別の有効求人倍率は、三国が2.08倍、大野が1.52倍、敦賀が1.46倍、福井が1.43倍、小浜が1.32倍、武生が1.26倍となっています。地域によって差はあるものの、いずれも1倍を上回っており、県内の広い範囲で求人が求職を上回っています。採用担当者は県全体の平均だけでなく、自社の勤務地や通勤圏に近い地域の倍率を見ながら、求人条件や訴求内容を調整することが大切です。
産業別の新規求人を見ると、令和8年5月はサービス業が前年同月比4.3%増となりました。一方で、製造業は7.2%減、運輸業、郵便業は17.0%減、宿泊業、飲食サービス業は18.0%減となっています。製造業の中では、はん用・生産用機械器具製造業が46.1%増、電子部品・デバイス製造業が178.9%増となった一方、食料品製造業は32.2%減、電気機械器具製造業は59.6%減でした。また、福井県の地場産業に関わる繊維工業は20.2%減、眼鏡等製造業は4.0%減となっています。同じ製造業でも分野によって求人の動きは大きく異なるため、採用担当者は「製造業全体が減少している」と大まかに見るのではなく、自社の業種に近い求人動向を確認する必要があります。
福井県の中小製造業が採用を進める場合、求人票の書き方は特に重要です。求人倍率が高い地域では、求職者は複数の企業を比較しながら応募先を選びます。「製造スタッフ」「工場作業」といった表現だけでは、仕事内容が伝わりにくく、未経験者や異業種からの転職希望者は応募をためらいやすくなります。扱う製品、担当する工程、機械操作の有無、必要な資格、入社後の研修、安全教育、交替勤務の有無、残業時間の目安を具体的に示すことで、応募者は入社後をイメージしやすくなります。はん用・生産用機械器具製造業や電子部品・デバイス製造業のように求人が増えている分野では、同業他社との人材獲得競争が強まりやすいため、教育体制や働きやすさを丁寧に伝えることが欠かせません。
宿泊業、飲食サービス業では新規求人が前年同月比18.0%減となりましたが、求人が減っているから採用しやすくなるとは限りません。この分野では、勤務時間、休日、シフトの柔軟性、繁忙期の働き方、未経験者へのフォロー、接客範囲などが応募判断に大きく影響します。求職者は時給や月給だけではなく、自分の生活と両立できるか、長く働ける職場かを見ています。採用担当者は「人が足りないから募集する」という企業側の事情だけでなく、「応募者が安心して働ける理由」を求人情報に盛り込む必要があります。特に観光や外食関連では、土日祝の勤務や繁忙期対応を避けて書くのではなく、勤務パターンや休みの取り方を正直に示すことが、入社後のミスマッチ防止につながります。
求職者の動向を見ると、令和8年5月の有効求職者は前年同月比で3.7%増加しました。年齢別では24歳以下が2.0%増、35歳から44歳が5.5%増、55歳から64歳が8.5%増、65歳以上が6.7%増となっています。一方、25歳から34歳は1.0%減、45歳から54歳は1.4%減でした。新規求職者では、在職者が前年同月比1.8%増となった一方、離職者は6.7%減、自己都合離職者は6.8%減、事業主都合離職者は4.3%減となっています。在職中に求職活動を始める人が増えている点は、中小企業にとって注目すべきです。在職者は現在の職場と比較しながら応募先を選ぶため、給与だけでなく、残業、休日、職場の人間関係、通勤のしやすさ、評価制度、将来の役割を慎重に見ます。今の職場を辞めてでも応募したいと思える情報を提示できるかが、経験者採用の成否を分けます。
正社員の職業紹介状況を見ると、令和8年5月の受理地別の正社員有効求人倍率は1.56倍となり、前年同月より0.01ポイント上昇しました。正社員の有効求人数は9,812人で前年同月比1.7%増、非正社員の有効求人数は7,627人で7.3%減となっています。有効求人全体に占める正社員求人の構成比は56.3%で、前年同月より2.3ポイント上昇しました。一方、有効求職者数は11,959人で、正社員希望を含む求職者全体は増えています。正社員求人の割合が高まっていることは、企業が安定的に人材を確保したい意向を持っていることを示します。ただし、求職者は正社員という雇用形態だけで応募を決めるわけではありません。入社後の仕事内容、研修期間、昇給や賞与の考え方、転勤の有無、残業時間、休日取得の実態を具体的に示すことが必要です。
令和8年5月の福井県の雇用情勢から、中小企業の採用担当者が取るべき方向性は明確です。有効求人倍率1.74倍は全国最高水準であり、求人が求職を大きく上回っています。一方で、有効求人数は37か月連続、新規求人数は7か月連続で前年同月を下回っており、企業側の求人の動きには慎重さもあります。求職者全体は増えているものの、新規求職者は減っているため、採用活動では求人票の具体性と応募後のスピード対応が重要です。必須条件と歓迎条件を分け、未経験者を育成できる業務、短時間勤務でも任せられる業務、シニア人材やブランクのある人が活躍できる業務を整理することで、応募の入口は広がります。求人票では、仕事内容、給与、休日、残業、教育体制、職場環境、選考の流れを丁寧に示し、応募後は速やかに連絡することが採用成功につながります。有効求人倍率の動向からも、採用活動においては求人情報の出し方や応募者との接点づくりがより大切になっています。人材募集を検討されている企業の方は、日本全国どこでも対応できる採用サイト(ATS)の取り扱いにも対応している当社までお気軽にご相談ください。
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