2026年7月26日
労務・人事ニュース
長野県で令和8年5月の有効求人倍率1.25倍、正社員1.07倍から読む人材確保
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最終更新: 2026年7月26日 04:53
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最終更新: 2026年7月26日 04:53
長野県の令和8年5月新規求人倍率2.21倍から見る採用競争
令和8年6月30日、長野労働局は令和8年5月分の県内の雇用情勢を公表しました。長野県の有効求人倍率は季節調整値で1.25倍となり、前月と同水準でした。全国の有効求人倍率は1.17倍であり、長野県は全国平均を上回っています。求人が求職を上回る状態は続いており、県内の雇用情勢は堅調に推移していると判断されています。ただし、物価上昇や中東情勢などが雇用に与える影響を注視する必要があるとも示されており、採用市場を単純に強い状態として見るだけでは不十分です。中小企業の採用担当者は、この1.25倍という数字を「人材不足が続いている」と受け止めるだけでなく、求人と求職者の双方がどのように動いているのかを確認し、自社の採用活動を現実的に組み立てる必要があります。
令和8年5月の有効求人数は季節調整値で41,716人となり、前月に比べて0.1%増加しました。有効求職者数も33,387人で、前月比0.1%増となっています。求人と求職者の双方がほぼ同じ割合で増えたため、有効求人倍率は前月から変わらず1.25倍となりました。前年同月の有効求人倍率は1.27倍であったため、1年前と比べると0.02ポイント低い水準です。原数値で見ると、月間有効求人数は40,352人で前年同月比3.1%減少し、月間有効求職者数は35,010人で前年同月比1.5%減少しました。求人も求職者も前年より減っているため、市場全体の動きは大きく拡大しているわけではありません。採用担当者は、倍率が1倍を上回っているという表面だけでなく、求人も求職者も減る中で、限られた人材にどのように自社を選んでもらうかを考えることが重要です。
新規求人倍率は季節調整値で2.21倍となり、前月を0.01ポイント上回りました。新たに仕事を探し始めた人に対して、新たに出された求人が2倍を超える状況であり、直近で採用を始める企業同士の競争は続いています。令和8年5月の新規求人数は原数値で13,434人となり、前年同月比6.0%減少しました。うち常用は7,818人で6.8%減、パートは4,879人で8.3%減となっています。正社員求人の割合は48.1%で、正社員有効求人倍率は1.07倍でした。新規求職者数は6,521人で前年同月比10.0%減、うち常用は3,617人で8.8%減、パートは2,884人で11.2%減となりました。求人も求職者も減っていますが、求職者の減少幅が大きいため、採用する企業側には応募者との接点づくりがより強く求められます。
産業別に新規求人を見ると、前年同月比で増加したのは製造業、情報通信業、運輸業・郵便業、金融業・保険業でした。製造業は2,674人で前年同月比9.7%増、情報通信業は164人で9.3%増、運輸業・郵便業は712人で16.3%増、金融業・保険業は68人で15.3%増となっています。一方で、建設業は1,187人で14.4%減、卸売業・小売業は1,547人で13.3%減、不動産業・物品賃貸業は181人で11.3%減、宿泊業・飲食サービス業は836人で29.2%減、生活関連サービス業・娯楽業は358人で1.4%減、教育・学習支援業は234人で1.3%減、医療・福祉は2,613人で横ばい、サービス業は2,143人で9.8%減となりました。業種ごとの動きに差があるため、県全体の有効求人倍率だけで自社の採用難易度を判断するのは危険です。
製造業では全体として求人が増えており、県内の採用市場で重要な動きとなっています。食料品製造業は484人で3.2%増、パルプ・紙・紙加工品製造業は37人で8.8%増、プラスチック製品製造業は94人で11.3%増、金属製品製造業は255人で7.1%増、はん用機械器具製造業は165人で8.6%増、業務用機械器具製造業は125人で33.0%増、電子部品・デバイス・電子回路製造業は252人で43.2%増、電気機械器具製造業は561人で53.3%増となっています。中小製造業が採用を進める場合、求人票で「製造スタッフ」「工場作業」とだけ書いても、求職者には仕事の中身が伝わりにくくなります。扱う製品、担当工程、機械操作の有無、必要な資格、未経験者への教育、安全管理、交替勤務や残業の実態を具体的に示すことで、応募者は入社後を想像しやすくなります。求人倍率が高い地域ほど、仕事内容の透明性が応募の入口になります。
一方、宿泊業・飲食サービス業は前年同月比29.2%減となり、飲食店も32.1%減となりました。求人が減っている業界では、採用競争が弱まったように見えるかもしれませんが、人手不足が解消したとは限りません。人件費や仕入れ価格、電気代、原材料費の上昇などを背景に、採用人数や募集時期を慎重に見直す企業が増えている可能性があります。宿泊や飲食では、勤務時間、シフトの柔軟性、土日勤務の頻度、繁忙期の働き方、接客範囲、未経験者へのフォロー体制が応募判断に直結します。採用担当者は、求職者が不安に思いやすい点を避けるのではなく、実態に近い情報を丁寧に示すことが大切です。正直で具体的な求人ほど、入社後のミスマッチを防ぎ、定着にもつながります。
地域別に見ると、令和8年5月の有効求人倍率は東信地域が1.21倍、南信地域が1.20倍となり、前年同月を上回りました。北信地域は1.09倍、中信地域は1.14倍です。安定所別では、長野が1.17倍、篠ノ井が0.97倍、飯山が0.98倍、須坂が1.08倍、上田が1.19倍、佐久が1.24倍、松本が1.15倍、木曽福島が1.10倍、大町が1.08倍、飯田が1.15倍、伊那が1.20倍、諏訪が1.23倍となっています。長野県全体では1.25倍ですが、地域によって採用環境は異なります。倍率が高い地域では求職者が複数の求人を比較しやすく、倍率が1倍を下回る地域でも、希望する職種や勤務条件が合わなければ応募にはつながりません。勤務地周辺の通勤事情、車通勤の可否、駐車場、冬季の移動、転勤の有無、勤務開始時間の柔軟性などは、求人票に明記すべき情報です。
職業別では、事務従事者で求職者数が求人数を上回りましたが、それ以外の職業では求人数が求職者数を上回りました。新規常用求人では専門的・技術的職業従事者が1,626人、生産工程従事者が1,755人、サービス職業従事者が941人、建設・採掘従事者が697人、輸送・機械運転従事者が570人となっています。一方、新規常用求職者では事務従事者が874人で、求人の715人を上回りました。つまり、事務職では応募が集まりやすい可能性がある一方、製造、専門技術、サービス、建設、輸送などでは企業側の競争が残っています。採用担当者は、県全体の倍率だけでなく、自社が募集する職種の需給を見て求人内容を調整する必要があります。事務職では選考基準や仕事内容を明確にし、応募過多による対応遅れを防ぐことが重要です。人手不足職種では、必須条件を絞り、育成前提の採用も検討すべきです。
求職者側の動きでは、新規常用求職者3,617人のうち、在職者は1,365人で前年同月比8.0%減、離職者は2,027人で8.5%減、無業者は225人で15.7%減となりました。離職者のうち、事業主都合離職者は419人で9.7%減、自己都合離職者は1,485人で8.0%減です。転職市場に新しく出てくる人が全体的に減っているため、経験者採用を考える企業は、求人を出して待つだけでは十分な応募母集団を作りにくくなっています。在職者は現在の職場と比較しながら応募先を選ぶため、給与だけでなく、休日、残業、職場の雰囲気、評価制度、仕事の裁量、将来の役割を慎重に見ます。中小企業は大企業と同じ条件で競争するのではなく、地域密着、転勤の少なさ、経営者との距離の近さ、柔軟に相談しやすい職場であることを具体的に伝えることが有効です。
就職件数は1,927件で、前年同月比12.0%減少しました。常用就職件数は816件で16.3%減、パートタイム就職件数は1,057件で9.7%減となっています。求人が求職を上回る一方で就職件数が減っていることは、企業と求職者の条件がうまく合っていない可能性を示しています。応募が少ない理由を人口減少や景気だけに求めるのではなく、求人票の情報が十分か、選考の流れがわかりやすいか、応募後の連絡が遅れていないかを点検することが大切です。仕事内容が抽象的で、給与幅の理由がわからず、休日や残業の実態が見えず、面接日程の調整にも時間がかかる求人は、求職者に不安を与えます。採用活動では、求人票を単なる募集条件ではなく、企業への信頼を作る入口として整える必要があります。
令和8年5月の長野県の雇用情勢から、中小企業の採用担当者が取るべき方向性は明確です。有効求人倍率1.25倍は求人が求職を上回る堅調な市場を示していますが、新規求人数は前年同月比6.0%減、新規求職者数は10.0%減で、採用市場に新しく動き出す人材は限られています。まずは、自社が本当に必要とする人材像を整理し、必須条件と歓迎条件を分けることが重要です。未経験者を育てられる業務、短時間勤務でも任せられる業務、シニア人材やブランクのある人が活躍できる業務を切り分ければ、応募対象は広がります。求人票では、仕事内容、給与、休日、残業、教育体制、職場環境、選考の流れを具体的に示し、応募後は迅速に連絡することが採用成功につながります。人手不足が続く中、求人募集では掲載媒体の選定だけでなく、応募者管理や採用業務の効率化も重要になっています。採用活動をより円滑に進めたい企業の方は、日本全国どこでも対応可能な採用サイト(ATS)の取り扱いにも対応している当社までご相談ください。
⇒ 詳しくは長野労働局のWEBサイトへ


