2025年6月30日
労務・人事ニュース
年間13兆8,303億円に拡大した建築リフォーム市場、非住宅が牽引(令和6年度第4四半期受注分、令和6年度計)
建築物リフォーム・リニューアル調査報告(令和6年度第4四半期受注分、令和6年度計)(国交省)
令和7年6月13日に国土交通省が公表した建築物リフォーム・リニューアル調査によると、令和6年度の年間受注高は13兆8,303億円に達し、前年度と比較して4.2%増加したことが明らかになりました。これは、建築物のリニューアル市場において全体的な活況が見られることを示しています。特に非住宅建築物における受注高は9兆6,984億円で、前年より7.7%の増加を記録しました。これは新型コロナウイルスの影響が徐々に緩和され、オフィスや工場などの施設に対する機能更新の需要が高まっていることが一因とみられています。
一方で、住宅に関する工事の受注高は4兆1,318億円となり、前年から3.3%の減少となりました。中でも、維持・修理工事は6,803億円で8.8%の減少、改装・改修工事も3兆2,517億円で1.9%の減少となっており、住宅市場におけるリフォーム需要にはやや鈍化の傾向が見られます。とりわけ、「劣化や壊れた部位の更新・修繕」が主な目的とされる工事件数は住宅で約128万件、非住宅では約45万5千件にのぼりましたが、いずれも前年より10%以上減少しました。
工事の内容を詳しく見ると、非住宅建築物の改装・改修および維持・修理工事にかかる受注高は計9兆941億円で、前年と比較して8.3%の増加となりました。これは、生産施設や事務所などにおける設備更新や機能改善の需要が安定的に続いていることを反映しています。とくに鉄骨造の工場や作業場に対するリニューアル工事は1兆3,719億円と大きな比重を占め、前年比20.9%増と著しい伸びを示しました。
業種別に見ると、「建築工事業」が住宅工事で2兆7,494億円(13.4%増)、非住宅工事で3兆9,361億円(16.4%増)と、いずれも全体を牽引する中心的な役割を果たしています。一方で「職別工事業」は住宅では9,166億円と33.0%の大幅減となっており、特定の技能に依存する施工業者の業績が縮小している傾向も見られました。
受注工事の発注者の内訳では、住宅では「個人」からの発注が2兆6,427億円で最も多く、次いで「管理組合」が7,350億円を占めました。非住宅建築物においては「民間企業等」が7兆5,112億円と圧倒的に多く、次に「公共」からの発注が1兆8,951億円と続きました。これは企業による設備投資や公的機関による施設の長寿命化が同時に進行していることを示唆しています。
構造別では、住宅では「木造一戸建住宅」が1兆9,139億円と最も多く、次いで「コンクリート系構造の共同住宅」が1兆7,171億円でした。非住宅では「コンクリート構造の事務所」が1兆4,106億円、「鉄骨造の生産施設」が1兆3,719億円といった内訳でした。これらのデータは、日本国内での住宅と非住宅の構造的ニーズが明確に異なっており、それぞれの業種が持つ役割や市場特性に応じた戦略が求められることを意味しています。
企業の採用担当者にとっては、このようなデータを元に、今後の需要動向を見据えた人材採用や技術者育成の計画を策定することが重要です。特に非住宅分野でのリフォーム需要は今後も伸びると予想されるため、建築工事や設備工事に関する実務経験や専門技術を持った人材の確保が、企業の競争力を高める鍵となるでしょう。
この調査結果は、国土交通省が選定した5,000社の建設業許可業者を対象に実施されており、四半期ごとの継続的な統計として、市場動向をタイムリーに把握できる信頼性の高い資料とされています。
⇒ 詳しくは国土交通省のWEBサイトへ