2026年5月31日
労務・人事ニュース
2026年4月近畿で化粧品客単価105%でも求人数伸び悩み、採用担当者が知るべき求人改善の具体策とは
景気ウォッチャー調査(令和8年4月調査)― 近畿(現状)―(内閣府)
2026年4月に公表された近畿地域の景気動向では、インバウンド需要の回復や春の消費需要を背景に、一部の百貨店や家電量販店、サービス業で明るい動きが確認された一方、原油価格の上昇や資材価格の高騰、世界情勢の不透明感が家計と企業活動の双方に影響を及ぼしており、業種ごとの景況感の差がこれまで以上に鮮明になっています。大阪や京都、神戸といった都市部では観光需要が地域経済を支える状況が続いていますが、中小企業や地域密着型事業者ではコスト増加による収益圧迫も広がっており、採用活動や求人市場にも慎重な変化が見え始めています。採用担当者にとっても、売上動向だけでなく、雇用環境の変化を正確に読み解くことが求められる局面に入っています。
小売分野では、比較的明るい動きが目立ちました。時計販売店では来客数自体は大きく増えていないものの、長年の顧客による高額購入や修理需要の増加によって売上が大きく伸びています。衣料品専門店でも春の繁忙期に入り来客数が増加しており、季節需要が消費を後押ししています。家電量販店では新たな省エネ基準の施行を背景に、エアコンの販売が前年を大きく上回っており、夏本番やボーナス商戦に向けた需要の前倒しが進んでいます。商店街でも気候の安定により人出が増え、買回り需要が回復しつつあることから、消費マインドには一部持ち直しの兆しも見られます。
百貨店業界では、インバウンド需要の回復が売上を支える大きな要因となっています。ある百貨店では円安の影響もあり、インバウンド売上が前年比20%以上増加しました。中国からの来訪客は一時減少したものの、欧米やアジア圏からの旅行客が増加し、全体として売上を押し上げています。近隣の大型病院開業や競合店の閉店によって来客数が前年比5.0%増となった百貨店もあり、地域環境の変化が業績に直結していることが分かります。化粧品売場では来客数が減少しながらも客単価が前年比105%となり、ギフト需要や高級ブランド需要が売上を下支えしています。
飲食やサービス分野でも春の需要回復が確認されています。一般レストランでは3か月前と比較して売上が40%増加しており、企業の中規模宴会が売上維持の中心となっています。通信業界でも引っ越しや新生活需要の影響で、2月から4月にかけて売上が3か月前比120%となる企業もあり、新年度特有の需要が地域経済を支えています。スポーツ施設やレジャー施設でも、株価上昇による資産効果が富裕層消費に影響しているとの声があり、一部では高価格帯の消費も維持されています。
その一方で、一般消費の現場では節約志向がより強まっています。スーパーでは来客数そのものは横ばいで推移しているものの、客単価の低下によって売上減少につながっている店舗が目立っています。値上げが続くなか、消費者はディスカウント商品に購買を集中させ、複数店舗を買い回る動きも増えています。コンビニでも夕方から夜間の来客数が減少しており、値上げによって客単価はやや上昇しているものの、店内調理商品の廃棄が増えるなど、販売数量の減少が課題となっています。生活防衛意識が都市部でも確実に広がっています。
自動車関連でも慎重な消費行動が鮮明になっています。乗用車販売店では前年より来客数は少しずつ増加しているものの、物価上昇や金利上昇の影響で購入決定までの期間が長期化しています。環境性能割の廃止によって販売増加が期待されたものの、新車販売は目標未達となった企業もあり、車両価格の上昇が消費心理に影響していることが分かります。一方で、中古車販売や整備部門は堅調に推移しており、高額な新車購入を避ける消費者の姿勢も読み取れます。
観光や宿泊分野では、明るい材料と不安材料が混在しています。歓迎会需要によってタクシー利用はやや増加しているものの、節約志向の強まりから先行きへの不安も大きくなっています。観光型ホテルでは前年並みの販売量を維持している施設もありますが、都市型ホテルでは中国からの団体客減少や燃油サーチャージ上昇の影響で、予約の伸びが鈍化しています。旅行代理店からも、原油価格の高騰によって海外旅行を控える動きが広がっているとの報告があり、観光需要の回復にはなお不安要素が残っています。
製造業では、近畿地域らしい底堅さと課題の両面が見えています。プラスチック製品製造業では部品不足を見越した駆け込み発注によって受注量が増加しており、生産は維持されています。電気機械器具製造業でも前年に続いて受注は堅調に推移しています。一方で、建設業ではポリ塩化ビニールやプラスチックなどの材料価格が3割以上上昇しており、収益を圧迫しています。輸送業でも受注量が前年比95%まで低下しており、原油価格高騰と流通量減少が企業経営に重くのしかかっています。
雇用市場では、人材不足が続くなかで採用の質が変化しています。民間職業紹介会社では、2028年卒向けインターンシップ広報が活発化しており、5月開催予定の合同企業説明会では大手企業グループによる出展申込みが好調となっています。また、年間を通じて最も人材需要が高まる時期に入り、給与水準も上昇傾向にあるとの報告もありました。一方で、人材派遣業界では採用者数の動きが例年より鈍く、事務職の募集は減少傾向にあります。建設業や医療業界の求人は堅調ですが、時給の停滞による求職者との条件ミスマッチが課題となっています。
職業安定所からは、4月の求人数は前年と同水準、もしくはやや減少との報告がありました。大きな景気悪化には至っていないものの、原材料の仕入れや受注に不安を抱える企業が増えており、新規採用に慎重な姿勢も見られます。卸売、小売業や宿泊、飲食サービス業では前年の特需の反動減による求人減少が目立つ一方、建設業や製造業では下げ止まりの兆しも確認されています。医療福祉分野では一部施設で求人の下方修正も始まっており、有効求人倍率に大きな変化は見られなくても、採用市場の質そのものは変わり始めています。
近畿地域の企業にとって今後重要になるのは、単に求人を出すことではなく、応募したくなる職場であることを数字で示すことです。初任給、昇給率、年間休日、福利厚生、資格取得支援、研修制度、離職率、管理職登用実績など、働く価値を具体的に伝えられる企業ほど選ばれる傾向が強まっています。2026年春の近畿市場では、インバウンド回復や一部消費拡大の追い風がある一方、コスト上昇と採用難が同時進行しており、人材戦略そのものが企業成長を左右する大きな分岐点になりつつあります。
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