2026年5月31日
労務・人事ニュース
甲信越2026年4月 春の求人市場分析、ホテル単価10%上昇と新規求人鈍化が示す有効求人倍率の今後とは
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最終更新: 2026年5月31日 00:34
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最終更新: 2026年5月31日 01:04
景気ウォッチャー調査(令和8年4月調査)― 甲信越(現状)―(内閣府)
2026年4月に公表された甲信越地域の景気動向では、春の行楽需要や新年度需要を背景に一部の観光、宿泊、サービス関連で持ち直しの動きが確認された一方で、物価上昇や原材料価格の高騰、燃料コストの上昇、さらには求人環境の変化が地域経済全体に影響を及ぼしており、企業経営と雇用市場の双方で慎重な判断が求められる状況が続いています。地域の企業現場から寄せられた声を総合すると、売上が伸びている業種と消費の停滞に直面している業種の差が広がりつつあり、とりわけ採用活動や有効求人倍率の変化は、企業の人材戦略に直結する重要なテーマとなっています。
まず明るい材料として注目されたのが観光や人の移動に関わる業種です。遊園地では1か月を通じて週末の天候に恵まれたことに加え、大人数の団体客の来園も重なり、多くの来場者でにぎわいました。都市型ホテルでも前月から好調な流れが続いており、法人利用と個人利用の双方に動きが見られています。特に遠方から人が集まるライブイベントが例年より多かったことが増収につながっており、地域イベントが宿泊需要を下支えしていることが分かります。タクシー業界でも新年度に入り、官公庁や各種団体による会合需要が増えたことで順調な営業が続いています。
コンビニエンスストアでも4月に入り人の動きが活発になったことで売上が増加しており、気温差のある季節特性から温かい商材と冷たい商材の両方が安定して売れているとの報告がありました。新年度特有の移動や生活環境の変化が地域消費を押し上げている様子がうかがえます。一方で、こうした短期的な需要増加が今後も継続するかについては慎重な見方もあり、持続的な消費回復には至っていないとの声も少なくありません。
小売業では、生活必需品に対する支出は維持されているものの、全体として節約志向がより鮮明になっています。百貨店では食品催事や生活雑貨、新生活向けの寝具やインテリア関連は堅調に推移しているものの、原油価格の上昇や材料価格高騰の影響により、食品総菜や化粧品といった日常利用商材は軟調となっています。スーパーでも値上げを実施しているにもかかわらず、1品単価の伸びは鈍く、消費者の低価格志向が強まっていることが指摘されています。
地域のスーパーの中には前年比で売上が8%減少し、来客数が11%減少した店舗もありました。新規大型店の出店による競争激化も影響しているものの、物価上昇を背景とした消費者の買い回り行動やまとめ買い、夜間の値引き商品を狙った購買行動が以前より顕著になっているとの報告もあります。消費者が支出総額を抑えながら、より効率的な買物を行う傾向が定着し始めていることが分かります。
外食や観光業では厳しさも目立っています。高級レストランでは物価高騰や先行き不安を背景に、外食そのものを控える動きが広がっているとの声がありました。観光型旅館では、例年新年度に多かった地元企業や団体による会議、宴会、同窓会などの需要が前年の半分程度まで落ち込んでいるとの報告もあります。首都圏からの旅行客も連休が5月に集中している影響で4月の需要が伸び悩み、旅行代理店からも遠出を避け、安く近く短時間で楽しめる消費スタイルが強まっているとの指摘が出ています。
自動車関連でも消費者心理の変化が表れています。乗用車販売店からは、物価高への懸念から新車購入をためらうケースが増えているとの報告がありました。さらに、購入を希望する車種がオーダーストップとなっているケースや、エンジンオイルなど油脂関連の入荷停止がサービス部門にも悪影響を及ぼしているとの声も出ています。耐久消費財への支出は慎重になっており、家計防衛意識が高まるなかで大きな買物を控える傾向が広がっています。
企業活動では、製造業における受注環境にも変化が見られます。窯業や土石製品製造業では特注品の受注対応が続いている一方、電気機械器具製造業では受注量が減少しており、新規案件、既存案件の双方で材料入荷の遅延が発生しています。原材料の確保に不安を抱える企業も増えており、受注機会があっても生産体制が追い付かない状況が一部で発生しています。建設業でも材料単価の上昇や品不足が続いており、受注そのものが減少しているとの声が寄せられています。
こうした経済環境の変化は雇用市場にも影響を与えています。甲信越地域の人材派遣会社からは、新卒採用が計画どおり進まず、通年採用へ切り替える企業が増えているとの報告がありました。また、退職者が多く、各企業が人材確保に苦労している状況も明らかになっています。必要な人員を新卒だけで確保できないことから、中途採用や経験者採用へのシフトが進んでおり、採用戦略の見直しが急速に進んでいます。
職業安定所のデータでは、2026年3月時点の有効求人倍率は1.28倍となり、前年同月比で0.04ポイント低下しました。月間有効求人倍率が前年同月を下回るのは23か月連続となっており、地域の雇用環境に変化が生じていることが数字でも確認されています。民間職業紹介機関からは、派遣やパート以外の新規求人が鈍化し始めているとの報告もあり、正社員採用を含めた採用意欲に慎重な姿勢が広がり始めています。
採用担当者にとって今後重要になるのは、単純に求人を出すだけではなく、どのような働き方ができるのか、どのような成長機会があるのかを具体的な数字と実績で伝えることです。人材獲得競争が続く一方で、有効求人倍率は低下傾向にあり、応募者も企業を厳しく選ぶ時代に入っています。給与水準、昇給率、福利厚生、研修制度、定着率、キャリアパスといった具体的な情報を明確に発信できる企業ほど選ばれやすくなっており、甲信越の2026年春は採用力そのものが企業競争力を左右する重要な転換点になりつつあります。
⇒ 詳しくは内閣府のWEBサイトへ


