2026年6月24日
労務・人事ニュース
2026年4月鳥取県の有効求人倍率1.26倍で中小企業はどう採用を進めるべきか
2026年4月鳥取県の有効求人倍率1.26倍と正社員有効求人倍率1.05倍
鳥取労働局が2026年5月29日に公表した2026年4月の雇用情勢によると、鳥取県の有効求人倍率は季節調整値で1.26倍となり、前月を0.01ポイント上回った。これで2か月連続の上昇となる。有効求人数は12,130人で前月比2.8%増、有効求職者数は9,642人で前月比2.4%増となった。新規求人倍率も2.36倍となり、前月を0.08ポイント上回って2か月連続で上昇している。新規求人数は4,666人で前月比6.0%増、新規求職者数は1,978人で前月比2.4%増となった。鳥取労働局は県内の雇用情勢について、改善の動きが弱まっているとしながらも、物価上昇などの影響に十分注意する必要があるとの見方を示している。
有効求人倍率1.26倍という水準は、求職者1人に対して1.26件の求人があることを意味する。全国の有効求人倍率1.18倍を上回っており、鳥取県では引き続き求人が求職を上回る状況が続いている。企業の採用担当者にとっては、人材確保が容易な市場ではないことを示す数字である。一方で、倍率は高水準を維持しているものの、以前のような急激な人手不足局面とは異なり、求人と求職のバランスに変化が見え始めている点にも注目したい。
有効求人数は前月より331人増加し12,130人となったが、有効求職者数も224人増加して9,642人となった。求人側だけでなく求職側も増えているため、企業にとっては応募獲得の可能性が広がる局面でもある。しかし、単純に応募者数が増えれば採用が成功するわけではない。求職者は複数の求人を比較検討しており、企業の魅力や労働条件、将来性などを総合的に評価して応募先を選択している。
新規求人倍率2.36倍という数字も重要な意味を持つ。新たに発生した求人と新たに求職活動を開始した人を比較した場合、依然として求人のほうが大幅に多い状態である。これは企業の採用意欲が依然として高いことを示している。しかし、採用担当者は求人を出すだけでは人材を確保できない時代に入っている。特に地方企業では、都市部企業との人材獲得競争も意識しなければならない。
業種別の新規求人動向を見ると、業界ごとの採用環境の違いが鮮明になっている。建設業は529人で前年同月比14.0%増、製造業は516人で14.2%増となった。インフラ整備や設備投資、人手不足への対応を背景に採用需要が拡大していると考えられる。医療・福祉も1,042人で8.9%増となり、引き続き高い人材需要を維持している。
一方で、卸売業・小売業は546人で17.9%減、宿泊業・飲食サービス業は342人で18.0%減、サービス業は496人で17.7%減となった。これらの業種では物価上昇やコスト増加、人件費負担の上昇などを背景に、採用計画を慎重に見直している企業が増えている可能性がある。
ただし、求人が減少している業種でも人材不足が解消されたわけではない。企業によっては採用人数を絞りながらも、より専門性の高い人材や即戦力人材の確保に重点を移している場合もある。採用担当者は業界全体の求人件数だけではなく、競合他社がどのような採用条件を提示しているかを分析する必要がある。
医療・福祉分野の有効求人数は2,509人と非常に高い水準にある。鳥取県の高齢化の進展を考慮すると、この分野の人材需要は今後も継続する可能性が高い。介護職や看護職だけでなく、関連する事務職や支援職種の需要も高まることが予想される。
求職者側の動向にも注目したい。2026年4月の新規求職者数は2,899人で前年同月比2.6%増となった。有効求職者数も10,396人で前年同月比1.2%増加している。求職活動を行う人が増えていることは、企業にとって採用機会の拡大を意味する。
特に注目すべきなのは離職者の増加である。常用新規求職者のうち離職者は2,027人で前年同月比2.9%増となった。さらに事業主都合離職者は703人で11.8%増、自己都合離職者は1,206人で5.5%増となっている。この数字は転職市場に流入する人材が増えていることを示している。
中小企業の採用担当者にとって、この状況は見逃せない。これまで採用市場に現れなかった経験者人材が増えている可能性があり、即戦力採用のチャンスが広がっている。特に事業主都合離職者の増加は、企業再編や経営環境の変化によって優秀な人材が市場に出ていることを意味する場合もある。
一方で在職者は640人で前年同月比1.9%増となっている。現在働きながら転職を検討している人も増えている状況であり、企業は転職潜在層へのアプローチも重要になる。求人票だけではなく、自社ホームページや採用サイト、SNSなどを通じた情報発信の重要性がさらに高まっている。
正社員市場の動向を見ると、正社員有効求人倍率は1.05倍となった。前年同月比では0.03ポイント低下し、4か月連続で前年同月を下回っている。正社員有効求人数は6,326人で前年同月比3.5%減、有効求職者数は6,028人で前年同月比1.1%減となった。
この数字は正社員市場でも求人が求職を上回っていることを示しているが、以前と比較すると企業側の採用環境はやや落ち着きを見せている。しかし1.05倍という倍率は依然として人材獲得競争が存在する水準であり、優秀な人材を確保するためには差別化が必要である。
企業の採用担当者は有効求人倍率だけに注目するのではなく、就職率や充足率にも目を向けるべきである。4月の就職率は26.9%、充足率は16.2%となった。求人を出しても実際に採用へ結び付く割合は決して高くない。採用活動の成果を高めるためには、応募者との接点を増やし、選考スピードを改善することが重要になる。
鳥取県の就業地別有効求人倍率は1.40倍となった。これは受理地別の1.26倍を大きく上回る数字である。実際に鳥取県内で働く求人を基準とすると、人材不足感はさらに強いことが分かる。就業地別有効求人数は13,534人で、有効求職者数9,642人を大きく上回っている。
この数字から見えてくるのは、県内企業同士だけではなく県外企業との競争も激しくなっているという現実である。特にリモートワークの普及によって、鳥取県在住者が県外企業へ就職するケースも増えている可能性がある。そのため中小企業は地域密着型企業としての強みを積極的に打ち出す必要がある。
採用担当者が今後重視すべきなのは、給与水準だけではない。働きやすさや成長機会、柔軟な勤務制度、教育研修制度など、求職者が重視する項目は多様化している。特に若年層ではワークライフバランスや職場環境を重視する傾向が強い。
また、採用後の定着率向上も重要な課題である。求人倍率が高い環境では、一度採用した人材が短期間で離職すると企業への影響は大きい。定期的な面談やキャリア支援制度、職場コミュニケーションの改善など、働き続けやすい環境づくりが求められる。
さらに鳥取県のような地方では、若年層採用だけに依存しない採用戦略も必要になる。40代や50代の経験者採用、女性の再就職支援、高齢者雇用、副業・兼業人材の活用など、多様な人材確保策を検討することが重要である。
2026年4月の鳥取県の雇用統計は、有効求人倍率1.26倍という高水準を維持しながらも、求職者数の増加や業種別の採用動向の変化など、新たな局面に入っていることを示している。中小企業の採用担当者は単に求人を出すだけではなく、自社の魅力を分かりやすく発信し、応募者との接点を増やし、採用後の定着まで見据えた総合的な採用戦略を構築することが重要になる。今後も物価上昇や景気動向の影響を受けながら雇用市場は変化していく可能性があるため、最新の雇用統計を継続的に確認しながら柔軟な採用活動を進めることが求められる。
⇒ 詳しくは鳥取労働局のWEBサイトへ


