2026年7月26日
労務・人事ニュース
富山県の令和8年5月有効求人倍率1.46倍、全国4位の採用市場で企業が見るべき点
富山県の令和8年5月有効求人倍率1.46倍と新規求人12.0%減の影響
令和8年6月30日、富山労働局は令和8年5月分の富山労働市場ニュースを公表しました。富山県の有効求人倍率は受理地別の季節調整値で1.46倍となり、前月の1.48倍から0.02ポイント低下しました。2か月ぶりの低下ですが、全国平均の1.17倍を大きく上回っており、都道府県別では東京都、福井県、島根県に続き、岐阜県と並んで全国4位の高い水準です。新規求人倍率は2.28倍で、前月の2.40倍から0.12ポイント低下し、2か月連続の低下となりました。雇用情勢については、求人が求職を上回って推移している一方で、物価上昇や中東情勢などが雇用に与える影響に引き続き注意が必要とされています。中小企業の採用担当者は、この1.46倍という数字を「人材不足が続く厳しい市場」と見るだけでなく、「求人が減り、求職者も減る中で、限られた人材にどのように選ばれるかが問われる市場」として読み解く必要があります。
令和8年5月の有効求人数は季節調整値で21,570人となり、前月より1.0%減少しました。2か月ぶりの減少です。一方、有効求職者数は14,820人で前月より0.4%増加し、こちらは2か月ぶりに増加しました。求人が減り、求職者が増えたことで、有効求人倍率は前月から低下しました。ただし、倍率が下がったとはいえ1.46倍という水準は、求職者1人に対して求人が1件を大きく上回る状態を示しています。中小企業にとっては、求人を出せば自然に応募が集まる環境ではありません。求職者は、給与、休日、勤務時間、仕事内容、通勤しやすさ、職場の雰囲気、将来の働き方を比較しながら応募先を選びます。とくに富山県のように求人倍率が全国上位にある地域では、求人票の内容が曖昧な企業ほど、応募前の比較段階で候補から外れやすくなります。
原数値で見ると、令和8年5月の有効求人数は21,234人で、前年同月比5.2%減少しました。7か月連続の減少です。有効求職者数は15,505人で、前年同月比5.0%減少し、22か月連続で前年を下回りました。求人も求職者も前年より減っているため、採用市場全体の動きは活発化しているとはいえません。企業側は採用に慎重になり、求職者側も転職や再就職に対して慎重になっている可能性があります。採用担当者は、求人倍率の高さだけでなく、求職者数そのものが減っていることに注意するべきです。応募者が限られる市場では、求人掲載の量を増やすだけでは成果につながりにくく、求人内容の具体性、応募後の連絡速度、選考中の丁寧な対応が採用結果を左右します。
新規求人の動きも、採用担当者が重視すべきポイントです。令和8年5月の新規求人数は季節調整値で7,627人となり、前月より1.6%減少しました。新規求職者数は3,345人で、前月より3.6%増加しています。新たに出された求人が減り、新たに仕事を探し始めた人が増えたため、新規求人倍率は2.28倍に低下しました。原数値では、新規求人数が6,905人で前年同月比12.0%減少し、5か月連続で前年を下回っています。新規求職者数も3,087人で前年同月比7.5%減少し、3か月連続の減少となりました。直近で採用を始める企業の求人は減っていますが、求職者も減っているため、採用が簡単になるとは限りません。むしろ、少ない求職者に対して複数の企業が接点を持とうとするため、応募者対応の遅れは大きな機会損失になります。
産業別の新規求人を見ると、令和8年5月は建設業が903人で前年同月比11.2%増加しました。総合工事業も510人で14.6%増となっており、建設関連の人材需要は強まっています。一方で、製造業は1,135人で前年同月比10.8%減、運輸業、郵便業は381人で18.4%減、卸売業、小売業は1,268人で8.2%減、宿泊業、飲食サービス業は270人で36.0%減、医療、福祉は1,467人で15.5%減、サービス業は606人で20.6%減となりました。情報通信業は109人で39.7%増、教育、学習支援業は120人で13.2%増となっています。業種によって求人の出方に大きな差があるため、県全体の有効求人倍率1.46倍だけで採用の難しさを判断するのは危険です。自社の業種、職種、勤務地に近いデータを見ながら、求人条件を整えることが重要になります。
建設業で求人が増えていることは、採用競争が強まりやすいことを意味します。中小建設業が人材を確保するには、給与や資格の有無だけでなく、現場の種類、作業内容、安全管理、資格取得支援、雨天時や冬季の働き方、直行直帰の可否、未経験者への教育体制を具体的に示す必要があります。製造業では全体として求人が減っていますが、印刷・同関連業は151.0%増、パルプ・紙・紙加工品製造業は41.4%増、非鉄金属製造業は50.0%増、はん用機械器具製造業は14.5%増、生産用機械器具製造業は5.5%増となるなど、分野ごとに差があります。製造職を募集する企業は、「工場作業」や「製造スタッフ」といった一般的な表現だけでは不十分です。扱う製品、担当工程、機械操作の有無、必要な資格、研修期間、安全教育、交替勤務や残業の実態を具体化することで、応募者は入社後をイメージしやすくなります。
医療、福祉は前年同月比15.5%減となりましたが、新規求人数は1,467人で、富山県内の主要な求人分野であることに変わりはありません。医療業は421人で9.1%減、社会保険・社会福祉・介護事業は1,030人で18.6%減となっています。求人が減っているからといって、人手不足が解消したとは限りません。医療、介護、福祉の現場では、勤務体制、夜勤の有無、利用者や患者への対応内容、教育担当者、資格取得支援、職員同士の連携、身体的負担への配慮が応募判断に大きく関わります。未経験者やブランクのある人を採用したい場合は、最初に任せる業務や研修の流れを明確にすることが必要です。応募者が不安に感じやすい点を先回りして伝えることが、信頼される求人につながります。
求職者側の動きでは、常用の新規求職者が3,071人となり、前年同月比7.6%減少しました。年齢別では24歳以下が212人で12.8%減、25歳から34歳が465人で18.8%減、35歳から44歳が489人で8.4%減、45歳から59歳が886人で6.4%減、60歳以上が1,019人で0.8%減となっています。若年層から中堅層まで幅広く新規求職者が減っている一方、60歳以上の減少幅は小さく、求職者全体の中で存在感があります。中小企業は若手だけに採用対象を絞るのではなく、経験豊富な人材を短時間勤務や補助業務、教育係、顧客対応、現場支援などで活用できないかを検討する価値があります。人手不足が続く中では、業務を分解し、年齢や勤務可能時間に応じて任せられる仕事を整理することが重要です。
態様別では、在職求職者が950人で前年同月比11.4%減少し、3か月連続で減りました。自己都合離職者は1,334人で3.5%減、事業主都合等離職者は389人で4.2%減、定年等離職者は122人で1.6%減、無業者は229人で22.4%減となっています。在職中に転職活動を始める人が減っていることは、経験者採用を考える中小企業にとって大きな課題です。在職者は現在の職場と比較しながら応募先を選ぶため、「今の会社を辞めてまで応募する理由」がなければ動きません。給与だけでなく、残業の少なさ、休日の取りやすさ、通勤しやすさ、職場の人間関係、評価制度、仕事の裁量、地域で長く働ける安心感を求人情報に落とし込む必要があります。
正社員採用については、富山県は全国的に見ても強い求人需要を維持しています。令和8年5月の正社員有効求人倍率は原数値で1.49倍となり、前年同月より0.05ポイント上昇しました。19か月連続で前年同月を上回っています。正社員の有効求人数は12,155人で前年同月比3.4%減少し、3か月連続で減少しました。一方、常用フルタイムの有効求職者数は8,135人で前年同月比7.1%減少しています。正社員求人も減っていますが、求職者の減少幅が大きいため、倍率は高い水準を保っています。正社員の就職件数は392件で前年同月比24.6%減となっており、求人と求職者の条件がうまく合っていない可能性もあります。正社員募集では、雇用の安定を示すだけでなく、入社後の仕事内容、教育体制、昇給や賞与の考え方、残業時間、休日、転勤の有無を丁寧に伝えることが欠かせません。
令和8年5月の富山県の雇用情勢から、中小企業の採用担当者が取るべき方向性は明確です。有効求人倍率1.46倍は全国平均を大きく上回り、求人が求職を上回る状態が続いています。一方で、新規求人数は前年同月比12.0%減、有効求人数も7か月連続で減少し、求職者数も減っています。採用市場は単純な売り手市場でも買い手市場でもなく、企業と求職者の条件が合うかどうかがより重要になっています。採用担当者は、必須条件と歓迎条件を分け、未経験者を育成できる業務、短時間勤務でも任せられる業務、シニア人材が活躍できる業務を整理するべきです。求人票では、仕事内容、給与、休日、残業、教育体制、職場環境、選考の流れを具体的に示し、応募後は速やかに連絡することが採用成功につながります。人手不足が続く中、求人募集では掲載媒体の選定だけでなく、応募者管理や採用業務の効率化も重要になっています。採用活動をより円滑に進めたい企業の方は、日本全国どこでも対応可能な採用サイト(ATS)の取り扱いにも対応している当社までご相談ください。
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