2026年7月28日
労務・人事ニュース
沖縄県で令和8年5月の有効求人倍率1.11倍、正社員0.74倍から読む人材確保
沖縄県の令和8年5月有効求人倍率1.11倍と有効求人31か月連続減少の意味
令和8年6月30日、沖縄労働局は令和8年5月分の「労働市場の動き」を公表しました。沖縄県の雇用情勢については、一部で堅調な動きがみられるものの、求人の動きに落ち着きがみられ、引き続き物価上昇等が雇用に与える影響に注視する必要があるとされています。令和8年5月の有効求人倍率は、就業地別の季節調整値で1.11倍となり、前月より0.01ポイント低下しました。全国の有効求人倍率は1.17倍であり、沖縄県は全国を0.06ポイント下回っています。求人が求職を上回る状態は続いているものの、全国平均と比べるとやや低い水準であり、採用市場は強い人手不足感と、求人の減少傾向が同時に見られる状況です。中小企業の採用担当者は、この1.11倍という数字を「求人の方が多い」とだけ見るのではなく、職種、地域、雇用形態によって採用の難しさが大きく変わる市場として読み解くことが重要です。
令和8年5月の月間有効求人数は季節調整値で29,354人となり、前月比0.2%増、45人増となりました。一方、月間有効求職者数は26,390人で、前月比1.0%増、263人増となっています。求人も求職者も増えていますが、求職者の増加幅が求人の増加幅を上回ったため、有効求人倍率は前月より低下しました。原数値で見ると、月間有効求人数は27,983人で前年同月比5.1%減、1,519人減となり、31か月連続で減少しています。求人が長期的に減っていることは、企業側が採用人数や募集時期を慎重に見直している可能性を示します。ただし、求人が減っているからといって、採用が簡単になるわけではありません。求職者は給与、休日、勤務時間、勤務地、仕事内容、職場環境、教育体制を比較しながら応募先を選んでいます。求人票の情報が少ない企業は、実際には働きやすい職場であっても、応募前の比較段階で候補から外れてしまうことがあります。
新規求人倍率は季節調整値で1.84倍となり、前月より0.05ポイント低下しました。新規求人数は季節調整値で9,913人となり、前月比6.6%減、697人減です。新規求職申込件数も5,388件で、前月比3.9%減、218件減となりました。新たに出される求人も、新たに仕事を探し始める人も減っていますが、新規求人倍率は1.84倍であり、直近で採用を始める企業にとっては、応募者との接点づくりが引き続き重要な状況です。中小企業では、採用担当者が総務や現場業務を兼ねていることも多く、応募後の初回連絡が遅れやすくなります。しかし、求職者は複数の求人を同時に比較しています。初回連絡、面接日程の提示、選考結果の案内が遅れるほど、候補者が他社へ流れる可能性は高まります。求人を出す前に、応募受付後の連絡担当、面接候補日、選考結果の通知期限を決めておくことが大切です。
新規求人数を原数値で見ると、令和8年5月は9,122人で前年同月比10.5%減、1,065人減となり、13か月連続で減少しました。主要産業別では、運輸業・郵便業が545人で前年同月比14.7%増、製造業が372人で3.0%増、情報通信業が369人で7.9%増となっています。一方、生活関連サービス業・娯楽業は229人で42.2%減、卸売業・小売業は844人で29.8%減、宿泊業・飲食サービス業は797人で20.6%減、サービス業は1,058人で15.5%減、医療・福祉は3,137人で3.3%減となりました。全体では求人が減少していますが、業種によって動きは大きく異なります。採用担当者は、県全体の有効求人倍率だけで判断せず、自社が属する業界や募集職種に近い求人動向を確認する必要があります。
運輸業・郵便業は前年同月比14.7%増となり、採用需要の強さが見られます。物流や配送関連の求人では、給与だけでなく、配送エリア、勤務時間、必要な免許、車両の種類、積み下ろし作業の有無、安全管理、同乗研修の有無が応募判断に大きく関わります。単に「ドライバー募集」と書くだけでは、求職者は仕事の負担や働き方を判断できません。1日の流れ、走行距離、荷物の重さ、休憩の取り方、未経験者への指導体制を具体的に示すことで、応募者は安心して検討しやすくなります。採用競争が強い職種ほど、仕事の厳しさを隠すのではなく、支援体制や働き続けられる工夫を誠実に伝えることが信頼につながります。
宿泊業・飲食サービス業は前年同月比20.6%減となりました。沖縄県では観光関連産業が地域経済と雇用に与える影響が大きく、求人が減っているからといって現場の人手不足が解消されたとは限りません。人件費や原材料費、光熱費などの上昇を受け、採用人数や募集時期を慎重に調整している企業もあると考えられます。ホテルや飲食店が求人を出す場合は、時給や月給だけでなく、シフトの柔軟性、土日勤務の頻度、繁忙期の働き方、接客範囲、まかない、研修制度、急な休みへの対応を具体的に示すことが重要です。求職者は「働けるか」だけでなく、「続けられるか」を見ています。応募者が生活と両立できる働き方を想像できる求人ほど、応募につながりやすくなります。
医療・福祉は新規求人数が3,137人で、主要産業の中で最も大きな求人規模を維持しています。前年同月比では3.3%減ですが、介護、看護補助、医療補助などの分野では人材需要が続いていると考えられます。医療・福祉の採用では、資格や経験の有無だけでなく、夜勤の有無、勤務体制、利用者や患者への対応内容、教育担当者、資格取得支援、身体的負担への配慮、職員同士の連携が応募判断に直結します。求人票に「未経験歓迎」や「ブランク可」と書くだけでは十分ではありません。入職後にどの業務から始めるのか、誰に相談できるのか、研修期間はどの程度かを明記することで、応募者は安心して検討しやすくなります。
ハローワーク別の有効求人倍率を見ると、令和8年5月の原数値では、那覇が1.02倍、沖縄が0.87倍、名護が1.27倍、宮古が2.02倍、八重山が1.46倍となっています。前年同月と比べると、那覇は0.02ポイント上昇、沖縄も0.02ポイント上昇、名護は同水準、宮古は0.12ポイント上昇、八重山は0.18ポイント低下しました。沖縄県全体では1.11倍ですが、地域によって採用環境は大きく異なります。宮古は2.02倍と高く、限られた求職者を複数の企業が取り合う状況が想定されます。一方、沖縄所管内は0.87倍で1倍を下回っていますが、職種や勤務条件が合わなければ採用には結びつきません。勤務地、車通勤の可否、駐車場、勤務開始時間、転勤の有無、家庭との両立のしやすさを求人票に具体的に書くことが重要です。
正社員有効求人倍率は原数値で0.74倍となり、前年同月と同水準でした。正社員有効求人数は12,187人で前年同月比3.8%減、482人減となり、6か月連続で減少しています。正社員新規求人数は3,985人で前年同月比10.3%減、456人減となり、2か月連続で減少しました。新規求人数に占める正社員求人の割合は43.7%で、前年同月を0.1ポイント上回っています。正社員求人は求職者を下回る水準ですが、企業が簡単に採用できるという意味ではありません。求職者は正社員という雇用形態だけで応募を決めるのではなく、給与、昇給、賞与、休日、残業、転勤の有無、評価制度、教育体制、職場の人間関係を総合的に見ています。中小企業が正社員を募集する場合は、安定雇用に加えて、入社後に任せる仕事や成長の見通しを丁寧に伝える必要があります。
求職者側の動きを見ると、月間有効求職者数は原数値で27,240人となり、前年同月比6.6%減、1,919人減で20か月連続の減少となりました。新規求職申込件数は5,196件で前年同月比8.2%減、466件減となり、6か月ぶりの減少です。就業・不就業の状態別では、在職者が4,009人で9.8%減、離職者が19,373人で5.0%減、無業者が3,858人で10.7%減となりました。離職者のうち、事業主都合は5,093人で8.3%減、自己都合は13,200人で3.3%減です。求職者そのものが減っているため、経験者採用を考える企業は、求人を出して待つだけでは十分な応募母集団を作りにくくなっています。在職者に応募してもらうには、今の職場と比較しても魅力を感じられる情報が必要です。残業の少なさ、休日の取りやすさ、通勤しやすさ、仕事の裁量、地域で長く働ける安心感は、中小企業にとって大きな訴求材料になります。
令和8年5月の沖縄県の雇用情勢から、中小企業の採用担当者が取るべき方向性は明確です。有効求人倍率1.11倍は求人が求職を上回る市場を示していますが、求人は31か月連続、新規求人は13か月連続で前年同月を下回っています。一方で、新規求人倍率は1.84倍であり、直近の採用競争は続いています。採用担当者は、必須条件と歓迎条件を分け、未経験者を育成できる業務、短時間勤務でも任せられる業務、シニア人材やブランクのある人が活躍できる業務を整理することが大切です。求人票では、仕事内容、給与、休日、残業、教育体制、職場環境、選考の流れを具体的に示し、応募後は迅速に連絡することが採用成功につながります。人手不足が続く中、求人募集では掲載媒体の選定だけでなく、応募者管理や採用業務の効率化も重要になっています。採用活動をより円滑に進めたい企業の方は、日本全国どこでも対応可能な採用サイト(ATS)の取り扱いにも対応している当社までご相談ください。
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