2026年6月23日
労務・人事ニュース
2026年4月大阪府の有効求人倍率1.12倍 中小企業が採用成功率を高める方法
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2026年4月大阪府の有効求人倍率1.12倍 建設業求人4434人の採用動向
大阪労働局が2026年5月28日に公表した2026年4月の大阪労働市場ニュースによると、大阪府の有効求人倍率は季節調整値で1.12倍となり、前月と同水準を維持した。一方で大阪労働局は現下の雇用失業情勢について「改善の動きが弱まっている」との認識を示しており、企業の採用活動においてはこれまで以上に市場環境を正確に読み取ることが求められている。
有効求人倍率1.12倍という数字は、求職者1人に対して1.12件の求人が存在している状態を意味する。全国平均の1.18倍を下回るものの、依然として求人が求職者を上回る売り手市場が続いている状況である。ただし、単純に人手不足が続いていると理解するだけでは不十分だ。今回の統計には、企業の採用担当者が今後の採用戦略を考える上で重要な変化が数多く含まれている。
2026年4月の有効求人数は176,075人となり、前月比0.2%増加した。15か月ぶりの増加である。一方、有効求職者数は157,819人となり前月比0.9%増加した。求人も求職者も増えているが、求職者の増加ペースが上回っていることが特徴だ。その結果として有効求人倍率は前月と同じ1.12倍にとどまった。
新規求人倍率は2.26倍となり、前月の2.34倍から0.08ポイント低下した。新規求人数は61,460人で前月比0.4%減少し、新規求職申込件数は27,226件で前月比3.2%増加した。企業側の新規採用意欲がやや鈍化する一方で、求職活動を始める人は増えていることが分かる。
企業の採用担当者にとって重要なのは、求人倍率が高いか低いかだけではなく、その背景にある需給バランスの変化を把握することである。今回のデータでは、有効求人倍率は維持されたものの、新規求人倍率が低下している。これは企業側が採用計画を慎重に見直し始めている可能性を示している。
産業別の新規求人動向を見ると、その傾向はさらに明確になる。2026年4月の新規求人数は61,896人で前年同月比6.1%減少し、10か月連続の減少となった。全体として採用需要が縮小していることが確認できる。
業種別では建設業が4,434人で前年同月比2.8%増加した。教育・学習支援業も948人で前年同月比22.5%増加し、医療・福祉は19,879人で前年同月比3.6%増加している。特に医療・福祉分野は全産業の中でも圧倒的な求人規模を維持しており、大阪府の雇用市場を支える中心的な存在となっている。
一方で減少業種は非常に多い。製造業は4,272人で前年同月比4.6%減少し、10か月連続の減少となった。情報通信業は2,359人で前年同月比10.8%減少し、16か月連続の減少となっている。運輸業・郵便業は4,463人で前年同月比15.0%減少、卸売業・小売業は5,351人で前年同月比5.7%減少、学術研究・専門技術サービス業は2,371人で前年同月比2.8%減少となった。
さらに宿泊業・飲食サービス業は5,417人で前年同月比17.2%減少している。大阪府は国内外から多くの観光客が訪れる地域であり、観光関連需要は高い。しかし人件費上昇や業務効率化への取り組みなどを背景に、採用計画を見直す企業が増えている可能性が考えられる。
企業規模別のデータも興味深い。29人以下の企業は13,617人で前年同月比12.2%減少した。500人から999人規模の企業も前年同月比10.2%減少、1,000人以上の大企業も前年同月比8.7%減少となっている。一方で30人から99人規模の企業は0.8%増加している。
この結果から読み取れるのは、多くの企業が採用に慎重な姿勢を見せるなかでも、中堅企業層は比較的積極的な採用活動を継続しているという点である。中小企業の採用担当者は、このような競争環境の変化を理解した上で採用戦略を構築する必要がある。
求職者側の動向を見ると、新規求職申込件数は36,714件で前年同月比5.0%増加し、5か月連続の増加となった。採用市場に流入する人材は確実に増えている。
特に注目すべきなのは離職者の増加である。離職者は27,662人で前年同月比6.7%増加した。その内訳を見ると、事業主都合離職者は8,089人で前年同月比14.0%増加している。自己都合離職者も16,729人で前年同月比3.4%増加した。
この数字は企業の採用担当者にとって大きな意味を持つ。転職市場に経験者人材が増加しているため、中途採用を強化する好機が到来していると考えられるからだ。特に自己都合離職者は、自らの意思でより良い職場環境や待遇を求めて転職活動を行うケースが多い。そのため給与だけではなく、働き方や成長機会、企業文化などが応募判断の重要な材料になる。
年齢別では55歳以上の求職者が16,351件で前年同月比7.4%増加した。25歳から34歳も6,852件で前年同月比5.6%増加している。若手人材とシニア人材の双方が増加していることから、企業は従来の採用対象に限定せず、多様な人材活用を検討することが重要になっている。
正社員市場の状況も見逃せない。2026年4月の正社員有効求人倍率は0.88倍となった。前年同月から0.07ポイント低下している。正社員有効求人数は88,561人で前年同月比4.3%減少した一方、正社員有効求職者数は100,456人で前年同月比2.8%増加した。
この数字は正社員採用市場に変化が生じていることを示している。これまで深刻な人材不足に悩んでいた企業にとっては、正社員採用のチャンスが広がっているとも言える。ただし、単に応募者が増えるから採用しやすくなるわけではない。求職者は複数企業を比較検討するため、自社の魅力を明確に伝えられる企業とそうでない企業との差は今後さらに広がる可能性が高い。
職業別の有効求人倍率を見ると、人材不足の深刻さがよく分かる。建設・採掘職は5.05倍、介護関連職は4.15倍、保安職は4.11倍となった。求職者1人に対して4件から5件以上の求人が存在する計算であり、人材獲得競争は極めて激しい。
サービス職は2.83倍、輸送・機械運転職は2.25倍、専門技術職は1.55倍となっている。一方で事務職は0.34倍であり、求職者数が求人を大きく上回っている。企業の採用担当者は職種ごとの需給状況を理解し、職種別に採用戦略を変える必要がある。
例えば事務職では応募者が集まりやすいため選考精度を高めることが重要になる。一方で建設職や介護職では応募獲得そのものが課題であり、採用広報や職場環境改善、待遇改善などが優先課題となる。
雇用保険関連のデータも現在の雇用市場を理解するうえで参考になる。2026年4月末時点の適用事業所数は191,369事業所で前年同月比0.7%増加した。被保険者数は3,829,556人で前年同月比1.4%増加し、47か月連続で増加している。
一方で受給資格決定件数は13,635件で前年同月比5.6%増加し、受給者実人員も33,805人で前年同月比20.1%増加した。失業給付を受給する人が増加していることは、人材流動化が進んでいることを示している。
中小企業の採用担当者は、この大阪府の有効求人倍率1.12倍をどのように活用すべきだろうか。私自身は、これまでのような求人広告中心の採用活動だけでは成果が出にくくなっていると考える。求人倍率は依然として1倍を超えており、人材獲得競争は続いている。しかし求職者数は増加しており、企業側には新たな採用機会も生まれている。
重要なのは、自社を選ぶ理由を明確に伝えることである。給与や休日数だけでは差別化が難しい時代になった。教育制度、評価制度、キャリアパス、職場環境、経営理念、社員の成長事例などを具体的に発信することが求められる。
また離職者の増加は転職市場の拡大を意味する。即戦力採用の機会が増えている一方で、採用後の定着施策も重要になる。採用成功とは入社までではなく、長期的に活躍してもらうことまで含まれる。面接段階から仕事内容や期待役割を丁寧に説明し、入社後のギャップを減らす取り組みが欠かせない。
大阪府の2026年4月有効求人倍率は1.12倍となり、前月と同水準を維持した。しかしその内側では求人減少と求職者増加という変化が進んでいる。採用担当者にとっては、人材不足だけを見るのではなく、転職市場の拡大や求職者ニーズの変化を的確に捉えることが重要である。今後の採用活動では、単なる募集から企業価値を伝える採用へと発想を転換できる企業が、人材獲得競争を優位に進めていくことになるだろう。
⇒ 詳しくは大阪労働局のWEBサイトへ


