2026年7月19日
労務・人事ニュース
2026年6月公表で価格転嫁率54.2%、価格交渉実施率90.7%となった最新調査から中小企業の取引実態を詳しく解説
価格交渉促進月間(2026年3月)フォローアップ調査の結果を公表します(経産省)
2026年6月26日、価格交渉促進月間として実施された2026年3月時点のフォローアップ調査の結果が公表されました。今回の調査では、受注側の中小企業300,000社を対象に価格交渉や価格転嫁、支払条件などの状況を確認しており、価格転嫁率は前回より約1ポイント上昇し54.2%となりました。一方で、官公需における価格転嫁率は48.4%となり、前回から約4ポイント低下しています。
価格転嫁とは、原材料費や人件費、エネルギーコストなどの上昇分を製品やサービスの価格へ反映することを指します。その前提となる価格交渉は、発注側と受注側の双方が適切な取引を行うために重要な役割を担っています。価格改定を4月と10月に実施する企業が比較的多いことから、毎年3月と9月が価格交渉促進月間に設定され、価格交渉や価格転嫁の促進に向けた取組が進められています。
今回のアンケート調査は、2026年4月20日から6月3日にかけて実施されました。対象となった300,000社のうち69,625社から回答が寄せられ、回答内容から延べ91,233社の発注側企業に関する状況が集計されています。調査では価格交渉や価格転嫁の実施状況に加え、業種別や都道府県別の価格転嫁率、支払条件、官公需での取引状況など幅広い項目が確認されました。
調査結果によると、「価格交渉が行われた」と回答した割合は90.7%となり、前回調査からわずかに上昇しました。価格転嫁率は54.2%となり、改善傾向が続いています。コスト要素別では、原材料費の転嫁率が55.7%で最も高く、労務費は50.0%、エネルギーコストは48.9%となりました。コスト上昇分を一定程度価格へ反映する動きは広がっていますが、十分な転嫁には至っていない状況もうかがえます。
価格交渉が実施されたものの、コスト上昇分を全額価格へ反映できなかった企業のうち、発注側から価格転嫁に関する説明について「納得できる説明があった」と回答した企業は約6割となりました。価格交渉そのものは進展している一方で、価格転嫁に対する十分な理解や合意形成には引き続き課題が残されています。
業種別の調査では、新たに警備業とビルメンテナンス業がランキングに追加されました。また、都道府県別では価格転嫁率に大きな差がみられ、上位と下位の都道府県では20%以上の開きが確認されています。地域によって価格転嫁の進み具合に違いがあることが今回の調査でも明らかになりました。
サプライチェーンの取引段階については、受注企業の取引階層が深くなるほど価格転嫁率が低下する傾向が続いています。ただし、1次請け企業と4次請け以上の企業との価格転嫁率の差は前回より縮小しており、取引構造全体では改善がみられる結果となりました。
官公需における価格転嫁率は48.4%となり、前回調査から約4ポイント低下しました。特に都道府県や市区町村では、国などと比較して価格転嫁率が低い傾向が確認されており、規模の小さな機関を含めた取組の強化が課題となっています。
支払条件については、取引代金の支払手段を「現金のみ」とする回答が87.5%まで増加しました。また、支払手数料を受注側が負担していると回答した企業の割合は約2割まで減少しています。一方で、支払期日が60日を超える企業は全体の6.6%残っており、支払条件の適正化に向けた対応が引き続き求められています。
今後は、2026年8月上中旬に発注者ごとの価格交渉や価格転嫁、支払条件などを評価した発注者リストが公表される予定です。今回の調査では価格交渉や価格転嫁の改善傾向が確認されたものの、地域差や取引階層による格差、官公需での価格転嫁、支払条件などには依然として課題が残っており、適正な取引環境の実現に向けた継続的な取組が重要となっています。
⇒ 詳しくは経済産業省のWEBサイトへ


