2026年7月20日
労務・人事ニュース
2026年6月、型の無償保管への対応を明確化した振興基準改正で中小企業の取引環境改善を目指す最新施策
受託中小企業振興法に基づく「振興基準」を改正しました(経産省)
2026年6月24日、経済産業省は、受託中小企業振興法に基づく「振興基準」を改正したと発表しました。今回の見直しは、同日に公表された知的財産権やノウハウ、データの適切な取引に関する新たな指針を踏まえながら、価格転嫁や取引適正化の取り組みをさらに徹底することを目的としています。
振興基準は、受託中小企業の振興を図るために定められているもので、中小受託事業者と委託事業者が取引を行う際の基本的な考え方や望ましい行動を示す一般的な基準です。2025年5月には関連法の改正が成立し、その内容を反映した振興基準の改正が行われ、2026年1月1日に施行されていました。
その後、知的財産取引に関する実態調査では、幅広い業種でさまざまな課題が確認されました。また、型の無償保管を巡る勧告が相次いで行われていることに加え、調達担当者への価格転嫁や取引適正化に関する意識の浸透も課題として指摘されています。こうした状況を踏まえ、より実効性の高い制度とするため、今回の改正が実施されました。
改正の大きな柱の1つは、知的財産取引の適正化です。新たに公表された知的財産権、ノウハウ、データの適切な取引に関する指針に基づいて取引を進めることを明確化するとともに、指針で問題となり得ると示された行為を行わないことや、知的財産に関する多様な対価設定方法を参考にすることが振興基準へ盛り込まれました。
また、型などの無償保管への対応も強化されています。近年は型の無償保管を巡る勧告件数が増加傾向にあることから、振興基準では望ましくない事例を具体的に示し、それらを含む型などの無償保管を受託事業者へ求めないことを徹底する内容が新たに規定されました。これにより、受託事業者への過度な負担を抑え、公正な取引環境の整備を目指します。
さらに、価格転嫁を現場へ浸透させるため、人事評価制度に関する考え方も追加されました。価格転嫁や取引適正化を進めるためには、実際に調達業務を担う担当者の理解と行動が重要であることから、適切な価格転嫁や取引適正化に取り組んだ担当者が正当に評価される人事評価制度の整備に努めることが、新たな基準として示されています。
今回の改正は、制度の整備だけではなく、実際の取引現場における運用改善を促す内容となっています。知的財産の適切な取り扱い、型などの無償保管への対応、価格転嫁を後押しする組織づくりを一体的に進めることで、中小企業が安心して事業活動を行える取引環境の整備が期待されています。
価格転嫁の推進は、原材料価格や人件費などの上昇が続く中で、中小企業の持続的な経営を支える重要な課題となっています。今回の振興基準の改正では、取引当事者双方が適正な取引を実践するための考え方がより具体化されており、公正な取引慣行の定着や中小企業の競争力向上につながる取り組みとして、今後の運用状況にも関心が集まりそうです。
⇒ 詳しくは経済産業省のWEBサイトへ


