2026年7月25日
労務・人事ニュース
令和8年5月の長崎県有効求人倍率0.99倍、求人16.6%減が示す採用市場の変化
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令和8年5月の長崎県有効求人倍率0.99倍が示す雇用情勢
令和8年6月30日、長崎労働局は令和8年5月分の長崎県の雇用失業情勢を公表しました。令和8年5月の有効求人倍率は受理地別の季節調整値で0.99倍となり、前月の1.02倍から0.03ポイント低下しました。0.9倍台となるのは63か月ぶりであり、求人が求職を下回る水準に入ったことは、県内の採用市場を考えるうえで大きな変化です。月間有効求人数は23,104人で前月比2.3%減少し、月間有効求職者数は23,254人で前月比0.7%増加しました。つまり、求人が減る一方で仕事を探す人は増えたため、倍率が1倍を下回った形です。長崎労働局は、求人が減少しており、物価上昇や中東情勢などが今後の雇用に与える影響を注視する必要があるとしています。中小企業の採用担当者は、この0.99倍という数字を「採用しやすくなった」と単純に捉えるのではなく、求人市場の温度が変わり、求職者がより慎重に企業を選ぶ局面に入ったと見るべきです。
有効求人倍率が1倍を下回ると、数字上は求職者数が求人数を上回る状態になります。しかし、採用現場では、求職者が増えたからといって、すべての企業に応募が集まるわけではありません。求職者は勤務地、給与、勤務時間、休日、仕事内容、職場環境、将来性を比較しながら応募先を選びます。特に中小企業では、会社名の認知度や条件面で大企業と同じ土俵に立つことが難しい場合もあります。そのため、求人票や採用ページで「どのような仕事を任せるのか」「入社後にどのように育てるのか」「どのような人が働いているのか」を具体的に伝えることが重要になります。倍率の低下は、応募者獲得の好機にもなり得ますが、情報発信が不十分な企業は、求職者の比較対象にすら入らない可能性があります。
新規求人倍率は季節調整値で1.59倍となり、前月から0.04ポイント低下しました。それでも69か月連続で1.5倍以上を維持しており、新たに仕事を探す人に対して、新たな求人が多い状況は続いています。新規求人数は8,107人で前月比6.0%減少し、新規求職者数は5,101人で前月比3.5%減少しました。求人も求職者も減っていますが、求人の減少幅が大きいため、新規求人倍率は下がりました。採用担当者にとっては、採用活動を始める企業がやや慎重になっている一方、転職市場に新しく出てくる人材も減っていることを意味します。つまり、求人を出す企業が少なくなっても、応募者が急に増えるわけではありません。採用したい職種が専門的であるほど、早めに求人を整え、候補者との接点を逃さない体制が必要です。
原数値で見ると、令和8年5月の新規求人数は7,428人で、前年同月比16.6%減少しました。16か月連続の減少であり、求人全体の弱さが続いています。雇用形態別では、フルタイム求人が15.0%減少し、パートタイム求人も19.8%減少しました。有効求人数も原数値で22,820人となり、前年同月の25,295人から大きく減っています。中小企業にとって、この数字は採用を控える企業が増えていることを示す一方で、競合が採用活動を弱めている時期でもあります。採用予算を大きく増やせない企業であっても、求人内容の見直しや応募後の対応改善に取り組めば、限られた採用機会を成果につなげやすくなります。採用を一時停止するのではなく、必要な人材像を整理し、欠員補充なのか、育成前提なのか、将来の中核人材なのかを明確にしたうえで募集することが大切です。
産業別では、主要産業の多くで新規求人が前年同月を下回りました。建設業は821人で18.6%減、製造業は679人で9.5%減、運輸業・郵便業は378人で30.8%減、卸売業・小売業は886人で13.6%減、宿泊業・飲食サービス業は388人で22.2%減、生活関連サービス業・娯楽業は181人で23.3%減、医療・福祉は2,573人で15.3%減、その他のサービス業は759人で12.5%減となっています。宿泊業・飲食サービス業は16か月連続、生活関連サービス業・娯楽業は17か月連続、その他のサービス業は10か月連続で減少しており、求人の弱さは一時的な動きにとどまらない可能性があります。医療・福祉も4か月連続で減少していますが、求人数そのものは2,573人と大きく、県内で重要な雇用分野であることに変わりはありません。人手不足感のある業界ほど、求人件数が減っていても採用難が続くことがあります。
長崎県の採用担当者が注目すべきなのは、業種ごとの求人減少の背景です。建設業では大村管轄や五島管轄で求人が減少し、運輸業・郵便業では長崎管轄の道路旅客・貨物運送業、佐世保管轄の運輸に附帯するサービス業で減少が見られました。卸売業・小売業では佐世保管轄や大村管轄で求人が減り、医療・福祉では長崎、諫早、島原の各管轄で医療業や社会福祉・介護事業の求人が減少しています。これは、県全体の倍率だけでは採用環境を判断できないことを示しています。同じ長崎県内でも、地域、業種、職種によって競争状況は異なります。採用担当者は、県全体の0.99倍だけでなく、自社の勤務地や職種に近いデータを見ながら、求人条件を現実的に整える必要があります。
新規求職者数は原数値で4,924人となり、前年同月比3.2%減少しました。雇用形態別では、フルタイム求職者が3.5%減、パート求職者が3.0%減となっています。男女別では、男性が3.5%減、女性が3.1%減で、いずれも減少しました。一方、新規常用求職者の求職時の状況を見ると、離職者は5.8%減少したものの、在職者は0.4%増加し、無業者は4.0%増加しています。在職中に転職を考える人がわずかながら増えている点は、中小企業にとって重要です。在職者は現職と比較しながら応募先を選ぶため、給与だけでなく、休日、勤務時間、職場の人間関係、成長機会、通勤しやすさを重視します。求人票では、単に「経験者歓迎」「未経験可」と書くだけでなく、入社後の働き方や評価の仕組みを具体的に示すことが求められます。
正社員の有効求人倍率は原数値で0.94倍となり、前年同月を0.08ポイント下回りました。長崎県の正社員有効求人倍率は令和7年12月に1.11倍でしたが、令和8年4月に0.95倍、令和8年5月に0.94倍と低下しています。正社員の月間有効求人数は12,469人、パートを除く常用の月間有効求職者数は13,316人となっており、正社員求人の面でも求職者数が求人を上回る状況です。採用担当者は、正社員募集で応募者が増えやすくなると期待しがちですが、求職者はより良い条件や安心して働ける職場を選びます。中小企業が正社員を採用する場合は、仕事内容の範囲、試用期間中のサポート、昇給・賞与の考え方、残業時間、休日取得の実態を丁寧に伝えることが必要です。入社後のミスマッチを防ぐことは、採用成功だけでなく定着率向上にもつながります。
安定所別の有効求人倍率を見ると、令和8年5月の原数値では対馬所が1.16倍で最も高く、大村所が0.80倍で最も低くなりました。長崎所は0.85倍、西海所は1.04倍、佐世保所は1.05倍、諫早所は0.96倍、島原所は0.99倍、江迎所は0.83倍、五島所は1.03倍、壱岐所は0.88倍です。前年同月と比べると、多くの地域で倍率が低下しており、対馬所も1.45倍から1.16倍へ0.29ポイント下がっています。地域別に見ると、1倍を上回るエリアと下回るエリアが混在しています。採用担当者は、求人を出す地域の求職者層に合わせて、勤務条件や訴求内容を変えるべきです。離島地域では住まいや通勤、生活環境に関する情報が応募の判断材料になりやすく、都市部では通勤利便性や勤務時間、キャリア形成の見通しが重視されます。
全国との比較では、令和8年5月の全国平均の有効求人倍率は1.17倍で、長崎県の0.99倍は全国で上から40番目、下から8番目の水準です。全国平均を下回り、九州・沖縄の中でも求人倍率が低い部類に入っています。ただし、倍率が低い地域ほど採用が簡単だと考えるのは危険です。求職者数が求人を上回っていても、希望条件に合わない求人には応募が集まりません。特に中小企業では、採用担当者が少人数で業務を兼ねていることが多く、応募対応の遅れが辞退につながります。応募があったら早く連絡し、面接候補日を複数提示し、選考結果も速やかに伝えることが大切です。採用市場が弱含んでいる時期ほど、丁寧で誠実な対応が企業の印象を大きく左右します。
令和8年5月の長崎県の雇用情勢から見ると、中小企業の採用活動は「求人倍率が下がったから待てば応募が来る」という考えから離れる必要があります。有効求人倍率0.99倍は、採用環境の変化を示す重要なサインですが、応募者の質や職種との相性までは示していません。今後の採用では、自社が求める人物像を明確にし、必須条件を絞り、未経験者やシニア層、短時間勤務希望者などを受け入れられる業務がないか見直すことが有効です。求人票では、会社の都合だけでなく、求職者が安心して応募できる情報を優先して掲載する必要があります。給与や休日の情報を具体的に示し、入社後の教育や職場の雰囲気を伝えることで、応募前の不安を減らせます。有効求人倍率の推移は、地域の雇用環境や企業の採用活動を考えるうえで重要な指標です。求人募集を検討している企業の方は、日本全国どこでも対応可能な採用サイト(ATS)の取り扱いにも対応している当社へご相談ください。
⇒ 詳しくは長崎労働局のWEBサイトへ


