2026年7月25日
労務・人事ニュース
山形県の令和8年5月有効求人倍率1.29倍、正社員求人割合50.2%から読む採用市場
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山形県の令和8年5月新規求人倍率1.94倍から見る採用競争
令和8年6月30日、山形労働局は令和8年5月内容の最近の雇用情勢を公表しました。山形県内の雇用情勢については、持ち直しの動きに弱さがみられ、今後も物価高騰や中東情勢などが雇用に与える影響に留意する必要があるとされています。令和8年5月の有効求人倍率は季節調整値で1.29倍となり、前月と同じ水準でした。全国の有効求人倍率は1.17倍で前月から0.01ポイント低下しており、山形県は全国平均を0.12ポイント上回っています。求人が求職を上回る状態が続いていることは、県内企業の人材需要が依然として強いことを示します。一方で、新規求人や新規求職の動きには減少がみられ、採用市場全体が力強く拡大しているとは言い切れません。中小企業の採用担当者は、この1.29倍という数字を「人手不足が続いている」という表面的な理解にとどめず、求人を出す企業も求職者も慎重になっている中で、どのように自社を選んでもらうかを考える必要があります。
令和8年5月の有効求人数は季節調整値で22,090人となり、前月から0.8%減少しました。3か月連続の減少です。一方、有効求職者数は17,067人で、前月から0.8%減少し、2か月連続で減少しました。求人と求職者の双方が同じ割合で減ったため、有効求人倍率は1.29倍で前月と同水準にとどまりました。ここで重要なのは、倍率が変わらないから市場が安定していると単純に判断しないことです。求人数が減っているということは、企業側に採用を抑える動きがあることを示しています。同時に求職者数も減っているため、応募者が増えて採用しやすくなる状況でもありません。中小企業では採用予算や担当者数が限られることが多いため、求人を出す前に人材要件を整理し、必要な経験や資格、入社後に育成できる範囲を明確にすることが欠かせません。
新規求人倍率は季節調整値で1.94倍となり、前月の2.08倍から0.14ポイント低下しました。新規求人倍率は、新たに仕事を探し始めた人に対して新たに出された求人がどれだけあるかを示すため、直近の採用競争を考えるうえで重要な指標です。1.94倍という水準は、求職者より求人がかなり多い状態を示していますが、前月から低下している点には注意が必要です。原数値で見ると、新規求人数は7,010人で前年同月比5.2%減少し、2か月連続の減少となりました。新規求職申込件数も3,749件で前年同月比8.8%減少し、こちらも2か月連続で減っています。求人も求職者も前年より減っているため、採用活動では「求人を出せば応募が来る」という考え方から離れる必要があります。応募者が限られる局面では、求人票のわかりやすさと応募後の対応速度が採用結果に直結します。
産業別の新規求人を見ると、建設業は854人で前年同月比5.4%増、運輸業・郵便業は306人で2.3%増、宿泊業・飲食サービス業は382人で39.4%増となりました。宿泊業・飲食サービス業の増加幅は大きく、観光や外食関連で人材需要が戻っている可能性があります。一方、製造業は1,019人で0.4%減、医療・福祉は1,358人で4.0%減、サービス業は1,081人で11.6%減、卸売業・小売業は776人で13.9%減となりました。製造業は16業種中8業種で前年同月を上回ったものの、全体では4か月ぶりに減少しています。業種ごとに求人の出方が大きく異なるため、採用担当者は県全体の倍率だけで判断するのではなく、自社の業界や職種に近い動きを確認することが大切です。
製造業の内訳では、生産用機械器具製造業が113人で48.7%増、電子部品・デバイス・電子回路製造業が72人で94.6%増、電気機械器具製造業が86人で13.2%増、情報通信機械器具製造業が36人で28.6%増、輸送用機械器具製造業が63人で23.5%増となっています。こうした分野では、技能職や工程管理、機械操作、品質管理などに関わる人材需要が強まりやすく、経験者採用では競争が起きやすいと考えられます。中小企業が製造職を募集する場合、単に「製造スタッフ」や「工場作業」と書くだけでは応募者に仕事内容が伝わりにくくなります。扱う製品、作業工程、必要な資格、未経験者への教育、安全面の配慮、交替勤務の有無、残業の実態を具体的に示すことで、応募前の不安を減らせます。
一方、卸売業・小売業、医療・福祉、サービス業では求人が前年を下回っています。ただし、求人が減っているから採用が簡単になるわけではありません。医療・福祉は1,358人と求人数の規模が大きく、県内の雇用を支える重要分野であることに変わりはありません。医療業や介護、福祉関連の求人では、勤務体制、夜勤の有無、利用者や患者への対応内容、資格取得支援、職員のフォロー体制、身体的負担への配慮が応募判断に大きく影響します。卸売業・小売業では、シフトの柔軟性、土日勤務の頻度、接客の範囲、在庫管理や発注業務の有無などを明確にすることが大切です。求職者は、給与だけでなく、自分が無理なく働き続けられるかを細かく見ています。
正社員に係る新規求人数は3,522人で、前年同月比0.1%減となりました。新規求人数全体に占める正社員求人の割合は50.2%で、前年同月より2.5ポイント上回っています。正社員有効求人倍率は原数値で1.11倍となり、前年同月を0.06ポイント上回りました。全国の正社員有効求人倍率は0.94倍で前年同月より0.04ポイント低下しているため、山形県では正社員求人の需要が全国より強い状態にあります。中小企業が正社員を採用するうえでは、この数字を前向きな材料として使えますが、応募者にとって正社員という雇用形態だけでは十分な魅力になりません。入社後にどの仕事を任せるのか、研修期間はどれくらいか、昇給や賞与はどのような考え方か、残業時間や休日取得の実態はどうかを具体的に示す必要があります。
求職者の動向を見ると、新規求職申込件数は3,749件で前年同月比8.8%減少しました。態様別では、パートタイムを含む常用で、離職者が2,238人となり前年同月比6.7%減、在職者が1,118人で7.2%減、無業者が299人で25.3%減となっています。離職者のうち事業主都合離職者は612人で11.3%減となりました。自己都合離職者も1,457人で前年より減少しています。これは、転職市場に新たに出てくる人が減っていることを示しており、中小企業にとっては応募母集団を作りにくい状況です。在職者が転職に慎重になっている時期には、給与や休日だけでなく、職場の雰囲気、評価制度、将来の役割、家庭との両立のしやすさを伝えることが重要になります。今の職場と比較しても応募したいと思える理由を用意しなければ、求人を見ても応募に至らない可能性があります。
有効求職者数は原数値で18,141人となり、前年同月比0.8%減少しました。12か月ぶりの減少です。また、紹介件数は3,182件で前年同月比21.0%減、就職件数は1,316件で11.7%減となっています。求人があり、求職者も一定数存在しているにもかかわらず、紹介や就職の件数が減っていることは、企業と求職者の条件が合いにくくなっている可能性を示します。採用担当者は、応募が少ない理由を人手不足だけに求めるのではなく、自社の求人内容が求職者に伝わっているかを確認する必要があります。仕事内容が抽象的で、給与幅の理由がわからず、休日や残業の実態が見えず、選考の流れも不明確な求人は、応募前に不安を与えます。求人票は単なる募集条件ではなく、会社への最初の信頼形成の場です。
事業所規模別では、29人以下の新規求人が4,263人で前年同月比6.1%減、30人から99人規模は1,813人で0.7%増、100人から299人規模は532人で22.8%減となりました。300人から499人規模は244人で103.3%増となる一方、500人から999人規模は123人で33.2%減、1,000人以上は35人で43.5%減となっています。小規模事業所では求人が減っていますが、採用を完全に止めてしまうと、必要なときに人材確保が遅れる恐れがあります。中小企業は大企業のように知名度や待遇だけで競争するのではなく、地域密着、転勤の少なさ、経営者との距離の近さ、幅広い仕事を経験できること、柔軟な相談がしやすいことを具体的に伝えるべきです。こうした魅力は、求人票に書かなければ応募者には伝わりません。
令和8年5月の山形県の雇用情勢から、中小企業の採用担当者が取るべき方向性は明確です。有効求人倍率1.29倍は全国平均を上回る水準であり、県内では求人が求職を上回る状態が続いています。しかし、新規求人数は前年同月比5.2%減、新規求職申込件数は8.8%減で、求人と求職の双方に慎重な動きが出ています。採用活動では、まず自社が本当に必要とする人材像を明確にし、必須条件と歓迎条件を分けることが重要です。未経験者を育成できる業務、短時間勤務でも任せられる業務、シニア人材や子育て世代が活躍できる業務を切り分けることで、応募の入口は広がります。さらに、応募後の連絡を早くし、面接日程を柔軟に提示し、選考状況を社内で共有する仕組みを整えることが、限られた応募者を採用につなげる鍵になります。有効求人倍率の推移は、地域の雇用環境や企業の採用活動を考えるうえで重要な指標です。求人募集を検討している企業の方は、日本全国どこでも対応可能な採用サイト(ATS)の取り扱いにも対応している当社へご相談ください。
⇒ 詳しくは山形労働局のWEBサイトへ


